[持続と循環の食料自給経済へ]山下 公一

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希望は若い人たちの農業への参加

大牟田市「いちのたんぼの会」 山下 公一

棚田での園児たちの田植え

 大牟田市では今日、15名が集まってオンライン講演会に参加しています。大牟田市櫟野は中山間地で、そこで長年にわたって無農薬、無化学肥料栽培を頑張ってこられた山下公一さんの農地に集まって、農作業を楽しむグループとして2003年にスタートしたのが「たんぼの会」です。週に2日、午前中に作業をしています。鈴木先生がお話しになったように、種子法廃止、農業競争力強化支援法、種苗法改定と続く政権の動きが大変気にかかりまして、種子法廃止に関して山田正彦さん、国連の家族農業の10年に関して関根佳恵さんの講演会を開いたり、映画「タネは誰のもの」の自主上映会に取り組んだりしてきました。なお福岡では今日、筑豊地区と筑紫野市でも同じような会が開かれています。山下公一さんから、集落の状況なども含めて、報告していただきます。
(樋口茂敏)

 まず集落の状況について報告します。私は60歳代ですが、集落の就農者では一番若い方になります。多くは70歳代、それも後半という人が多く、離農しても後を継ぐ者がいないということがほとんどです。私のところにも「公一ちゃん、うちの田を作ってもらえんね」という依頼が来て、「たんぼの会」の皆さんと協力して、できるだけ応えるようにしてきましたけれど、それも限界に達しています。そんなわけで、耕作放棄地が増えていますし、これからもさらに増えるだろうと心配しています。
 私は無農薬、無化学肥料でのコメ作り、野菜作りを続けてきました。生協に納めたり産直販売をしたりしています。安全な食べ物を届けたいという思いもありますし、環境保全型農業として大切な意義があると考えています。ただ慣行農法に比べると、主に雑草対策で労力もかかりますし、収量や当然収入も減少します。また中山間地の農業は、狭い田畑が多いために作業効率も落ちてきます。ここのところをなんとか解決しないと、若い人たちが「これでやっていこう」ということにはなかなかならないだろうと思います。18年たちますと「たんぼの会」の仲間も年を取ってきます。
 ただ希望はあります。40歳代の若者が参加してくれていて、仕事をしながら、少しずつ農作業の割合を高めてくれています。また別の若者は、農作業と併せて「安全な野菜を消費者に届けたい」と、無農薬、減農薬に特化した野菜を販売する八百屋さんを始めました。彼の場合はお連れ合いが公務員ということもありますが、こうした若者たちが半農半Xとして生活を成り立たせてもらいたいと希望しています。ただ個人の努力には限界があります。農業を目指す若者たちが農家として自立できるように、政治の支援が必要です。これは単に補助するというような意味ではなく、国民の食料を守り、国土を保全するという大きな意義があるのだと思います。
 会の田圃には毎年、地域の小学校の5年生と、市内の3つの幼稚園、保育園の年長さんが、「米作り体験」で訪れます。田植えと稲刈りの年2回だけですが、普段は静かな山里に子どもたちの元気な声が響き渡ります。私たちが元気をもらっているのは事実ですが、一方で、この子たちが大人になった頃、この国の食べ物はどうなっているのだろうかと心配しているのもまた事実です。

 

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