コロナ禍 ■ 命・暮らし・仕事を守る

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自前のネットワークを地域でつくる

駒ヶ根市議会議員・社会福祉士 池田 幸代

 30年近く前、大学4年生の時に東京・山谷地域にボランティアに行き始め、卒業後仕事をしながら新宿で野宿を余儀なくされる人たちのところに通ってきました。

 当時はまだ「都会に行けば何とかなる」という神話が流布されていた時代で、私が路上で出会う人たちも、地方出身者がかなりいました。

 人間関係の濃い地方では、本人にとって不利な情報もあっという間に地域で共有され、居づらくなることは容易に想像できました。

 これまで東京や神奈川で国会議員秘書の仕事をしながら、反貧困や反差別の社会運動にも関わってきましたが、50歳を前に地元伊那谷に戻り、2019年の統一地方自治体選挙で駒ヶ根市議会議員に初当選しました。

 2020年年明け早々、新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大し、当初からこれは生活に困る人たちが大量に出現するだろうと感じました。早速、市役所の関係部局に取材をして、生活に困ったときにどのような制度が使えるのかについて、3月議会報告のニュースレターにまとめました。

 ニュースレター用の原稿を書きながら、制度についてわかっても実際に使えることとの間にはギャップがあるだろうということを認識したので、早速、全国の旧知の自治体議員や社会運動家、メディア関係者、弁護士などに声をかけて、「地域から生活保障を実現する自治体議員ネットワーク ローカルセーフティネットワーク」を立ち上げました。

 現在のところ全国で60名程度ですが、各自治体の議員の自治体名と名前と連絡先をFacebookページに掲載し、どこからでもアクセスできるようにしています。

 関東圏では生活困窮の人たちの存在が可視化され、これまで野宿の人たちのサポートに取り組む仲間たちを中心にネットワークが組まれ、自治体議員もそこに参加したり、自前のネットワークがつくられたりして、相談会の実施なども取り組まれています。

 地方はまだまだ上記の都会のようなネットワーク結成に至っているところが少ないため、各地の動く自治体議員の見える化に取り組みたいと考えました。

 各自治体議員に向けた呼びかけ文には次のような取り組み目標を盛り込みました。

①生活保護問題対策全国会議をはじめ各地の司法関係者のグループや貧困問題に取り組む社会運動団体や労働組合と連携しながら生活相談や労働相談に関わる。

②各自治体の情報をタイムリーに入手して、地域で提供していく。

③全国的なネットワークを組むことで、情報交換や情報共有をしていく。

④それぞれの地域でのサポートネットワークを構築していく。

⑤貧困な状況にいる人たちやマイノリティーは攻撃の対象になりやすいため、非常時レイシズムを含むあらゆる差別を根絶すべく行動する。

 

 私自身もこの呼びかけ文に盛り込んだことを実現すべく、①駒ヶ根市内での市民や弁護士や社会福祉士や自治体議員などによる駒ヶ根市民サポートネットワークづくり、②長野一般労働組合上伊那支部の結成、③反差別の信州カウンターズの活動開始をしています。

 30年近くぶりに地元に戻ってみると、まだまだ社会資源が少なく、その情報も当事者に伝わっておらず、労働問題から生活困窮まで、困っている人たちが泣き寝入りしたりで、そのまま問題が放置されていることを強く認識しました。

 駒ヶ根市民サポートネットワークは昨年夏に結成し、仲間たちと相談に乗っています。地域では数人の若い女性たちのサポートをしており、学校や福祉事務所などともやりとりしながら、法的対応が必要な件に関しては仲間の弁護士の力を借りながら対応しています。

 私が連帯保証人を引き受けた物件の家賃滞納、ヤバい業者からの物品購入、アパートからの退去など、次から次にいろんなことをやらかしてくれるため、そのつど動き回っていますが、なかなか大変です。彼女たちには、とにかく事態が深刻にならないうちに連絡してくれ、とは伝えていますが、だいたいは事が大きくなってから話が入るため、緊急に対応しなければならないことの方が多いのが実態です。

 都会の貧困は分かりやすいですが、地方の貧困や困窮はなかなか見えません。そのためにより多くのサポートを得られるようになっていません。

 労働組合は、具体的な解雇案件が地元であったため、昨年夏に社民党の自治体議員の先輩たちと結成し、1件の解雇撤回裁判闘争、数件の労働相談→団体交渉による解決をしました。

 自治体議員は定例議会のスケジュールの他は、案外自分で時間を調整しやすいため、労働組合の活動を担うのは可能だと感じます。

 最初は何から話したらいいか分からず、こちらも事そこに至るまでに何があったのかを、話を2時間から3時間ほどお聞きするなかで整理していきます。

 昨年夏以来、ご相談をいただく労働者は私と同世代の中年の女性たちで、地域の労働者の置かれている厳しい状況をリアルに感じます。

 いずれにしても、地域で暮らしや雇用に関する大概の案件について、自前で対応できるような体制をつくっていくことが、コロナ災害下ではとても重要です。

 言い出しっぺがいれば大抵のことは動くと思うので、ぜひ全国的にも同様の動きを強めていただけたら、と思います。

 

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