熊本に敵基地攻撃ミサイル配備

高まる住民の不安 平和めざす幅広い運動を

広範な国民連合・熊本事務局 渡邉 浩

 7月29日、地元紙熊本日日新聞が「防衛省、健軍に長射程ミサイル 25年度末、敵基地攻撃能力を保有」と報道しました。ミサイルは、熊本に続いて大分の湯布院駐屯地、沖縄の勝連分屯地にも配備されます。健軍駐屯地ではすでに、司令部の地下シェルター化も進められていて、住民の間で不安が高まっています。

街のど真ん中に
ミサイル配備

 ミサイルが配備されようとしている「健軍」は第2次大戦中、三菱重工の飛行機工場があり、帝国陸軍の飛行場もありました。敗戦後、1954年に自衛隊の発足とともに健軍駐屯地が置かれ、今では九州沖縄を管轄する陸上自衛隊西部方面総監部が置かれています。
 同時に健軍地域は、自衛隊があるだけでなく、戦時中の三菱工場や飛行場の広大な跡地に、熊本赤十字病院や熊本市民病院などの医療施設がつくられ、熊本市の東区役所や東税務署、陸運事務所、東警察署があり、熊本県立大学や税務大学校のほか多くの教育機関もあります。県営や市営の団地、住宅も数多くつくられ、熊本市電の終点「健軍」駅と健軍商店街を中心に、熊本市の東の生活拠点としてとして大きく発展してきました。
 その街の真ん中に敵基地攻撃能力のあるミサイルを持ってこようというのです。今度配備されるというミサイルは決して自衛のためのものではない。飛距離200キロを1000キロ以上に改造したもので、中国本土まで届く「敵基地攻撃」の先制攻撃用です。「戦争になった時に真っ先に攻撃を受けるのでは」という住民の不安は当たり前です。

高まる不安、
説明を求める声

 健軍商店街を訪ねてみました。いろいろと話を聞くと、昔のにぎやかさはないとはいえ、若い経営者たちが夜市などを企画して街を盛り上げようと頑張っています。
 「ミサイルのことは初めて聞いた、決まってからではなく事前に説明してほしい。順番が逆ではないか」、「商店街で賛成している人は誰もいないはずだ」、「これまでの平和を壊すようなことはしてほしくない」、「できればミサイルは持ってきてもらいたくない」という声がほとんどでした。
 新聞報道でも駐屯地近くに住む自営業の男性が、「市街地にある健軍駐屯地がなぜ選ばれたのか住民への説明がないまま物事が決まっているのは納得できない」と言っています。「なぜ熊本に必要なのか、攻撃の標的になった場合、どんな情報をどうやって住民に伝えるのか、国は配備計画をきちんと説明すべきだ、そうでなければだれも安心して暮らせない」と自治会役員さんも述べています。
 熊本日日新聞の社説は、「反撃能力に関して国民的な理解が広がったとはとうてい言い難い。今からでも遅くはない。政府はミサイルの配備より前に国民の理解が進むよう、リスクを含め丁寧な説明をすべきだ。改めて国会での熟議求めたい」と書いています。当然のことでしょう。

県は国と防衛省に
「説明会」を求めるべき

 危機管理を統括するといわれる熊本県知事公室長は、「自衛隊や防衛省から具体的な説明や打診はない、まさに寝耳に水だ」と発言しました。
 そんなはずはありません。今年の3月に、熊本日日新聞に「長射程弾、熊本に先行配備」との報道があり、「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」や「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」などの市民団体が、計画の中止と説明会の開催を、総理大臣、防衛大臣、県知事に要請しています。それを放置しておいて、何の回答もせずに、「知らなかった」というのは、県民をばかにしたもので、許すことができません。
 今回の事態に木村県知事は、「しっかりと国から地元に対して説明していただきたい」と言っていますが、口先だけの対応に終始すれば、県民の不信と不安はますます広がるでしょう。県は直ちに熊本市民、県民のために「説明会」を強く求め、実現すべきです。

緊急の抗議集会、
全国から賛同の声

 8月4日、「熊本を戦場にするな! 健軍駐屯地への長射程ミサイル配備計画撤回を」という緊急抗議集会が開かれました。市民団体や政党など13団体の呼びかけによるものです。大変な暑さの中でしたが、自衛隊近くの健軍本町公園に約120人が集まって、「日本を戦争ができる国にさせない」、「ミサイルでは日本を守れない」という抗議の声を上げました。
 主催者からは、この集会に多くの人からの賛同があり、地元熊本の団体や個人はもちろん、福岡、久留米、北九州、大分、佐賀、広島、呉、岩国、京都など全国からメッセージが寄せられ、大きな広がりができていると報告されました。
 そして、防衛省と自衛隊西部方面総監、熊本県知事に申し入れを行いました。要請事項は、「①健軍駐屯地および、湯布院駐屯地、勝連分屯地はもちろん、全国どこであろうとも長射程ミサイルを配備しないこと。②弾薬庫建設や基地整備、ミサイル運用部隊の配備などについて住民説明会を開催すること」でした。

進む「戦争準備」

 日本政府はこれまで、沖縄県での辺野古新基地建設、先島諸島への自衛隊駐屯地建設とミサイル部隊の配備など、沖縄県民の意向を無視して強行してきました。この数年、九州でも軍備増強が驚くほどの速さで進められています。
 鹿児島県での馬毛島基地建設と日米軍の共同使用計画、さつま町弾薬庫建設。佐賀県での自衛隊駐屯地建設とオスプレイの配備。大分県での敷戸弾薬庫増設と湯布院駐屯地への長射程ミサイル配備計画。福岡県での築城基地の増強と日米訓練の強化。宮崎県でのえびの駐屯地への弾薬庫建設、航空自衛隊新田原基地へのF35Bの配備と日米共同訓練の強化。そして、熊本県での自衛隊司令部の地下シェルター化と長射程ミサイル配備などです。
 また、沖縄の先島諸島住民の九州への避難計画。民間空港や港湾の軍事使用の準備、日常的な米軍機の飛来や「緊急着陸」。日米、日欧の共同訓練の増強・拡大なども進んでいます。まさに戦争準備一色ともいえる状況です。

平和を求める幅広い運動を

 こうした事態に対して平和を求める運動が広がっています。九州の各地で数多くの平和を求めるスタンディングが行われています。今年2月には、「戦争止めよう!沖縄西日本ネットワーク」が結成されました。沖縄から九州、そして全国へ運動が広がっています。熊本での抗議集会で、多くの賛同のメッセージが届いたことからもそれは明らかです。
 若者の活動も新しい可能性を示しています。8月13日の長崎での「敗戦80年 未来をつくるシンポジウム」では、日本、中国、韓国の若者が、平和や政治について討論しました。7月に九州各県で開催された、ダニー・ジンのライブコンサートでは、パレスチナに平和を求める青年と九州各地の平和運動を進める人たちが、一緒に取り組んで多くの人を集め大成功を収めました。
 戦争を望む人はいません。平和を求める運動は必ず広がっていくと感じています。より幅の広い運動をめざして頑張りしょう。

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