再生産可能な農業所得確保へ

直接支払などを求め組織一丸となって運動展開する

北海道農民連盟委員長 大久保 明義

 新年あけましておめでとうございます。また、「広範な国民連合第26回全国総会」のご成功を心からお祝い申し上げます。
 日頃より北海道農民連盟の活動に対しまして、ご支援・ご協力を賜り感謝申し上げます。
 さて、近年の日本農業をめぐっては、安倍政権以降、経済効率優先や競争原理・貿易自由化の徹底を図る新自由主義に基づいた、農業を犠牲にする国際貿易交渉の推進のほか、生産現場の声を無視した農業・農協改革が次々と断行されました。特に、国内の主要な種を守る種子法の廃止や稲作経営の安定を図る水田活用の直接支払交付金の見直し、改正畜安法による生乳流通改革など制度・政策の改悪によって、家族経営など多様な農業者が存在する我が国の農業・農村に大きな影響を及ぼしてきました。
 そうした中、世界情勢の不安定化で食料供給リスクが高まっていることを踏まえ、昨年の通常国会では、農政の憲法とされる「食料・農業・農村基本法」の改正案が提出されました。法改正にあたっては、生産現場では国内農業生産の増大を図る施策への転換が図られることに強く期待していました。また、我々組織としても改正案への理解を深めるとともに、生産現場の声を踏まえた法改正となるよう農水省や与野党の国会議員に強く要請するなど運動を強化してきました。
 しかし、これまで掲げてきた食料自給率目標が一度も達成されていないほか、国際貿易協定の進展や農業分野への競争力強化政策の推進による農家戸数の大幅な減少、生産基盤の弱体化などの課題を十分検証せずに、国民への食料の安定供給や食料自給率の向上など、食料安全保障としての本来の議論が欠如したまま、成立したことは誠に遺憾です。
 また、基本法の一部改正案や食料供給困難事態対策法案などの国会審議においても、我々組織の要望を踏まえた立憲民主党などからの法案修正には一切応じず、与党などの賛成多数で可決するなど生産現場の想いとかけ離れた国会運営が行われてきました。
 こうしたもとで行われた衆議院総選挙において、与党の議席数が過半数を下回る状況となりました。これにより、これまで与党だけの一方的な国会運営が解消することが見込まれ、農林水産委員会においても野党が多数となったことで、対等な審議のもと生産現場に寄り添った政策の実現が求められています。
 このため、本連盟としては、今後策定される次期食料・農業・農村基本計画などにあたって、農業予算の拡充とともに、農畜産物の生産維持・増大を基本とする政策の確立、再生産可能な農業所得を確保できる直接支払いなどを求め、組織一丸となって運動展開する所存です。
 結びに、貴組織の益々の発展と活躍を心よりご祈念申し上げ、新年のメッセージと致します。

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