令和の百姓一揆 5

福岡県大牟田市

広範な国民連合・大牟田地区懇談会 樋口 茂敏

 私たちは、「みんなで語ろう『食と農の今を考える』」というシンポジウムを4月19日に開く準備をしている中で「令和の百姓一揆」のことを知りました。呼びかけに「3月30日のトラクターデモを起点に、以降全国でデモやシンポジウムを」とあったので、私たちの取り組みもその一環として位置付けていただこうと思いました。そうすると3月30日は動く必要がある。
 時間の余裕もないので身近な所からと、近隣の柳川市、筑後市の仲間にも呼びかけて「令和の百姓一揆に連帯する南筑後行動」を企画しました。内容はスタンディングとトークリレー。場所は大牟田市の東新町交差点付近。
 国道筋の交差点ですので、トラクターは無理だと話していたら、メンバーの一人が実物大のトラクターの模型を作りました。平面ですが絵ではなくて、車輪や運転席などのパーツを別々に作って、現場で組み立てるという本格的なものでした。別の一人は、赤米や黒米などの古代米を含む、15種類の品種の稲束標本を展示しました。
 当日は10人が発言しました。新規就農の男性は、発芽したばかりのジャガイモの芽を遅霜から守る苦労を語りました。以前栄養士をしていた女性は、食のスペシャリストを自負していたが、農作業に参加して、食べ物のことを何も分かっていなかったことに気付いたとの経験を語りました。農業者の男性は、「土地在り、耕さざるは天の喜ばざるところなり」という田中正造の言葉を引いて、耕作放棄地を耕すのはわれわれの義務だと発言されました。その他の方々も、現場や自身の体験を踏まえた発言でしたので、それぞれが感動的でした。
 スタンディングのプラカードは「農業を守れ! 農村を守れ! 農家を守れ!」としました。五十数人の方が参加。遠く佐賀県の唐津市から駆け付けてくれた女性や、実家が八女市のお茶農家だという若い女性も参加してくれました。チラシを配っていたら、手伝ってくれた通行の方もいました。短い準備期間の取り組みでしたが、思いもよらぬ反響に勇気づけられました。なお10人の発言の要旨は、4月中旬に発行する「日本の進路福岡版」に掲載します。
 今後のことですが、当面は4月19日のシンポジウムに全力を注ぎます。
 元々は市民(消費者)が無農薬・無化学肥料栽培に参加する「いちのたんぼの会」を立ち上げたのが2003年でしたが、当時は主なメンバーは50歳代、中核となる農家の山下さんは40代後半でした。それから22年。それぞれが言わないものの「あと何年農作業ができるか」を心配すべき齢に達しています。会の課題は現在の農村の課題と重なる部分があります。解決のため農福連携を模索したり、本年は月1回、計11回の「市民農業塾」を計画したりしていました。そこに今回の米騒動。一部に「農家が悪い」かのような言説があるので黙ってはおれぬと、このシンポジウムを企画したしだいです。
 既に何人かの農業者とお会いしています。自治体の行政との関係も模索したいと考えています。
 ただこの間の取り組みは小回りが利く大牟田地区を中心としたものでしたから、これを全県的な取り組みにしていく必要があると思います。国民連合・福岡の世話人会議にも提起し、議論していただいています。全県に広げ、全国とつながりたいと考えています。

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