玉城義和さんを追悼し、昨年の広範な国民連合全国総会での発言要旨を紹介します。
【2016年11月22日、広範な国民連合第22回総会記念シンポジウムでの玉城義和さんの発言】
日本の政党を定義づけるときの一番簡単な方法は、アメリカとの距離感を測ることです。つまり、アメリカとどのくらい距離をもって政治に接しているかを考えれば、その政党の位置が大体分かります。
なぜ安保法制がそれほど民意を得られないのか。アメリカとの距離感がないからではないでしょうか。自民党はアメリカとズブズブの距離感をもっている人たちです。アメリカと差がないことに、安保法制の議論が深まらない理由があるのだろうと思います。
野党第1党の民主党には自民党以上にアメリカとの距離感が密着している、ズブズブの議員がたくさんいます。そういう方々が自民党の安保法制に代わる新しい方向を出せるはずはありません。
クリアな議論がちっとも出てこない。何を言っても分からない有様なのは、アメリカとの関係が基本的にあるからだと思います。戦後70年も経っているわけで、非常に深刻な問題です。
鳩山由紀夫さんが「普天間基地を少なくとも県外に」と言いましたが、実際にはできませんでした。一国の総理といえども、日米関係、日米同盟に触れた途端に、アメリカの「ジャパン・ハンドラー」、日本にいるそのカウンターパートナーが一斉に動き出して、「日米関係は壊れた」と大騒ぎし、足を引っ張られ、内閣が崩壊する。日本はそういう国であるわけです。
国会前に集まった労働者、市民、学生、それに沖縄県民の共通の思いは、アメリカに追随する安倍首相が強権的な政治をやるような日本ではなく、それに代わる「もうひとつの新しい日本」です。非常に難しいことではありますが、「もうひとつの新しい日本」の方向をつくらない限り、沖縄が抱えている問題も基本的には解決しないと考えております。
もちろん、短期的には翁長さんがやっている闘いです。そして、辺野古の現地で県民の闘いを強化して、強固な壁をつくっていく。
長期的には、広範な国民連合がめざしているような統一戦線をつくっていく。いろいろな闘いをしながら、安保条約についても、「体制選択論」のような左派的視点ではなく、70年間も外国の軍隊を駐留させて、日本はこれでいいのかと、右にも左にも通用するような投げかけをしていく。特に政党にいる方々は、そういう考え方で戦略を練ってほしいと思います。まだ手さぐりではありますが、「もうひとつの新しい日本」というものを、身近なことも含めて大衆的な議論で深めていきたい。
大きな絵を描いていく中でしか、沖縄の問題も解決しないと思います。鳩山さんを見ていて、それを強く感じました。大変時間がかかることですが、そこに拠らざるを得ないと思っております。
知事が埋め立て承認を取り消すと、政府は行政不服審査法で審査請求をしました。基地移設は、日米関係を含む最大の政治問題であり、政治で解決せず、司法に投げてどうするのですか。沖縄は去年の県知事選、名護市長選、衆院選で全部勝っており、自民党は衆院選小選挙区で全員落選しています。
政治は世論や民意が一番重要です。翁長知事は政治家として世論に訴え、民意を尊重する民主政治の大道を進んでいますが、大変厳しい闘いになります。しかし、売られたケンカですから、われわれも辺野古の大衆運動を支え、強化しながら、広く全国の世論に訴え、硬軟おりまぜながら闘います。