鹿児島での軍事基地化の動き
強引に進む馬毛島基地計画
鹿児島県議会議員 上山 貞茂

西之表市矢板市長は2月3日、岸信夫防衛相と馬毛島自衛隊基地計画の件で会談をした際、地元の意向を反映させるため、計画を前提に国と市による協議の場の設置を要請、基地整備に伴う米軍再編交付金や自衛隊員の住居について「特段の配慮」を求める要望書を提出した。これまで「計画に同意できない」と反対の立場を堅持していただけに、馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会などに衝撃が走った。基地の賛否で島民の分断を避けたいと思いを語っていた市長だが、昨年末に総額3千億円超の基地整備費を計上した2022年度政府予算案が閣議決定され、1月には馬毛島が基地の「候補地」と日米間で確認、賛成派市民から「反対していたら交付金がもらえない」との声に押された形である。
国との協議がなされないまま地元無視の強引な手続きに対し、市長は「現実的な対応で市民の不安を解消する必要がある」としているが、賛否が拮抗している問題であるからこそ拙速な行動は慎むべきだった。会談には、鹿児島4区選出の森山裕衆議院議員も同席、圧力が働いたのではないかと推察されるが、計画を受け止めることが前提でなければ協議の場を設けないとする国の姿勢は民主国家と言えるだろうか(市長は賛否を表明していない)。






米中対立は激しさを増す一方であり、このままでは「新冷戦」にとどまらず、この地域で「熱戦」が起き、日本も戦場になりかねない。世界も米ブロックと中国ブロックに二分されていく。この状況下で日本には、軍事力強化の声しか存在しないかのような空気である。筆者が代表を務める新外交イニシアティブ(ND)では、この事態を強く懸念し、安全保障についての政策提言書「抑止一辺倒を越えて~時代の転換点における日本の安全保障戦略」を発表した。ぜひ、ご注目いただきたい。
NPO法人「新外交イニシアティブ」は、3月、「抑止一辺倒を越えて」と題する安全保障に関する提言を発表した。同提言は、北朝鮮、ロシア、韓国、インド太平洋、中東など、広範な外交課題についても触れているが、ここでは、米中対立のなかにおける日本の対応に関する部分を中心に紹介する。

