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[新春メッセージ]西島 藤彦

人権と平和、環境の確立にむけた、共同の闘いを大きく前進させよう

部落解放同盟中央執行委員長 西島 藤彦

 岸田政権は、昨年の内閣改造後の政務官のあいつぐ辞任、自民党派閥の「裏金問題」での官房長官の更迭をはじめ派閥幹部の役職員交代など、混迷を深めています。しかし、岸田政権は、内閣支持率の低下や金権腐敗の自民党政治がきびしく批判されているにもかかわらず、憲法改悪の策動を強めようとしています。さらに、選挙対策のために、減税を打ち出したものの、軍事費の増大のための大増税という軍事大国化路線を変えることなく、あくまでも米国に追従し、アジアにおける軍事的な覇権をすすめることよって、国内政治の危機を突破しようとしています。
 一方、こうした反動政治に抗して闘う政治勢力の総結集という課題が大きく前進しているとはいえない情況にあります。私たちは、人権と平和、環境の確立にむけた政治勢力の総結集にむけて、それぞれの共通した課題を明確にしながら取り組みをすすめていかなければなりません。国際社会は、長期化しているウクライナ侵略戦争や、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘激化をはじめ、対立と分断がますます深まっています。北東アジアにおいても、米中対立のなかで、岸田政権は、沖縄での辺野古新基地建設を強行するとともに、日米韓の軍事同盟化をすすめ、中国や朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策を強化しています。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡がりによって、新自由主義政策のもとで深刻化してきた貧困や格差、差別の問題が可視化されてきましたが、問題解決にむけた政治責任が果たされていません。さらに、このような荒廃した社会情勢を反映して、ヘイトスピーチやヘイトクライム(憎悪犯罪)、インターネット上の差別情報の拡散など、差別と暴力を公然と扇動する差別排外主義がますます強まっています。
 私たちは、このような厳しい情況のなかで、「部落差別解消推進法」や「ヘイトスピーチ解消法」「障害者差別解消法」「アイヌ施策推進法」などの個別人権課題における立法措置を実現してきました。自民党政権のもとにあっても、なお厳しい差別の実態を訴えてきたそれぞれの当事者の奮闘と、より広範な共同の闘いの成果です。インターネット上に部落差別情報を拡散してきた鳥取ループ・示現舎に対する裁判闘争では、昨年6月の東京高裁控訴審判決において、実質的に「差別されない権利」を認める画期的な勝利判決をかちとりました。しかしながら、差別を禁止する法制度が確立されていないなかで、インターネット上には、いまだに差別動画をはじめ多くの差別情報が削除されないままに放置されているのが実態です。
 私たちは、こうした取り組みの成果をふまえ、部落差別撤廃をはじめ、多くの差別や人権問題の解決にむけて、国内人権委員会の設置を中心にした人権侵害被害救済制度の確立をすすめなければなりません。さらに、狭山再審闘争では、石川一雄さんの無実を明らかにする科学的な新証拠を提出し、証人尋問や裁判所による鑑定を求めて「事実取調請求書」を提出し、要請署名は52万筆以上を集約しています。狭山再審の闘いでも、多くの市民や労働者の共同した闘いがすすんでいます。
 今年こそ、差別と戦争に反対し、人権と平和、環境の確立をすすめる政治勢力を大きく結集し、私たちのいのちや生活を守る政治への転換をかちとりましょう。