「自治体議員連盟」に賛同してください

食料自給の確立を推進する

発起人、北海道議会議員 北口 雄幸

 記録的猛暑日が続いた昨年の夏。
 猛暑の影響を受け、農家の皆さんはとても厳しい環境にさらされました。北海道でも、コメは白未熟粒が増加した結果、品質が低下し、販売価格が低く抑えられました。畑作物でも大豆、甜菜、野菜などさまざまな農産物に深刻な影響が出ています。猛暑は家畜にも深刻な影響を与え、道庁の調べでも牛106頭、鶏4万656羽、豚20頭などの死亡や殺処分があったと報告されています。
 厳しい農家経営に追い打ちをかけるのが、肥料や飼料、生産資材の高騰です。国の支援制度として、天候による影響を緩和する「農業共済制度」と、販売価格低下の補塡制度として「収入保険制度」がありますが、今の事態には対応できず農家経営は厳しい状況です。
 国は、農家所得を確保するため販売価格にコスト上昇分を上乗せする、「適正な価格形成に努める」としています。しかし、すべてのコストが販売価格に転嫁されると、今度は消費者が国内産を買うことができなくなるという悪循環に陥ります。

安心して農業を続けられる仕組みを

 今、日本の食料自給率は、カロリーベースで38%と言われており、食卓の6割以上の品は輸入物で占められています。ウクライナ戦争や中東紛争などにより、食料の争奪戦が始まったと言われます。
 食料の安全保障のためにも、自国で食料を調達する必要性が高まっています。しかし、この異常気候や物価高騰、それに追い打ちをかける水田活用の直接支払交付金制度の見直しなど、農家は離農せざるを得ない状況に追い込まれています。
 先日も若い農家の皆さんと意見交換しました。その中で、「安心して農業を続けられる仕組みづくりが必要だ」とのご意見をいただきました。今の農業政策では、将来を見通すことができず、新たに就農しようとする一歩を踏み出すことができないのです。
 農業政策は、農家だけのものではありません。食料の海外からの調達が難しくなりつつある今だからこそ、「食料の自給」という視点での農業政策が求められています。
 国は25年ぶりに、農業政策の憲法と言われる『食料・農業・農村基本法』の見直しを2024年度にも行うとしています。しかし、肝心な国内での自給確保の概念は失われ、食料安保の概念で不測の事態での特定作物の強制作付けなどが強調されています。特定作物とは『イモ』です。有事の際に国民は毎日『イモ』を食べることになりそうです。
 このようなことを避けるためにも、私たちは農家が日常的に安心して農業を続けられ、消費者も安心して国産の農産物を食べられるためにも、今年の『食料・農業・農村基本法』の見直しに合わせ、『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』を設立することとしました。この議員連盟では、食料自給の観点と持続可能な農業に向け、欧米ではすでに導入されている農家への直接支払制度を実現しなければならないと考えています。
 私たちは特定の政党に縛られず、地域を超えて、地方や都市の議員とも連携し、持続可能な農業を推進し、国産農畜産物を安定的に供給できる仕組みをつくっていきたいと考えています。
 ぜひとも、この趣旨をご理解いただき、『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』に賛同、入会いただくようお願いいたします。

『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』の設立の呼びかけ

〈目的と活動〉
 世界的な食料危機が進む中で、食料を海外に依存する日本の食料問題は危機的です。食料農業問題は消費者の問題、国民の命の問題です。生産者が持続して農業ができるよう年間数兆円規模の農業振興予算を増額して、国民に食料供給できる体制の確立を国に求めます。私たち自治体議員は『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』を設立し、賛同議員を拡大し、消費者・農業者・国民全体と連携して、食料安全保障の実現をめざします。
〈呼びかけ文――『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』設立趣意書〉
 日本の食と農の現状は危機的状況と言わざるを得ません。
 カロリーベース食料自給率は38%と先進国と言われる国の中で飛び抜けて低い状態であり、それはすなわち、日本の農業・水産業の衰退に直結しています。耕作放棄地は年々増加し、このまま進むと農村は維持できません。特に、日本の国土の7割を占める中山間地域といわれるところは、この先数十年でほぼすべての農地が荒廃し、無人地帯と化してしまうと言っても過言ではない状況です。
 また、今まではおカネを出せばなんとか食料を買うことができましたが、特に、クライナ戦争以降、おカネを出しても思うように食料・肥料・飼料等が手に入らない状況になり、まさに日本の農と食は危機的状況になってきました。
 しかし、日本という国は、本来、四季があり温暖で雨がよく降り、おいしい農作物がよくできる世界でも恵まれたところなのです。私たちの先祖はその自然の恩恵を最大限に受け止め、勤勉に大地を耕し美しい農村をつくってきました。それを私たちの世代がまさに今、壊そうとしているのです。
 こんな国を子や孫に残していいはずがありません。
 しかし、今の農政は、大規模化、ブランド化、強い農業、輸出、多様な人材の活用等々を言うだけで、それらは基本的にはすべて競争で、すべての農地・地域を守る農政ではありません。農地・地域は競争に勝ったところだけが生き残ればいいものではないのです。
 今こそ、日本中のすべての農地、すべての地域が守られ、自国民の食料は自国で作るという独立国として当たり前の、根本的な農政の確立をすべきときではないでしょうか。
 すなわち、すべての地域において、コメ・麦・大豆・畜産等、基幹的農業が若者の仕事になるよう、地域の条件に沿った国による補助金制度の確立と、そのための大幅な農業予算の増額を要求していこうではないですか。
 私たちはこのことを実現するために、ここに『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』を設立したいと思います。
 党派を超え、地域を越えて、都市の議員も地方の議員も、共に手をつなぎ、農地の維持、国民の食料確保のために声を上げようではないですか。
 農地は一度荒れてしまえば、簡単には元に戻せません。農地だけでなく作り手も一度消えてしまえば簡単には再生できません。今なら、まだなんとか間に合います。先祖が大いなる苦労の中で築き上げてきたこの農地を守っていける農政を実現していきましょう。子どもたち、孫たちが、子々孫々、安心して日本に、郷土に住んでいけるように、手をつなぎ声を上げようではありませんか。

発起人 北口雄幸・北海道議/今井和夫・宍粟市議/西聖一・熊本県議
顧問(助言者) 鈴木宣弘・東京大学大学院教授
事務局 全国地方議員交流研修会農業部会
〒211-0011 川崎市幸区幸町4-8広範な国民連合内
044-511-0427 (担当・川崎正)
申し込み:https://req.qubo.jp/kokuminrengo/form/OanG9aIC から

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