緊急インタビュー

戦争に巻き込まれないために
「台湾有事」を防ぐことがカナメ

自民党長老・山崎 拓さんに聞く

民意は高市首相を望んだ

 高市政権はしばらく続きますよ、選挙結果は民意だから。とはいえ小選挙区制度という選挙制度の作用があって、4分の1の絶対得票数で3分の2の議席を取ったわけです。これは小選挙区制度のいわゆる一つの利点というか、そういうものではあるんですけど。小選挙区制度を中選挙区制度に戻せば、こんなことは起こらないです。
 結果責任。これだけの結果で民意という形になったわけだから、国民が望んだということになるしかないでしょう。民意にケチをつけてもしょうがない。国民は自らの水準以上の政府を持つことができないという指摘もあります。
 今は静かに見守るしかないです。それでも高市政権を揺り動かす要因は、景気の動向とか日中関係ですとかいろいろありますけどね。
 野党がどういう立て直し方ができるのか。民意の表示というのは選挙ですから、次の選挙まで待つしかないですね。衆議院議員の任期は4年ですが、参議院選挙は2年半後にありますからダブル選挙になる可能性もあります。

米中首脳会談の
なりゆきは?

 政権のありようは次の選挙を待たなければなりません。が、それに大きな影響があるのは経済や憲法改正問題などいろいろありますが、なんと言っても日中関係です。
 今の日中関係が膠着している現状は経済にすでに大きく響き始めている。経済団体の方は憂慮に堪えないでしょうね。だけどこの選挙で高市首相が圧勝して、経済界も高市首相をいさめることはできなくなっています。
 日中関係が行き詰まるのは、日本経済にとって非常にまずいことですよ。この状況がどこまで続きますか。でも、「時の氏神」はちょっと考えにくいですね。
 そもそも日中関係悪化の原因は台湾有事に関する高市発言ですよ。
 その台湾有事についていえば、2027年に中国がどう動くかです。習近平主席の4期目の改選期ですからね。
 その布石は今年4回予定されている米中首脳会談です。そこで習近平はトランプと話をつけようとすると思いますよ。トランプが台湾有事を止めさせるかどうかわかりません。トランプの要求は経済の問題限定だから。米国の経済が良くなりさえすれば、台湾を見捨てかねない。周りは台湾との利益関係者が多いですけど、トランプは必ずしもそうじゃないから。トランプを止める力は周りにはないです。トランプがどう出るかです。
 高市首相はトランプに、3月の首脳会談で、「何とか台湾を守ってください」という話がつけられるかどうか。トランプは「よし、いいよ」と言ったって、すぐ裏切るかもしれない。なりゆきですよ。

切羽詰まった日中関係

 日中関係は難しい局面に来ていますね。茂木外相が王毅外相に会いに行って談判しても、おそらく話が習近平さんのところには上がらないでしょうね。まず王毅が会おうとしないんじゃないですかね。
 習近平の訪日が実現すればまた別ですけど。国賓として習近平を日本に招くという芸当は高市さんにはできないですよ。また、高市が招いても習近平は来ないですね。当たり前じゃないですか。
 日中関係について福田康夫さんは民間が動けという檄を飛ばしておられるけど、だけど民間は動きようがない。中国政府が中国人の訪日を止めているぐらいだから。日本から中国に行ったところで、それ以上のなにものでもないと思いますね。
 民間外交ができない。日中関係は非常に切羽詰まっています。
 福田康夫さんも河野洋平さんも、僕は早稲田大学の同級生です。この二人が日本の政界の中での親中派の代表格だけれど、二人とも僕と一緒で、年齢が今年90歳です。体力的には無理がきかない。
 だからそれに代わる人がいるかというと、今はいない。現職の国会議員の中から出てこなきゃいかんですよ。でも今、日中問題で手を挙げると火傷すると思って、みんな恐怖心を持っている。国民の中国嫌い、反中意識がすごく強いですからね。
 僕は台湾人脈もあって台湾びいきではあるんですが、中国で生まれましたからね、中国びいきでもあるんですよ。ニュートラルにやっているんだけど。中国のことをちょっとでも良く言うと、叩かれますもんね。

米中が戦えば
必ず沖縄に被害

 そうしたなかで広範な国民連合が着眼しておられるように沖縄が大事です。台湾有事になれば沖縄がいちばん危険になるということです。だから沖縄を守らなきゃいけないというメッセージが大事です。中国に対しても、日本国内でも。
 今、台湾有事で最初にとばっちりを受けるのは尖閣か与那国ですが、南西諸島はみな危ない。
 塹壕を掘ったりしているけど、そんなことでは間尺に合わない。僕は先日、宮古に行ったけど、みんなそう言っていましたよ。いざというときは九州に逃げることになっているけど、どうやって人を運ぶんだというようなことを言っていましたね。
 だから、そういう事態を起こさないようにしないといけないということです。米中が戦えば、必ず沖縄に被害がある。
 日本は、80年前に沖縄をあんな悲惨な目に遭わせたわけだから、再び沖縄を犠牲にするなということです。平和の危機です。

沖縄県民の選択が大事

 今年は沖縄の県知事選がありますが、現職が勝てば「オール沖縄」は立ち直ると思うんです。総選挙では全敗しましたが、あまり辺野古にこだわりすぎましたね。辺野古は代案がないんですよ。埋め立てが長引いていることは事実だけれど、莫大な投資が無駄になるという理由で途中でやめるわけにもいかんようになっている。
 台湾問題がある以上は、米軍としては普天間も非常に大事な基地になってくるわけです。だから「米中戦わせず」しかないんです。
 そのためには台湾独立の策動をさせないほうが良い。
 米中を戦わせず、日本も巻き込まれず、台湾は当分現状維持ということしかない。

超党派の日中議連外交を

 戦争の方向に行かないようにするためには、外交を強化するしかない。政府が動かない動けない今、外交の中心点は超党派国会議員の日中友好議員連盟でしょうか。自民党では日中問題に関しては今のところ日中議連会長の森山裕さん以外は、手を挙げる人がいないでしょう。いずれ森山さんが動くしかないでしょう。
 今は親中派とみなされたら自滅しますからね。世論の動きというのは恐ろしいね。今、日中議連に入る人が少ない。入っただけで落選すると思っている。
 だから野党の役割も大きい。誰かが架け橋をつくって、超党派の訪中団を構成して乗り込んでいくしかないのではないですか。高市首相の親書を持っていくしかないと思う。破って捨てられるかもわからんけど。
 衆議院の「中道」には公明党が半分以上いるから斉藤鉄夫さんあたりに日中議連の副会長になってもらってね。森山・斉藤ラインでいったらいいんじゃないですかね。
 「中道」にちょっとスタンスを変えてもらって、「中道」の対応として日中議連の中心に斉藤さんが座られたらいいと思います。打開の一つのポイントかと。
 「米中戦わせず」しかないのですから。