■玉城デニー 沖縄県知事 新春インタビュー

共有(シェア)Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter
Share on LinkedIn
Linkedin

復帰50年、新たな歩みを踏み出す年に

 

 

 

沖縄県玉城デニー知事に新年の抱負と決意を伺った。沖縄県は今年9月に知事選挙である。文責編集部。

 私が知事に就任して以来、首里城の火災が起こり、続いて沖縄で30年ぶりとなる豚熱が発生し、一昨年の2月にはコロナウイルス陽性者が出て、それからはもうコロナウイルス感染症対策に追われ続けてきました。
 特にコロナ対応では、県内の感染状況には実に厳しいものがありました。これには特に保健や医療・看護の方がた、観光業界をはじめ多くの方がたから多大な協力をいただいて、県の取り組みに叱咤激励もいただきながら、感染拡大の厳しい時期を県民の皆さまがた全体でしっかり頑張っていただいたと思っています。
 このコロナウイルスの状況でいちばん奪われてしまったのは人と人が交流する時間でしょう。子どもたちの1年間の行事の中で、自分の成長や歩みを確認できるような、そういう大切な場所や時間を奪われてしまった。私たちもしっかり反省して、二度とそういうような事態に陥らないように万全の体制で取り組んでいきます。
 今年は防疫体制をしっかりとりつつ、経済の回復をあらゆる分野で図ってまいります。県は引き続き新年も職員一丸となって、業界の方がたを支援し、また、互いに支援もされながら、新時代沖縄へ、復帰50周年の歩みをしっかりとしるしてまいりたいと思います。

「万国津梁」の先人たちの思いを今に生かす

 復帰50年というとき、まず第一に平和な沖縄、米軍基地の整理縮小です。
 沖縄の基地返還を進めるSACO合意から25年が経過し、その後の米軍再編計画からも15年がたちますが、遅々として進んでいません。過重な負担という米軍基地の現状は、復帰50年たった今もまったく変わっておりません。
 沖縄は、東アジアの中心に位置するという地理的な条件があります。われわれは、その地理的条件を抑止力ではなく平和のための拠点として生かすように変えてゆきたい。これからは人材の交流、経済、学術、文化の交流などなど、「万国津梁」という先人たちの思いを今に生かして平和のための交流拠点に、沖縄をそういう島にしたいと強く願っています。
 そう変えなければ戦争への不安だけを押し付けられ、抑止力と声高に叫ばれても県民は非常に苦しい思いをするだけです。不安を解消するためには平和的な外交に徹するべきであると、日本政府に言うべきことはしっかり言うのが務めだろうと考えます。
 辺野古の埋め立て変更承認申請については昨年11月25日、沖縄県の不承認という決定を発表させていただきました。公有水面埋立法にのっとって厳正に審査をした結果、埋め立てを認めるに適さないということがはっきりしたわけです。
 これからの時代は、社会、経済と環境を一体となって進めなければならない。日本政府も、環境の分野においては2050年の脱炭素を掲げてそこに意欲的に取り組んでいくという方針のはずです。それと逆行するような、貴重な資源である海を埋め立て、未来世代への遺産にすべき貴重な資産ともなる、生物多様性にあふれたこの海に新たな基地をつくることは絶対に認められないのです。

沖縄の不利性を利点に変え自立経済を目指す

 もう一つ、復帰50年で検証すべきは経済の自立です。
 1972年に復帰して以降、5次にわたる沖縄振興開発計画にのっとって、まず27年間の米軍支配下の時代、つまり日本の政権下になかった時代の遅れを取り戻すために道路、港湾、ダム、病院、学校などさまざまな社会的基盤を整備させていただきました。そして第4次計画からは、もっと経済の振興、自立型の経済を目指すということで取り組んでまいりました。
 残念ながらコロナ禍でこの2年間は、観光関連産業が非常に大きなダメージを受けてしまいました。まだ油断をしてはなりませんが、アフターコロナを見据えながら沖縄の基幹産業である観光関連産業をしっかりと発展させたい。地域が受容できる「量」とツーリズムの「質」を好転させてまいります。
 さらに新たな振興計画に取り入れようとしているのは、社会、経済、環境の三つの側面が調和した持続可能な沖縄の発展であり、誰一人取り残さない社会を実現していくという大きな目標です。
 県庁の取り組み、市町村の取り組み、業界団体の取り組みを「見える化」することで、県民の皆さんもいっしょに沖縄の未来づくりに参画していきませんかということを呼びかけてゆきたいと思います。
 今年から大きな取り組みになるのは、あらゆる産業や分野においてのデジタルトランスフォーメーションです。これを進めるために基盤をしっかりと整備したい。離島における教育の不均衡、あるいは生活の不便さ、そういう離島の不利性を解消していく。沖縄は逆に「離島県」だからできる取り組みがたくさんあると思います。県内どこにお住まいであっても同じような豊かさをほんとうに実感できるそういう島、そういう沖縄にしていきたいと思います。

二度と決して国と国との争いの場にさせない

 沖縄は、東アジア、東南アジアに近い位置にあります。文字通り日本の南の玄関口として広くアジアに向けてゲートウェイとしての役割を担っていきたいとこれまでも取り組んでまいりました。アジア経済戦略構想の基本的な考え方に基づいて、引き続き経済の活発な交流を進めていきたい。それがひいては日本全体の経済発展、振興に必ず寄与すると思います。
 しかし現実は、アメリカと中国は絶えずお互いに覇権の立場から牽制をし合っている状況があると思います。
 その間に挟まれているのが台湾であり、沖縄であり、日本だと思うんですね。日本はアメリカともちろん同盟国でもありますが、実は対貿易額からみると圧倒的に中国を中心とした中華圏のほうが多く、アメリカの倍以上の貿易を行っています。
 現にコロナウイルス感染が拡大した初期、経済交流が途絶えてしまって中国に生産をゆだねていたマスクが入らなくなってしまった。それほど日本は、中国を中心とするアジアの国々へ私たちが使う品物、食べる食材なども頼っている状況です。
 われわれが中国に対しても呼びかけていきたいのは、平和があれば、やはり共栄の道、互恵的関係をしっかりとつくることができる、アジア全体の安定と安全、繁栄につながっていくんだということです。政府を通してそのような要望もしてまいります。
 同時に沖縄県は、中国福建省と友好県省関係も締結しております。今年もその記念事業などを予定しています。そのような交流の場面でわれわれは、お互いに協力し合える存在であるということを確認したいと思います。
 もっと端的に言うと、沖縄を二度と決して国と国との争いの場、つまり戦火に巻き込まさない、戦場にさせない、そういう平和のための取り組みをわれわれからもしっかりと働きかけていくことが大事だと思います。
 結びに、新しい年が皆さまにとりまして明るく希望に満ちた年となりますよう祈念いたしまして新年のごあいさつといたします。
 くとぅしんゆたさるぐとぅうにげーさびら(今年もよろしくお願いします)

共有(シェア)Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter
Share on LinkedIn
Linkedin