12/2 高市首相発言撤回を求める緊急院内集会

急速な日本の軍事化と南西シフトの危機

参議院議員 伊波 洋一

 今の状況、日本が何をやっているのかを国会議員も国民も分かっていないのだろうと思います。この間、日本政府は2016年から23年3月までの計画で、南西シフトという名で南西諸島にミサイル基地を造っています。最初は尖閣防衛、先島防衛、そして今になっては台湾防衛。まさにこれが目的だったことが判明したわけです。
 日本政府は22年12月16日に安保3文書を閣議決定しました。ここでは、今後5年間に43兆円を使って南西諸島で戦争ができる体制をつくり、28年からは5兆円台の防衛費を11兆円にすることが決められました。26年3月31日までには、日本の国土全域に長射程ミサイルが配備され、プログラム化を日本政府側はどんどん進めている状況です。
 このことを国会でも、委員会でも言ってきたのですが、なかなか反応がない。ですが、高市総理の発言はそのことを明らかにしました。いわゆる存立危機事態というのは、日本が攻撃されなくても、敵国を攻撃できるという意味なんです。
 15年には新ガイドラインができ、米軍は日本を守らないが、日本の自衛隊は集団的自衛権の行使として米軍を守ると、きちんと書かれています。自衛隊は存立危機事態になれば、自動的に攻撃します。当時、先制攻撃のミサイルはありませんでしたが、今は長射程ミサイルがあります。全国各地に配備され、いつでもスイッチを押せば攻撃ができる体制がつくられているのです。
 私たちの国がいかに軍事化の流れに移っているかということに気付かなくてはいけない。これから起こることではなく、今すでに起こっているということだと認識して、いかに止めるかを考えなければならない。しかし、そういった問題意識をマスコミは書かない。私たち政治の立場も、十分なことをしてきたかと問われると、弱いと思います。今回の高市発言は、もう戦争目前という状況に入り込もうとしています。
 令和3年度の自衛隊の特別研究では、中国は日本の5~6倍の軍事力があるため勝ち目がないことが書いてあります。勝ち目がないから、ミサイル戦なり海上戦によって持久戦にし、その間にアメリカを連れてくるという計画です。そうしたことを考えると、日本が戦争にぶつかっていくことは絶対にさせてはいけない。
 しかしながら、それでいいというのが安保3文書です。抑止と言いつつも、抑止のための仕事はしていません。すでに攻撃されている状態での演習しかしていない。
 今回の高市発言は、そのことを現実のものとして認識させる大きな機会にはなったので、そこから平和をつくっていく必要があるだろうと思います。一緒に皆さん頑張りましょう。