中国侵略戦争80年レセプション
広範な国民連合代表世話人・羽場久美子さんの挨拶(全文)
尊敬する中国の呉江浩特命全権大使、尊敬する御列席の皆様
「歴史を銘記し平和を守る」という戦後80年記念式典の、このような素晴らしい席で、自主・平和・民主のための広範な国民連合を代表して、お話しさせていただく栄誉を、心より光栄に存じ、感謝申し上げます。
今年は、戦後80年、敗戦80年です。昨年、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が、ノーベル平和賞を受けたことをしっかりと心に止め、また私自身、広島の被爆2世として、日本が二度と近隣国に対して戦争をしないことを誓いたいと思います。また今年ニューヨークの国連で、「核廃絶禁止大会」に参加し、日本と世界が核廃絶を目指して、率先して平和のために努力することを、深く誓いたいと思います。
侵略戦争の130年深く反省謝罪する
現在の国際情勢を踏まえ、平和を目指して、次の2点をお話したいと思います。
第1に、戦後80年の背景、むしろ日清戦争・日露戦争から始まる、アジア大陸に対する植民地獲得戦争、侵略戦争の130年をまず深く反省し、謝罪したいと思います。
第2に、青年・市民の力、自治体の力で、中国の皆様達と共に、次の100年の未来を共に作っていきたいと思います。
第1点目、世界の植民地化による欧米近代の時代は、19世紀から21世紀初頭まで200年以上続きました。
しかし今や、世界は200年、300年に一度の大転換を実現しつつあります。
即ち、歴史的なアジアの時代が、再び到来しつつある、ということです。
いまや、中国をはじめとするBRICS諸国、グローバルサウスが大きく成長していることは、誰の目にも明らかです。世界の多くの国々が、植民地と貧困や飢えから脱し、大国の覇権主義からも脱して、アジア、ラテンアメリカ、アフリカの国々が成長し、とりわけ貧しい近隣諸国との共同発展が、実現されようとしています。それを後押しして平和をつくっていきたいです。
欧米の時代は、ゆっくりと終焉を迎えつつあります。
中国は購買力平価(PPP)ベースのGDPで、2014年にアメリカを抜きました。2030-40年には、中国は名目GDPでもアメリカを抜きます。2050-60年には、インドもアメリカを抜きます。インドネシア、ブラジル、ASEAN諸国も成長し、アジア、ラテンアメリカ、アフリカの時代は目の前です。
だからこそ、そうさせないための戦争が、世界を覆っているのです。
アメリカは、MAGA(アメリカを再び偉大に!)を掲げてなりふり構わぬ関税戦争を仕掛け、武力で中東を威嚇し、覇権を維持し続けようとしています。
中国、インドなどBRICSの国々がすばらしいのは、いずれも、大国になっても、覇権を求めず、戦争による支配を求めず、貧しい近隣国への支援と投資、連帯と共存によって、共に発展していこうとする姿勢です。
その典型的な例が、2013年に開始された「一帯一路戦略BRI」です。中国重慶から、新彊ウィグル、中央アジア、を経て、欧州に至る一帯、陸路のルートと、中国沿岸部から東南アジア、中東、アフリカ東岸へと続く一路、海路のルート、さらに、ロシア・日本と結ぶ、北極海航路のルートです。これらは「三連の首飾り」といわれ、「地球を半周する中国の夢100年計画」を実現する経済発展と共存です。
中国は、古代・中世の大国が実行してきた、周りの国々を文明化し、共に豊かになることによって、世界に類を見ない、数千年の歴史を実現してきました。
現代においても、重慶・長安から、新彊ウィグル、中央アジア、欧州に続く「中欧班列」に象徴されるような、砂漠を緑地化し、高速道路、高速鉄道を作り、再生可能エネルギー、風力発電や太陽光を使って発展させるという、優れた戦略を実行しています。
「近隣国とともに発展する」という理念が、今の中国の発展と世界におけるグローバルサウスの成長と共同を作り出したと言っても過言ではありません。
青年を先頭に未来を切り開く
第2に重要なことは、青年と共に、市民によって切り開く未来です。
中国は、その経済成長と大国化を、戦争と覇権によってではなく、平和と共存・繁栄、さらに国民、特に若者たちの教育とIT, AI教育、によって実現しようとしてきました。若者育成は、未来をつくること。市民の主権こそ民主主義です。
今、世界中で戦争が広がっている中、東アジアも例外ではありません。
しかし、中国は、若者育成と、文化、思想の重要性を追求し、戦争力による軍事力ではなく、若者による未来と、文明力によって、平和と発展を実現しようとしています。
日本は、政府とマスコミの影響力のもと、中国に警戒する風潮は消えません。
しかし、日中友好協会や自治体協力によって、市民から、平和と、日中不再戦、文化交流、相互理解・共同発展を、実現しようとしています。
日本と中国は、「一衣帯水」の関係として、お互いを尊敬し、「二度と東アジアで戦争を起こさない」ことが絶対に大切です。
日本軍は、日清戦争以来、アジア大陸で繰り返し侵略や殺戮を繰りかえしてきました。日本国民も兵士としてその一翼を担ってきました。
しかし今や日本国民も、戦後80年をむかえ、沖縄戦や、広島・長崎への原爆投下、全国絨毯爆撃などの記憶により、侵略を謝罪し、二度と戦争を繰り返したくない、と考えています。
中国・日本・韓国、そしてASEAN諸国が、自治体・市民と共に連携することにより、また優れた若者の育成により、中国と日本が手を携えて、世界の中で、アジアから、新しい平和な世界秩序、経済発展、平和と繁栄を、共に作っていくことを、誓います。
中国と日本の市民のますますの交流と発展、共同で若者育成と平和な未来創造をしていくことを、心より祈り、誓いたいとおもいます。
共に、平和をつくっていきましょう!
青山学院大学名誉教授 羽場久美子