大討論2026

中小企業の心配はレアアース問題

高市発言で日中労働者の交流中断

ものづくり産業労働組合JAM会長 安河内 賢弘さん

 JAMという労働組合は中小企業の製造業を中心に組織をされておりまして、300人未満の中小が全体の8割、およそ2000単組39万人を組織しております。連合の中では5番目に大きい組織です。
 ちょうど春闘の真っ盛りでありますので、中小労働者が今置かれている状況について少しご説明をさせていただきたいと思います。今年のJAMの方針は、昨年の1万5000円のベースアップに2000円プラスして、1万7000円のベースアップの要求ということになっております。今年の春闘は加盟するすべての組合員がしっかりと実質賃金をプラスにしていく、物価高に負けない賃上げを獲得していくのが最大の目標です。
 賃金を上げるために何が必要なのかというと、中小製造業では価格転嫁ということになります。中小企業は生産性が低いから儲かってないのではなくて、価格転嫁ができてないから儲かってないということです。2022年のころは中小企業の価格転嫁は10%を切るぐらいしかできてなかったんです。それが今は40%まで上がってきていますが、ドイツは90%で中小企業と大企業の賃金は10%しか差がないんです。ですから90%の価格転嫁と大企業との賃金格差是正を求めていかなければならないと思っています。
 いま日本のものづくり産業の最大の課題は人手不足です。私は1971年の生まれですが、私の時代には18歳は200万人いました。それが今100万人です。われわれの時代は70万人の仲間が高校を出て現場で仕事をしていましたが、今は5万人しかいないんですよ。工業高校の有効求人倍率は32倍で、本当に金の卵です。中小企業では本当に人手不足で苦しんでいるという実態があります。
 労働者にとっては大企業だろうが中小企業だろうが、その地域でささやかな幸せを得るための生活費というのは変わらないはずです。物価が上がれば当然、賃上げもしっかりやっていかなければならないんです。
 トランプ関税自体は影響が全くないわけではないですけども、過度に心配する必要はない。よくアメリカで物を作るべきだと言いますが、アメリカの賃金は日本の3倍ですよ。そんな高い賃金の人たちを雇って、しかも生産性も低くて品質も悪い。15%の関税を払ってでも日本で物を作って売った方がいいというのが現場の声なんです。
 それよりもいま経営者の皆さんがいちばん心配しているのはレアアースの問題です。大手は他のところから買えるかもしれませんが、中小はそうはいきません。日本と中国が平和で友好的な戦略的な関係を続けることは、われわれ労働者の仕事にとっても非常に重要な課題なんです。
 中国の労働組合である総工会の皆さんとは、JAMも入っている金属労協として定期的に交流をやっております。私が最後に行ったのは2019年の11月、コロナの直前で、昨年これが再開されまして、中国から労働組合の方が日本に来られました。
 今年はわれわれが行く番でありましたので、そのつもりで準備をしていたんですが、残念ながら中国の方から今回はお断りをされてしまいました。民間外交がこんなふうに途絶えてしまうというのは、本当に問題があると思います。
 われわれとしては粘り強く、労働組合としてできることをしっかりとやっていきたいと思いますし、高市政権にはしっかりノーを突きつけたいと思っています。