進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 宮崎県

自衛隊新田原基地(宮崎県)
F35Bを20機配備、米軍用弾薬庫も

宮崎市議会議員 中川 義行

 防衛省は新田原基地に新たにF35Bを2024年度に6機、25年度に2機配備し、将来的に約20機配備することを明らかにした。防衛省は新たな自衛隊基地整備が計画されている馬毛島(鹿児島県西之表市)に近いところから新田原基地が最適と説明。F35Bはレーダーに感知されにくいステルス性能を備え、短距離離陸、垂直着陸ができるのが特徴。F35Bを20機も配置する目的は何だろうか。


米軍用の武器弾薬庫等の整備計画

 有事など緊急時に米軍の戦闘機や輸送機が新田原基地を使用できるよう、同基地内に米軍の弾薬庫等を普天間基地返還前の22年度までに自衛隊施設として整備することについて、18年に日米両政府が合意。

 新たに整備される施設は、武器弾薬庫(鉄筋コンクリート造600㎡規模。「緊急時に使用する場合、新田原基地の既存の弾薬庫の容量では足りない」との国の説明)、駐機場(4万㎡)、燃料貯蔵タンク(既存の地中タンクを貯蔵量9000㎘に拡張)、誘導路、庁舎・倉庫。

 整備される米軍用の武器弾薬庫等は日米共同訓練だけでなく「緊急時」にも使用するとなっている。「緊急時」の解釈について、防衛省は日本が武力攻撃を受ける事態などを例に挙げる。

 「緊急時」に新田原基地が米軍の武器弾薬や燃料補給地などとして活用される可能性もあるのではないか。

 今回の整備計画は07年に基地周辺自治体も受け入れを容認していたが、計画が実施段階に入り、「米軍が常駐するのでは」「弾薬庫は敵国からの攻撃対象になるのでは」「緊急時とは何か」などの不安の声が上がっている。

コロナ禍の下、米兵が市中ホテル泊

 新型コロナウイルス拡大下、新田原基地で日米共同訓練が20年10月26日~11月5日に行われ米兵約210人が参加。訓練期間中の米兵は基地内の宿泊所ではなく宮崎市内のホテルに宿泊。

 県と宮崎市は事前にホテル宿泊を把握し、それぞれ臨時議会を開催し「基地内宿泊を求める意見書」を全会一致で可決。両議長が上京し防衛省に意見書を提出したが、ホテル宿泊は強行された。コロナのまん延を防ぐために県民が努力している中の基地外宿泊であり、県民の心配は無視された。

米軍基地化せぬように

 今回の基地整備により有事の米軍常駐が懸念される。「航空自衛隊新田原基地」から「米軍基地」へと変容させないよう取り組んでいかねばならない。

 日米地位協定は米軍の国内での行動の自由を認めている。今回、基地内に宿泊所があるにもかかわらず、コロナ禍の下であっても 「基地外宿泊」が強行されるのを見て、改めて同協定の見直しの必要性を思う。これまで、米軍基地がある街、特に沖縄では米軍基地を起因とする騒音・事故・事件が発生しても日米地位協定が絡んで忍従を強いられてきた。宮崎県でも現実とならないよう取り組んでいかねばならない。