米兵性的暴行と政府隠ぺい厳重抗議 藤本 眞利子

全国の地方議会で意見書を上げましょう

和歌山県議会議員 藤本 眞利子

 今年の夏はことさら暑く、実感として、温暖化の影響がじわじわと出てきていると感じずにはいられません。
 「暑い暑い、大変だ」「やれ、パリオリンピックだ」と言っている間にも、日本の政治は危機をあおり、軍備をさらに増強させようとしています。今まさに進められている日米の軍事の一体化は日本に何をもたらしていくのか、私たちは真剣に考え、行動していかなければなりません。
 そんななか発覚した沖縄における米軍構成員等による女性への暴力事件の隠蔽は、この間の政治の流れの中で起こりました。
 昨年の12月に起こった事件を半年間も県や県民にも公表していなかった事実が発覚し、沖縄県では大きな怒りに包まれています。
 県議会ではいち早く抗議の決議文・意見書が提出されました。
 ここでとても大切なことは、沖縄の問題は沖縄だけの問題ではないということです。
 国土面積の0・6%の沖縄に70%もの米軍基地が集中している事情があるということは承知していますが、この問題は日本の主権にかかわる問題として考えなければなりません。
 報道によると昨年の12月に暴行事件が発覚し、家族から通報を受けた県警は防犯カメラから容疑者を特定、今年3月11日に書類送検、那覇地検が3月27日に起訴したということです。しかし、このような情報が政府レベルでとどめられ、地元には一切伝えられていないことが大きな問題です。
 1995年9月、小学生が米兵3人により性的暴行をされるという痛ましい事件が起き、県民の怒りが爆発し、大規模な抗議集会が開かれたことを覚えておられる方も多いのではないでしょうか。
 その後、容疑者の身柄引き渡しなどについて日米地位協定の運用が一部見直され、沖縄では公共の安全に影響を及ぼす可能性がある事件が起きた場合、地元に情報を伝える経路も定められました。
 にもかかわらず、その約束は反故にされ、意図的に隠蔽されました。
 そのため、本年5月にも同じように性的暴行事件が起きていたことも明らかになりました。
 私たちはこのような現状を容認できません。
 性的暴行は魂の犯罪と呼ばれ、被害者の負った傷は生涯心の傷として残ります。それと同時に米軍による犯罪が日本の法律では裁けないという日米地位協定の壁が大きく立ちふさがっています。

県議会の女性議員に
呼びかけて

 今回私は、県議会の3人の女性議員にも呼びかけ、党派を超えて意見書を出そうと準備しています。また、私が代表をしている「わかやま女性議員の会」にもこの問題を取り組んでほしいと呼びかけ、各市町村議会からも意見書を出してほしいと要望しました。
 その意見書の骨子として、沖縄県の意見書も参考にさせていただきながら
・被害者への完全な補償
・被害者へのケアの実施
・関係市町村への迅速な通報
・日米地位協定の抜本的な改定
 を盛り込もうと考えています。
 平和と人権を基軸に政府に対してしっかりと声を上げていきたい。
 一人ひとりの力は小さいけれど無力ではないことはフラワーデモが物語っています。フラワーデモは性的暴力を許さない大きな世論をつくり、法律を変えました。
 皆さん一緒にやりましょう。一つ一つの議会から声を上げていきましょう。