中国・北京訪問報告

今回の体験は私の見方を変えた

参議院会派「沖縄の風」参議院議員 高良 沙哉

 昨年末の12月21日から24日の日程で、初めて中国・北京を訪問した。訪問団は、団長伊波洋一参議院議員、髙良鉄美前参議院議員(社会大衆党党首)と、山本正治広範な国民連合事務局長(随行)、そして私高良沙哉の4人。高市早苗総理大臣の「台湾有事は存立危機事態になり得る」という発言の前から、伊波団長が企画していた中国訪問であったが、発言によってより重要性が増す訪問になった。
 参議院会派「沖縄の風」の訪問の目的は、沖縄を日本を再び戦場にしないために、日中政府間での対話外交を実現させることである。そして、私個人としての目的はそれに加え、中国の姿を、自分の目で見て知ることであった。

1 中国社会科学院での意見交換

 12月22日は、中国社会科学院世界経済政治研究所の研究者との意見交換を行った。
 私は、中国・台湾と国境を接する与那国、そして宮古や石垣における自衛隊の軍備拡大と有事の際の住民の全島避難について現状、住民の中にある危機感を、中国の研究者に報告した。
 中国社会科学院の研究者は、島民を全員九州・山口に避難させて、その土地で戦争をしようとする計画について、「そんな計画があるのか」と強い驚きをもって聞き返した。
 この意見交換の中で、筆者の印象に残った点は次の通りである。
 ①現在の中国が2035年までに現代化する目標を掲げており、それを達成するためには戦争よりも経済発展に重点を置いているということ。
 ②国際法を学び、国際社会において重要な地位を占めることを目指していること。
 ③同じ民族(台湾)を武力攻撃したいはずはないと、強調したこと。
 ④社会科学院での研究に基づいて政府に進言し、それが政治に生かされるということ。
 ⑤そして何よりも、高市総理の「台湾有事は存立危機事態になり得る」という発言に対し、高市発言自体が、明確な表現であったことから、撤回についても、あいまいなものではなく、明確に根拠を示した撤回が必要だと強調されたことである。これまでの日中間で築かれてきた関係に基づく明確な撤回が求められている。
 また、意見交換を通して非常に印象的だったのは、第2次トランプ政権に対して相変わらず右往左往し追従し続ける日本政府とは違い、第1次トランプ政権後、同政権を十分に分析した上で、予測可能なものとして、中国が第2次トランプ政権に対峙しているということである。そして、中国は、アメリカとの間でも軍事力による対立よりも、外交や経済関係を重視していることもわかった。

2 中国の研究者との
意見交換

 12月23日は、中国の研究者と歴史や政治分野での意見交換の機会を持つことができた。
 筆者は次のような私見を伝えた。中国に向き合う際の、日本側(政府や世論も含め)にある問題だと考える部分は、歴史認識の欠如、特に中国に対する侵略戦争、植民地支配の反省の欠如ではないか。この意識の欠如のために、現在の中国の発展に対しても理解できないでいるのではないか。いまだに、植民地宗主国的な、帝国主義的な意識が根底にあるのが大きな障害になっていると考える。また、軍事的な対立をあおる背景にはやはり、沖縄だけで戦争が収められる、局地戦争で済むという認識から、人ごと的な意識があるのではないだろうか。
 中国の政治姿勢、つまり、日本国憲法の平和主義を評価していることや、核使用に抑制的な姿勢を有していること、日本と中国との間で築かれた日中(中日)平和友好条約などの政治文書に基づいて向き合っていることを日本側が十分理解できていないことが大きな障害であると感じた。
 意見交換の中で、中国に居住する日本出身の研究者から、中国の人々は、日本に旅行で訪れたことのある人も多く、日本を身近に感じており、日本に対する意識が変わってきているため、「台湾有事は存立危機事態になり得る」という発言にも冷静なのではないか、との言及があった。
 また、中国人研究者からは、日本人の右傾化を警戒する意見、日中(中日)不再戦という中国政府のそもそもの方針を日本国内で、もっと広く知らしめる必要があるとの指摘があった。
 そして重大な指摘の一つに、台湾帰属問題が、中国にとっていかに重要な問題であり、この問題に対する中国の姿勢を日本政府は理解しなければならないという指摘があった。軽率に踏み込むべき事柄ではないという認識が必要であろう。そして、アメリカや日本が介入しなければ、そもそも中国は軍事行動をしないという方針についても言及があった。

3 初めて訪問した私が感じたこと

 ほんの3泊4日の滞在で、多くのことを知るのは難しい。しかし、初めてだからこそ新鮮に感じたこともあるとも思う。
 ホテルで中国のテレビ放送を見ていて非常に驚いたのは、70チャンネルもある放送の中で、特定の国家というよりもアジアのあらゆる国のその日の動きを放送し続けるチャンネルがあることである。これが私には、「アジアの中の中国」という意識に思えた。日本国内にいると、「日本+アジア」でアジアとは別のある意味優位に立っている、特別な国としての日本という意識を、日本はまだ持ってはいないだろうか。
 また、中国国内の各地域が「見える化」され、例えば北京に住んでいても、故郷のテレビチャンネルを見れば、地元の状況がわかるという具合だ。中央集権や都市集中の中で地域を埋没させない意識につながるかもしれないと感じた。
 そして、先進国の仲間入りをしようとしている中国は、すでに随分と発展している今でも他国に学ぶ姿勢を持っていること、そして他国に学びつつ「学ばれる」中国としての姿勢を保たねばならないという意識の中で、アメリカの覇権主義を批判しながら成長している様子が、印象的であった。

おわりに

 初めて訪れた中国・北京では、両国の緊張感が高まっている中でも率直で親しみのこもった意見交換が実現し、充実したものとなった。
 滞在期間中に、中国で働くウチナーンチュの友人と会う時間を持つことができた。高市総理大臣の「台湾有事は存立危機事態になり得る」という発言のあと、現地で接している人々の「目の色が変わった」と感じたと言っていた。中国の民衆は高市発言で、日本の侵略植民地支配の歴史を思い起こさせられたのであろう。上述のように、中国国民は冷静である。しかし、何も感じていないわけではない。
 日本政府の台湾問題への介入に対して、中国の人々が感じている強い不快感をきちんと受け止め、歴史的な積み重ねに基づく明確な「撤回」という対応を早急にすることが求められている。

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