2月19日「令和の百姓一揆」 院内集会での現場報告

農政変えるのは今 日本全体で考え行動を

 令和の百姓一揆実行委員会(代表菅野芳秀さん)が2月19日に開いた国会内集会で現場から切実な状況報告が相次いだ。以下はその要旨。

農には人を育てる力が

 天明伸浩さん(水田、新潟・星の谷ファーム)

 3メートルの積雪の上越市の中山間地で「つなぐ棚田遺産」にも選ばれた田んぼで米作りをしている。地に足が着いた人生を送りたいと30年前、大学院を出てすぐ就農した。当時の米価は1俵2万4000円だったが、その後、1万2000円になった時もある。機械代も肥料代も燃料代も上がり続けました。
 その他にも中越地震や中越沖地震、台風の直撃、大雨による田んぼの崩壊、今年のような大雪による被害なんかもありました。日照りの年もありました。そんな苦労がありながらも米作りを続けてこられたのは、地域の仲間たちに励まされ、妻や子供たちが一緒に農業をやってくれたおかげ。
 この間の米不足の一因は、農家が高齢化し離農していることにあると思う。現在国が進めている政策は地域からどんどん人を減らす方向だ。大規模化、集約化を進めるが、100ヘクタールを超える農場では目が行き届かず収量が落ちる。
 地元の人たちの平均年齢は80歳がいいとこで、協力しながら農業をやって元気に暮らしています。兼業も含め小さな農家がいっぱいあり、多くの人が暮らしていくことが本当に強い農業ではないか。しかし、子供の数も減っていて、地域で暮らすことすらできないような状況も進む。農業や地方が崩壊する、もう直前に来ているんだと思います。
 米価が上がってほっとしたところはあるが、消費者が大変なのもよくわかる。貧しくても暮らせる仕組みを整えてほしい。農には人間の限界、成長の限界を知らせ、「人を育てる力」がある。
 地域で農業を担っているような人たちが本当に一定数いないと、これからの世界、自然環境のことを考えると破綻していくような気がしています。人を守っていくためにも農を守っていきたい。

日本全体で考えないと

 長谷川壮也さん(果樹、神奈川・ジョイファーム小田原)

 父から果樹を引き継ぎ就農して15年になる。米や野菜と比べて、果樹は何かあったら真っ先に切られる心配がある。生産者120人から130人ぐらいで生産者組合をつくって、農業の栽培基準で農薬をなるべく使用しないとか除草剤を使用しないとか、そういう基準で集まっています。
 私のところも社員4人とパート10人を雇用しているが、「働き方改革」で最賃が上がり社保加入もあって人件費が重い。毎年決算してみると赤字。中山間地でミカンを作っているので機械を入れにくい。1回60万円くらい経費かかる草刈りも以前は年3回、ところが気候変動で5、6回必要になった。
 果樹でも高齢化が進み、80歳とか85歳がざらに。この5年、急に亡くなる方が周囲に多い。後継者がいない。とりあえず奥さんがやるが、こういったベテランの方が1人亡くなると、新規就農者が5人いても、生産量とか、畑の維持とかで考えると、もう間に合わない。新規と言ってもミカンは年に1回しか収穫がなく、5年から10年間ぐらいはちゃんとした収入がない。新規就農者への支援は大切だが、「自分のところが大変なんで、研修生はもういいよ」という声も聴く。研修を受け入れる側への支援もお願いしたい。
 もう本当にこれは生産者農家だけじゃなくて、日本全体で考えていかないとどんどんどんどん弱っていく。そうした状況にあります。

自助努力だけではもう限界
 

 松崎泰弘さん(畜産、茨城・JAやさと)

 畜産は緊急事態だ。自助努力だけではもう限界で、国の後押しがいる。
 飼料価格が高止まりし燃料も人件費も上がり、非常に厳しい。うちは養鶏だが、追い打ちのように鳥インフルエンザの脅威が迫り心身ともに疲労している。飼料価格安定基金は、自家配合飼料だと加入できないなど現状に合わない面がある。制度を見直し拡充してほしい。畜産の持続には飼料自給率の向上が必要だ。飼料自給率、濃厚飼料はわずか13%というような、輸入依存度が非常に高い状況になっています。
 農地を守る、守っていく一つの手段として、水田政策においてこれまでの耕畜連携を引き継ぎ、飼料用米、子実トウモロコシへの支援を長期に手厚くしてほしい。
 畜産業界は今まさに正念場です。緊急事態です。国の後押しなしには明るい未来は来ません。農家の努力だけでは、もう無理、限界の状況です。支援の拡充を求めます。

まずは離農を止めることが先決

 金谷雅史さん(酪農、千葉・ジョンディール)

 乳牛を35頭飼っている。酪農が非常に厳しいっていうことはかなり多くの人に知っていただいていると思う。一番厳しかったのは2022年だ。「米は時給10円」というが、酪農は年間所得がマイナス48万円だった。米は兼業も含めた平均だが、酪農はみんな主業だ。主業の農家が金を払って牛乳を搾っていた。
 国も「1頭1万円」の支援をしてくれたが、首の皮一枚つなぐだけで翌月には残らない。23年の所得は183万円だったが、24年は「今までで一番悪かった」と酪農家同士で話している。3年間で100万円も稼げていないことになり、「俺たちドレイだかんな」という話も出る。
 自尊心が傷つけられている。酪農家は1万戸を割ったが、5年たたず半分になるだろう。まずは離農を止めることが先決で、国は農家を安心させてほしい。消費者には牛乳をコップ1杯、いつもより余計に飲んでもらえたら。
 今の農政を変えるのか、このままでいいのか。それが問題で、与党も野党もない。消費者の皆さんも、「百姓一揆」を一緒に歩いてほしい。

こんなことしてたら国が終わる

 下山久信さん(有機農業、千葉)

 これはこれまでの自民党・農水省の政策の失敗だ。ウクライナ戦争で肥料とか餌とか、輸入価格が高騰し、それで食料安全保障という考えが広がった。しかし残念ながら改正された食料・農業・農村基本法に自給率はなく、規模拡大・集積・輸出、20年後に基幹的農業従事者が30万になるからスマート農業、こういう基本法です。
 3月末に基本計画が閣議決定されるが、パブコメはたったの200字で、地方農政局の開く会では、あらかじめ決められた人しか発言できず、あとはオンラインで見るだけで意見も言えない。
 キャベツや白菜など野菜の値段が上がっているって言うけど、作る人がどんどん減っているから。それに気候変動。昔は、例えばキャベツとか白菜が生産過剰になって、トラクターでつぶして埋めたとかあったが今ないでしょ。
 日本の農業は弱体化の一途で、大規模化しても農村に人がいなくなる。こんなことをやって、国民に食料を供給できないんじゃないですか。国が終わります。今までの政策が失敗なんだから、国民を飢えさせるんだから、政権交代で止めなきゃ駄目なんですよ。
 今のままいったら日本の国は滅びるそうだ。子供が生まれない国になっちゃう。年間で450の小学校中学校が廃校になる国。去年の出生数は70万人を割った、毎年5万人ずつ出生数が減ってるんです。
 国のあり方が根底からおかしくなっている。声を上げて行動しなければならない。

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