環境一覧

球磨川大水害から ■ いつでもどこでも起こり得る

温暖化と戦後の土地利用、森林・河川政策などの人災

水害がない流域の未来を考える

つる 詳子

 2020年7月4日に球磨川流域を襲った水害から9カ月。いまだに被災地はその爪痕を強く残したままである。護岸の樹木がなぎ倒され、見通しが良くなった球磨川の両岸は、補強用の黒いフレコンバッグで覆われ、泥出しや家財搬出を終えた窓、ドアがない家、柱だけになった家、解体して家屋がなくなった更地と、殺風景な景観が広がっている。 続きを読む



球磨川豪雨の溺死者個別調査と流域治水

何が生死を分けたのか?

命をつなぐ政治をめざして

参議院議員(前滋賀県知事) 嘉田 由紀子

近代技術主義、自然環境保全主義、生活環境主義

 「ダムさえ造ったらどんな大雨でも枕を高くして眠れる」というダムの効果を頭に刻み込まれてきた人びとは多いのではないだろうか。昭和30年代以降、多目的ダム建設が各地で進み、近代巨大技術への依存心が人びとの心に刻みつけられた。巨大技術は専門性と巨額の公共投資を必要とし、「政界」「財界」「学界」の三位一体システムがつくられた。このような行動に潜む価値観を「近代技術主義」と呼ぼう。 続きを読む


特集■「自立日本の総合安全保障を考える」農は国の本、国家安全保障の要

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 国民の命を守り、国土を守るには、どんなときにも安全・安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠であり、まさに、「農は国の本なり」、国家安全保障の要である。そのために、国民全体で農林水産業を支え、食料自給率を高く維持するのは、世界の常識である。食料自給は独立国家の最低条件である。 続きを読む


特集■「自立日本の総合安全保障を考える」環的中日本主義の勧め

SDGsの実現のため分際をわきまえた国家を目指す

 

篠原 孝 衆議院議員

 

 安倍政権は明らかに大国を目指している。一番の願いは軍事大国である。だから、執拗に自衛隊の加憲による憲法9条の改正にこだわり続けている。国民はその必要性を感じていない。世論調査も58%が反対し、62%は安倍政権ですることはないと警戒心を持っている。国民の健全性を示している。 続きを読む


輪島市門前町の産廃処分場建設反対運動報告

きれいな環境、生きられる故郷を守り、子孫に残す

輪島市門前町 舘谷富士夫

 原発と産廃の建設過程は似ていて、地域の共同体を分断させる手法もほとんど同じであることに気づいた。私は石川県志賀町に立つ志賀原発の隣町に住んでいる。輪島市門前町の家の前には、「志賀原発はもうやめよう ここから27‌km」と書いた2m×4mの大きな看板を国道沿いに掲げている。本題に入る前に反産廃の闘いに向け、住民はなぜ、建設当時も今も権力に取り込まれてしまうのかを考えてみた。そのことを冒頭述べさせてもらいたい。 続きを読む