極度に緊張激化する朝鮮半島情勢

共有(シェア)Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

緊張緩和へ日本は積極的に動くべき

 トランプ政権は、3月1日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)のたび重なる中止要求にもかかわらず、韓国とその周辺海空域で米韓合同軍事演習を開始した。史上最大規模の軍事演習が、4月末まで続く。

米空軍B1戦略爆撃機(右)とF15航空自衛隊戦闘機(左2機)の共同演習(防衛省HPから)

 地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を活用した訓練や、朝鮮の核・ミサイル施設への先制攻撃、さらには金正恩委員長の殺害を目的とする「斬首作戦」も訓練に含まれている。
 日本の海上自衛隊も、東シナ海で空母カールビンソンや駆逐艦などで構成する米海軍機動部隊と共同訓練を行ったし、航空自衛隊もB1戦略爆撃機と共同訓練を行った(写真)。実質的に米日韓合同の軍事演習が行われているのである。
 朝鮮側はこれに対抗して、3月6日にミサイル訓練を実施し、その標的は在日の米軍基地だと明言した。その後も、対抗措置を強めている。自国の最高指導者への暗殺作戦を公言する戦争策動を警戒するのは当然ではあろうが、26日には「先制攻撃で先制攻撃の策動を粉砕する」とまで声明した。
 朝鮮半島の緊張はかつてなく高まっている。何が起こっても不思議でなく、偶発的な衝突、戦争の可能性すら含む危機的状況である。
 このような朝鮮半島情勢にいかなる態度をとるか。これは東アジア、わが国の平和にとって焦眉の課題となっている。

緊張緩和は緊急の課題

 安倍首相は、朝鮮の核・ミサイル開発が「新たな段階に入った脅威だ」と繰り返し強調している。対抗手段として、「敵基地を先制攻撃」する以外にないとの世論をあおっている。政府や自民党もそれを検討すると公言するなど、地域の緊張を激化させる道を進んでいる。
 国会でも、衆参両院ともに朝鮮のミサイル発射について「全会一致」で非難決議を上げ、朝鮮だけを一方的に非難した。野党でも共産党に至っては、「制裁」の強化で朝鮮を追い込むべきと提案している。
 マスコミ世論ではこうした対応が当然のことのように言われる。だが、「国際的な常識」からは大きく外れている。たとえば中国は、朝鮮の核・ミサイル開発と米韓合同軍事演習、双方の、「二つの停止」を呼びかけている。緊張緩和のためには、これが最低限の合理的方策であろう。
 「北の脅威」に直接にさらされているはずの韓国だが、THAAD配備などアメリカや日本との軍事同盟強化路線を進めた朴槿恵大統領が人民の闘いで政権を追われた。米韓合同軍事演習がこのまま終わるならば、5月9日の大統領選で成立する新政権は、北側との関係を緩和させ、対中・対米関係を見直すことになるであろう。
 韓国も、中国など他のアジア諸国も、アメリカがつくり出しているこの緊張状態の緩和を望んでいる。わが国も、この周辺諸国とともに緊張緩和のために努力すべきである。

「脅威」の元凶はどこか

 1950年6月に朝鮮戦争が始まって以来、アメリカと朝鮮との戦争状態は終わっていない。53年7月の米朝中3カ国の「休戦協定」で「戦闘を停止」しているにすぎない。
 「朝鮮半島からのあらゆる外国軍の撤退」の合意で、義勇軍を派遣していた中国は58年までに全軍を撤退させたが、アメリカは「米韓相互防衛条約」を盾に履行しなかった。朝鮮は一貫してアメリカに「平和協定」を締結し、戦争状態を終わらせることを求めてきた。
 しかし、アメリカは、朝鮮を正当な国家と認めず、逆に、核兵器を含む膨大な軍事力で包囲し、朝鮮政権圧殺を策動してきた。
 以来、こんにちまで、在日米軍基地は、在韓米軍基地とともに、朝鮮圧殺策動の最前線基地として米軍の自由な使用に供されている。
 こんにち、在日米軍は飛躍的に強化されている。敵基地攻撃のための最新鋭ステルス戦闘機F35が、この1月、海外で唯一、岩国基地に10機配備された。朝鮮半島全体をカバーする米軍のXバンドレーダーが、青森県の車力基地に続いて京都府の米軍経ヶ岬通信所に配備された。アルカーイダの指導者ウサーマ・ ビン・ラーディンを殺害し、今度は「斬首作戦」に従事するであろう海軍特殊部隊を載せた空母ジョージ・ワシントンは神奈川県の横須賀基地を母港としている。
 在日米軍の司令部は、東京の横田基地に置かれている。東アジア最大の空軍基地、嘉手納基地をはじめ沖縄の米軍は、朝鮮半島もにらんでいる。
 日本は40年余に及ぶ朝鮮植民地支配の謝罪・清算もせず、休戦協定後も65年近くにわたり米軍の最前線基地として、朝鮮圧殺策動に加担しているのである。
 安倍政権に至っては、「敵基地攻撃能力獲得」などを公言し、積極的に対朝鮮の前面に立とうとしている。トランプが、「100%日本の側にある」と言って後ろに控える状況である。安倍は、朝鮮を敵視して「軍事大国」への道を、十分な条件もないのに爪先立ちで突き進んでいる。
 こうした経過と現状を考えると、軍事力を飛躍的に発展させ海を越えた攻撃能力を持つに至った朝鮮が、攻撃される前に「敵基地」をたたきつぶそうと考えるのには合理性があるかもしれない。在日米軍基地が狙われるのは当然ともいえる。
 だが、そこは日本の国土であり、地域にはたくさんの日本国民が暮らしている。その生命と財産が脅かされることになる。事は重大である。

「二つの停止」から米朝平和交渉へ

 口を開けば国民の生命・財産を守るなどと繰り返すが、軍事的な対抗路線で本当に守れるのか。安倍自らもミサイルを「撃ち漏らす」ことを認めている。日本に着弾するのである。よしんば敵基地攻撃を実現したとしても、100%たたきつぶすことはあり得ず、むしろ核を含む報復攻撃に日本はさらされることになる。「拉致問題は安倍内閣で解決する」などと力んでいたが解決どころでない。この安倍の道では日本と東アジアは壊滅的な事態となろう。
 こうした危機は、絵空事ではなく、現実のものである。トランプ政権は、朝鮮を「最も重大な脅威」と決めつけて、オバマ前政権の「戦略的忍耐政策は完全に失敗し終わった」と転換を決めた。今、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と、武力行使の可能性に繰り返し言及し、ミサイル防衛強化などを日本に迫ってすらいる。
 すべての人びとがこの危機的な事態を直視すべきである。
 緊張激化に反対し、平和への道を追求しなくてはいけない。アメリカの先制攻撃策動に反対しなくてはならない。在日米軍基地を先制攻撃のために使用させないよう政府に迫らなくてはならない。アメリカは拒否したが、「二つの停止」の後、朝鮮との平和交渉を進めるよう求めなくてはならない。
 わが国は自主的に朝鮮との国交を結び、友好的関係を確立する道をとるべきである。
 米軍に連れられて、あるいは安倍政権のように率先して朝鮮と事を構える道は、アジアで再び孤立し、取り返しのつかぬ、まさに民族破滅の道である。

編集部X

共有(シェア)Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn