壊滅的影響を受ける北海道農業
北海道議会議員 北口 雄幸
「影響は限定的。ご安心下さい!」
これは、昨年10月5日に大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)に関しての、政府の説明である。
限定的とは、日本全体では限定的かもしれないが、当該地域にとっては壊滅的な影響を受けるということであり、その地域が北海道であり、農業の分野なのだ。
政府は昨年12月末、TPPによる影響額を試算し公表した。それによると農林水産物のマイナス影響は、1,300億円から2,100億円とし、2年前に試算した3兆円を大幅に下回った。
北海道も政府の試算方法をベースに、今年2月に試算を行った結果、農林水産分野を中心に402億円から598億円の影響を受けることを公表した。この内訳としては、農畜産物の影響が337億円から478億円、水産物が53億円から108億円、林産物は12億円とのことだ。
この表からも明らかなように、国の試算では、米の影響をゼロにするなどきわめて恣意的で、関係者はその試算を信用していない。
また、北海道の影響試算も国の試算方法に準拠しており、いち早く条件闘争へと軸足を移したJA北海道中央会の飛田会長でさえ、「試算対象外の品目やTPPの関税再協議など不透明な動向も含め、さらなる分析が必要だ」とのコメントを発表し、道独自の試算や影響調査を求めているほどである。