12/2 高市首相発言撤回を求める緊急院内集会

高支持率の高市内閣が指し示す戦争推進の危機

羽場 久美子

 高市氏の「存立危機事態」発言について三点語ります。
 一つ目は、国会の場で自衛隊出動もあり得るとしたことは極めて危険な発言であり、自民党政権は「台湾有事」で戦争に関与する方向であるということ。支持率の高さは戦争前状況で国民が高揚している状態であり、絶対に戦争につなげないよう努力しなければなりません。
 二つ目は、高市発言は旧来の自民党政権の方向性と一緒であると言っていますが、全く正反対であり、台湾問題に関して日本も戦争参加できるという発言は自民党政権で公式に言った首相はいません。
 台湾問題に日本がこだわるのは、130年前の日清戦争で日本が勝ち取った領土が台湾であるためです。つまり、日本は日清戦争の中で台湾や遼東半島などの領土を獲得し、50年間も占領し続けました。敗戦により中国に返還されました。
 しかし、高市首相はサンフランシスコ条約では台湾の帰属は決められなかった、だから中国の領土ではないと言っているわけです。
 だが、1943年のカイロ宣言で、日本は占領地を中国に戻すことになり、ポツダム宣言にも明記されています。72年には日中協定だけでなく、米中会談も開かれました。キッシンジャーやニクソンが、台湾は中国の一部と述べたからこそ、田中角栄やその後の福田赳夫首相も、台湾は中国のものだと確認された。
 日本は中国に対して南京大虐殺、731部隊など、あらゆる陵辱を尽くしてきました。しかし周恩来は、日本国民を苦しめる賠償金は請求しませんでした。代わりに、台湾は中国の領土であることを認めよと大変寛容な提案をし、日本はそれをのんだわけです。
 にもかかわらず、賠償も払わなかったことを忘れ、台湾は中国の領土ではなく、台湾への武力攻撃に対して日本は「存立危機事態」として行動できる、と述べたことは国際法にも抵触する、愚かで恥ずべきことです。
 三つ目は、台湾問題は沖縄に直結し、今や日本全国にミサイルが配備されているなか、沖縄問題は日本全国の戦争問題に直結しているということです。
 しかし、中国は日本にとって第一の貿易相手国であり、日本の貿易の25%近くを占めています。観光においても中国人観光客数が第1位。それらを止めて中国は経済制裁をしているという大手マスコミの批判についても、私たちは考えなければなりません。