西原春夫先生ご逝去 中村 住代

長崎県民をリスペクトされ、期待と激励をいただいた

広範な国民連合代表世話人 中村 住代

 西原春夫先生の訃報に接し、悲しさとともに昨年10月8日に長崎で開催した、「日中国交正常化50周年記念集会」でご講演いただいた折の先生のお姿が、昨日のことのように目に浮かんできました。
 遠地の長崎にご高齢の西原先生をお招きすることに多少の不安はありましたが、完全に杞憂でした。ご講演は、長崎は歴史的に国際性をもち、歴史を動かす「民間」の力があったこと、日中国交正常化に果たした「民間」の役割を、戦後の民間外交について年次を追って説明、民間人の長い活動があったればこそ、国としての正規の国交正常化が成り立ったことを強調されました。


 最後のまとめでは、中国は中国人の心を傷つけずに響く思想と行動で、それが中国の発展にとって参考になるならば受け入れると言われ、また、長崎は鎖国中でも中国との貿易を絶やさなかった長い深い伝統があり、日中国交正常化50周年を契機に独特の未来志向を掲げて日中関係を良い方向に進める力量を長崎はもっている、長崎の先進的な民間思想の根幹は何か、それを考えるのに私の独特の考え方が参考になれば誠に幸いであると締めくくられました。
 この言葉は、長崎で日中友好をはじめ東アジアの平和・共生、「日中不再戦」を目指して活動している私たちへの激励であり賛辞であると受け止めました。併せて西原先生は、私たち長崎県民をリスペクトし、期待と激励のこもった多くのメッセージを託されました。
 わずか2日間の短い交流ではありましたが、講演のほかに記念事業実行委員会メンバーとの交流や、西原先生たってのご希望であった稲佐山と鍋冠山からという二方向からの観眺も堪能していただきました。想像するに、西原先生の視線の先には海を隔てて向かい合う中国が視界にあったのではないかと。
 志半ばで旅立たれた西原先生の「日中不再戦」のご遺志を引き継ぎ、歴史に真摯に向き合い隣国と仲良くしていく道を邁進していく決意です。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。合掌