[米兵犯罪から女性を守る]二度と事件を起こさせない

全県一丸となった県民大会を!

沖縄県女性団体連絡協議会会長 伊良波純子さん に聞く

問題は女性の人権が侵害されたこと

 沖縄では米兵による性的暴行事件が相次いで発覚しています。私たち女団協は商工会や労働組合など21の女性団体で構成されていますが、何かを決めるときには全会一致です。昨年末の米兵による少女に対する誘拐・性的暴行事件に抗議して再発防止などを求める県民一丸となった大会開催を要請することも、全会一致で決まりました。7月26日には記者会見を開き、県民に広く呼びかけたところ、賛同団体が40以上に広がっています。
 この問題は米軍基地問題でもあるんですが、いちばんの問題点は女性の人権が侵されたということです。ですから女性たちに声を上げてもらいたい。たとえば手芸や体操グループといった小さいグループからも声を上げてもらいたいと思っています。今回は琉舞研究所も真っ先に参加してくださいました。一般県民・市民は要請活動に慣れていないので、手を上げることは難しいかもしれませんが、そういうことが理想かなと思っています。また、「フェミブリッジ沖縄」、「Be the Change Okinawa」など女性の人権を考えるグループも賛同団体に名前を連ねてくれました。これは今までにはなかったことで、私はすごくいいことだなと思っています。8月には県庁前で賛同団体によるスタンディングも行いました。
 賛同団体役員の男性が「この問題は女性から声を上げるものかなと思って遠慮していた。自分たちも声を出していいんだね」と言ってくださった。当然、女性の人権については男性にも関心をもっていただきたいと思っています。「もちろんですよ。歓迎します」と協力をお願いしたところです。
 労働組合など、組織的な活動がだんだん弱くなっている中で、それでも何かあったときに集まることがあるとすれば、思いを同じくする個々人だったり、友達同士だったりなんですね。今はそういう時代なんだろうなと思います。

知事も県政与党、野党も一緒に

 沖縄県議会はこの米兵の性的暴行事件に対して、全会一致の意見書と抗議決議を7月10日に出しています。意見書は、①被害者への謝罪、丁寧なケアおよび補償、②被害者のプライバシー保護とセカンドレイプの防止、③事件発生時の県・市町村等自治体への速やかな情報提供、④日米地位協定の改定、を国に求めていて、女団協だけでなく市町村議会、市民団体等の求めをくみ取った内容です。
 私たちはそれを踏まえて7月29日に県議会議長宛ての県民大会開催の要請書を出し、県議会の各会派室を回りました。意見書実現の後押しの県民大会です。
 県政与党からは「一緒にやりましょう」と返事があり、自民党と公明党も積極的とは言えないまでもその対応から、前向きに考えてくれるものと期待しているところです。私は県政野党の自民党、公明党も信じたい気持ちです。同じ沖縄県民ですからね。
 要請書は全市町村の議会議長と首長にも出しました。
 県議会が党派・会派の区別なく全会一致で意見書を可決したということはとても重要なことです。県議会が全会一致で決議したんだから、県民の代表である県議会から「知事、やりましょう」と働きかけてもらえればと思っています。
 私たちは「女性の人権を守るために何とかして」と言っているだけなんです。
 返事が少し戻ってきているところですね。那覇市では直接議長にお会いしましたが、「ぜひ一緒にやりましょう」と言ってくださいました。

声を上げたからには

 そもそも女団協は抗議団体ではなくて、女性や子どもの人権を守り、男女平等、男女共同参画社会の実現のための学習会や議会・知事要請などに取り組んでいる団体です。大会開催のために、どこに行って誰に会えばいいのか、どうすればいいのかもわからない。女団協もこういう活動の経験がないから手探りなんです。
 こういう状態の中で、あっちこっちに引っかかってはやり直し、そしたらまた教えてくださる方もいて。いろんな方に助けられながら、「あぁそうなんだね」とやっているところです。
 声を上げたけど、どこまで頑張れるのかという懸念はあるんですね。でも声を上げたからにはどんな形であってもいいからとにかくやろうと皆で話しています。大会参加者の人数は関係ないと思っています。女性の人権侵害に関心をもってくださる人たちが集まれば、それは「大会」と呼んでいいと思うんですね。
 人数に引っ張られていったら成功・失敗で話を片付けられてしまう。そういう問題ではない、これは女性や子どもの尊厳、人権の問題です。
 誰もがこんな事件が起きるのは嫌なんですよ。だからみんなにもっと関心を払ってほしい。自分の家族だったら、自分だったら、自分の友達だったらと考えてほしいし、事件を忘れないでほしい。
 距離的に離れた内地では、私たちの活動は正確に報道されず、事件を知らない人たちも多いと感じます。逆に内地でも行われているはずの同様の活動を私たちはよく知らない。
 だから私たちは、お互いを責めるのではなく、お互いを知る必要があります。これは何とかしてつながらないといけないですね。つながれば力が湧くし、次の方法が考えられるし、もっと新しい何かが生まれるような気がするんです。

呼びかけ

米兵による少女暴行事件に抗議する県民大会を開催しよう(要旨)

沖縄県女性団体連絡協議会 会長 伊良波純子

 米兵による少女への性的暴行という痛ましい事件が発生しました。
 復帰50年以上が経過しても沖縄では犯罪の根源となる広大な米軍基地から派生する事件・事故が頻発しており、県民の命と暮らし、人権は脅かされ続けている現状です。在沖米軍によるあまたの事件の中でも、特に未成年者への誘拐・性的暴行事件は凶悪犯罪であり、被害に遭った少女の恐怖と苦しみ、家族の衝撃と怒りを思うと憤りを禁じ得ません。
 性犯罪は女性の未来を閉ざすものです。私たちは米軍人・軍属が事件を起こすたびに抗議、再発防止の要請を行ってきましたが、犯罪はなくならず、「再発防止のための綱紀粛正」がいかに空文句であるかが明らかになっています。
 今回の事件で外務省・防衛省、県警が情報を隠ぺいしていたことも大きな問題となっています。その後、市民団体や自治体議会からの相次ぐ抗議・意見によって、短期間のうちに国は対応の改善を表明しており、県民の意思表示がいかに重要であるかがわかります。
 県民は女性の尊厳を蹂躙する凶悪な事件を許しません。女性への性暴力事件という重大な事件の情報共有を行わなかった国捜査当局に対し、厳重に抗議します。7月10日、県議会が米兵の性的暴行事件について抗議決議・意見書を全会一致で可決しました。卑劣極まる意見の悪質性を指摘し、被害者への謝罪及びケア、実効性ある再発防止策の実現等、まさに市民団体等が求める内容となっています。決議書、意見書の実現を後押しし、その実現をめざし、県民・市民団体・県議会一丸となった県民大会の開催が求められています。
 開催に向けて、貴団体へも賛同団体への加盟を呼びかけます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする