いつまで続く政府の沖縄いじめ!!
沖縄県議会議員・広範な国民連合全国世話人 山内 末子
米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り「辺野古が唯一」の文句で移設を強行し続ける政府。
軟弱地盤が見つかり、地盤改良工事のための設計変更申請では必要な調査が実施されず地盤の安定性が十分に検討されていない――などを理由に沖縄県は変更申請を不承認とした。ところが防衛省は「私人」になりすまし国土交通省へ不服申し立て申請を行った。それからの国と沖縄県の法廷闘争についてはご承知のことと思う。
何よりも何度も選挙で意思を示した「辺野古NO!」の県民の民意を主張してきた沖縄県。しかし主張は政府に忖度する司法には届かなかった。海底90メートルの地盤改良にどのような工事ができるのか。世界でも類のない工事、予算は当初計画の3500億円から設計変更後は9300億円と跳ね上がった。
しかし、これまでの浅瀬の簡単な埋め立て工事(埋め立て全体の14%)で4300億円かかっており、変更後予算の半分をすでに使っている。今後軟弱地盤を抱える未知の工事。その難易度から見て工期も予算も政府の言う9300億円、12年を軽く超していくことだろう。沖縄県の試算によるとその規模は2兆5500億円、工期は30年以上、いや完成の目途も立たない。そういう実態をしっかり示したが、判決ではその実態に一切触れることはなかった。
地方自治を頭から否定
しかも高裁では、憲法に保障されている地方自治の権利・本旨をないがしろにする「玉城デニー知事の不承認は知事の権限を超えている」という判決を下したのだ。
最高裁においてもこの判決を支持し、不承認は「日本の公益に反する」と言い切った。沖縄県は最高裁で、地方自治の本旨に則り対話による解決を求めた。だが最高裁はその権限を放棄し、県民からは「司法は死んだ」という強い憤りの声が上がった。
その後政府は、知事は変更申請を承認せよという全国で初となる代執行裁判に提起した。
そして令和5(2023)年12月25日までに承認することを命じる判決が言い渡された。
国と地方自治体は対等であるという憲法の趣旨に反して、地方の手続きを国が代わって行うという憲政史上初の代執行が決定したのである。
玉城デニー知事は「憲法が定める地方自治の本旨や民主主義の理念、さらに沖縄県民の苦渋の歴史とその民意を踏まえれば、沖縄県の処分権限を奪い、その自主性・自立性を侵害して新たな軍事基地を建設しようとする国の代執行は、多くの沖縄県民の負託を受けた知事として到底容認できるものではありません」と談話で無念の思いを語った。
デニー知事と共に今年も
政府は判決2週間後の1月10日、大浦湾側の工事に着手した。
豊かな海に浮かぶ作業船から石材が投入されるさまを見て多くの県民は涙した。怒りは怒髪天を衝く勢いである。
選挙で何度も民意を示し、県民投票でも70%が反対の意思を示している。
政府は丁寧に説明を果たすというが、この件で知事はまだ岸田総理とも木原防衛大臣とも面談すら果たせていない。
米軍幹部からは辺野古新基地は普天間飛行場よりも滑走路が短く、完成しても使えない等々、普天間基地の継続使用が指摘されている。米軍からも普天間返還が不透明なことが判明した。米国議会調査局の調査においても軟弱地盤の工事の完成について疑問が明示され、シンクタンク調査においても辺野古工事は無理だという結果が多く出ている。
強行しようとするのは日本政府だけである。米国からすると予算のすべてを日本政府が負い、辺野古新基地が完成しなくても普天間は継続して使用し続けられるわけだから痛くも痒くもない。
肝心の日本国民が自分たちの血税で海が埋め立てられ、地方自治が破壊されるこの工事をわがこととしてもっと関心を持っていただきたい。
「防衛の最前線」との言い分でいつまでも沖縄だけに負担を負わすことなく、すべての国民で同じように負担すべき。戦後もうすぐ80年、いつまでも沖縄いじめを続ける政府に加担することなく、一緒に考えていただきたい。いつまでもどこまでも続く政府の沖縄への冷遇、止められるのは国民世論であり政権交代である。
辰年、天高く駆け上る玉城デニー知事と共に今年も力強く闘うことを誓う。
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知事メッセージ 新基地阻止に力結集を
1月12日、辺野古ゲート前で「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」が開催した「代執行埋め立てを許さない県民集会」に玉城デニー知事はメッセージを寄せた。以下、要旨。
辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議の皆さまはじめ、関係各位および、本日ご参加されている皆さま、日々のご活動に対し心から敬意を表する。
先日、沖縄防衛局が大浦湾側の工事に着手した。沖縄県は昨年12月に国土交通大臣によって変更承認申請が承認されたことから協議を開始するとしたが、協議がいまだ調っていない中で工事が着手されたことについては誠に遺憾である。
また林官房長官は記者会見で「地元の皆さまへの丁寧な説明を行う」と発言し、また木原防衛大臣も先月の記者会見で「地元の皆さま方に丁寧な説明を行う」と発言しているが、私はこれまで辺野古新基地建設問題を含む基地問題について一度たりとも、林官房長官とも木原防衛大臣とも面会する機会をいただいていない。
沖縄県がこれまで再三求めてきた真摯な対話に応じることなく、一方的な文書の送付が重ねられるばかりで、知事の権限を奪う代執行に至り、さらに工事の着手が強行されたことは「丁寧な説明」とは到底真逆の、極めて乱暴で粗雑な対応がなされたものと言わざるを得ない。
沖縄県は昨年12月20日の高裁判決に不服があるとして、同月27日に上告受理申し立てを行ったところであり、今後最高裁判所において高裁判決の問題点を明らかにし、多くの県民の願いをしっかりと訴えていく。
政府においては必然性・合理性のない埋め立て工事の強行がもたらしている甚大な問題を直視した上で沖縄の苦難の歴史に一層の苦難を加える辺野古新基地建設を直ちに中止し、問題解決に向け沖縄県との真摯な対話に応じていただくよう求める。
未来を担う子や孫のために「誰ひとり取り残さないやさしい社会」「県民が笑顔で未来に希望を持てる沖縄県」を創り上げるため、県政の取り組みへの力を貸していただくようお願いする。今こそ力を結集し辺野古新基地を止めさせよう!
「新時代沖縄の、さらに先へ」「すべての県民の笑顔のために」
共に協力し、一緒に頑張ろう。グスーヨー、マジュン、チバラナヤーサイ!