2015年11月11日国民連合:神奈川 丹羽宇一朗 講演会要旨

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「中華民族の夢」とは

 「中華民族の夢」とは何か、習近平主席の本当のねらいはどこにあるのでしょうか。
 私は大使として同主席に何回も会っています。習主席が必ず言うのは「日本と中国は住所変更ができません」。2049年、中華人民共和国の建国百周年に、「中華民族の夢」を実現したいということです。2012年秋、主席に就任し、その時の演説で「中国の夢」を語りました。「中国の夢」とは奪われたものを取り返すことです。鄧小平は「韜光養晦」(とうこうようかい)、「爪を隠して研いで、表に出さない」と言い、江沢民主席でさえ爪を出さなかった。それが米中首脳会談の中に出てきた。「今や、中国抜きに世界は語れない」。アメリカの力が弱まった。新興国代表の中国がアメリカ人と世界に向かって、「今までの中国とは違う。やるときはやる」ということでしょう。面と向かって「文句あるか」という力はない。アメリカは力が衰えたとはいえ、1兆7000億ドルの世界全体の軍事費、その34・3%を占めています。中国はその3分の1で12・2%、日本は2・6%です。南シナ海に「助けに行く」と言っても、アメリカからすれば日本が「ただでお弁当持ってきてくれるなら」という程度の話だと思います。本当の撃ち合いになるようなときに、「助ける」どころか、逆に間違えて撃たれるかも知れません(笑)。
 私は安保法制で戦争に近付いてはいけないと思います。日本は世界一の借金大国であり、これからは医療・介護にものすごくお金を使わなくてはいけません。他にいっぱいやることがあります。軍事費に使って中国みたいに「ナンバーワンになる」と言うかもしれないけど、軍備増強では経済成長しません。なぜなら今も将来も日本は人口が減少しています。今は働く人が2人に1人、62~3%います。しかし、30年後に65歳以上は5人に2人、40%になる。子どもたちが7~8%。この国で、どうやって経済成長しますか。
 「中華民族の夢」とは、今から170~80年前までに遡ります。つまり、清朝の時代です。中国の歴史が始まって、殷とか周とかの紀元前が終わり、初めて中国を統一した王朝が秦の始皇帝。その時以来数えてみたら、15の王朝があり、紀元後もっとも長く続いたのが289年続いた唐王朝です。その次に長いのは、275年続いた清朝。この清朝が1911年、孫文の辛亥革命で倒されました。この歴史の中で、異民族が王朝を確立したのは2回しかない。一つは元の蒙古族の時代で100年続きました。次に清朝の満州族で275年間支配しました。
 清朝は1840年から42年、阿片という害毒の輸入を禁止した。これに対して、英国は立腹して「阿片戦争」になった。その次が「アロー号事件」。これは英国籍の船が広州に停泊しているときに、中国の船が臨検をした。これに対して、英国が怒って賠償金を取った。当時の英国はやりたい放題でした。ロシア革命前のロシア、イギリス、ドイツ、アメリカ、これら先進帝国主義が次々に中国に侵略・進出してきた。そのスタートは「阿片戦争」、「アロー号事件」であり、その間に「太平天国の乱」がありました。その次に清とフランスの、ベトナムをめぐる所有権問題。要するにベトナムを保護(所有)している中国に対して、フランスが挑戦して、中国はまた敗れた。ベトナムを守ってくれる国として中国はフランスの覇権を承認した。義和団の事件も列強の連合艦隊に敗れた。1915年日本が中華民国政府に出した「21カ条の要求」を飲まされた。
 中国の現代史170年間に、中国は5回、苦汁を飲まされた。これに対して、「中華民族の権力を奪取した」「返せ」と回収作業に入った。その第1回がイギリスが返した香港、ポルトガルが返したマカオ。台湾は「1つの中国だ」と。尖閣はどうなるか、尖閣は別だと少なくとも日本人はそう思っている。だが、どうやって守るかは別の問題。中国は今言ったような一連の帝国主義諸国の侵略で、中華民族の権限がはく奪され、「返せ」とこれを回収する。国境はインド、ミャンマー、ベトナム、ロシア周囲にあちこちあり、これも大体カタがついた。
 しかし、海上の方は、カタがついていない。南シナ海もその一つ。「ベトナム、お前はもともと中国が支配していたところじゃないのか」。心の中では、「返してくれ」と思っているかもしれない。
 国際政治上、どこまで、遡って返すのかという論争が起きると思います。「奪った」「お前の領土じゃない」。そういう論争が起きる可能性があります。したがって、「中華民族の夢」は、単に中国のことだけでなく、あらゆる国で論争が起き、収拾つかないということです。「中華民族の夢」は、考え方として理解はできるけれども、世界第2の大国として、世界の平和にかなりの影響を及ぼすということです。「南シナ海は俺のものだ」というのは、結論が早すぎる。もう少し、国際的な理解がいるでしょう。だから、アメリカ空軍が、防空識別圏上空を飛ぶというのは、中国にとってものすごい問題です。
 今年5月、李克強首相は今後10年間における製造業の10項目にわたる経済政策のロードマップ「中国製造2025」計画を発表した。これは明らかに、建国100周年を織り込んで計画していますから、中国の経済は元気です。日本の「アベノミクス」は「泥船」じゃないけれども30年も続きません。長期的に「日本は一体どうするんだ」ということを考えなければいけないと思います。
 さらに、最後にもう1つ、日中関係だけ申し上げると、第1期習近平体制は、2017年内閣が終了するときまでです。2017年から2022年の次の5年間は、第2期習近平体制。2017年に内閣の60%の人が定年退職し、若者がこの第2期習近平体制に入ってくる。吉林省の書記、内モンゴルの書記、広東省の書記、南京と江蘇省の書記等々が、おそらく2017年には偉くなり、「チャイナ7」という中の何人かは占めることになるでしょう。
 そこで、申し上げたいのは、2017年は抗日戦争の式典ではなくて、日中両国の正常化45周年の国家式典を北京と東京で両国首脳が出席してお祝いをやろうじゃないかということです。これから2年あります。368ある姉妹都市の関係で、歌や踊りなど500くらいの事業をやる。ピンポン大会、書道展、絵画展、踊り、歌。AKBでも、嵐、数限りなくあります。
 私が大使として日本に帰ってくる2012年は尖閣諸島問題で、日本と中国で交流を計画した600案件の80%がキャンセルになりました。2カ月も3カ月も練習した沖縄のおじい、おばあは涙を飲んでも飲みきれなかったと思います。石原慎太郎さんに何を言われたか知らないけど、こんなことを決めやがってということです。だから、今度は2年もあるから、500でやれればいいかと思います。

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