[各地の活動] 広範な国民連合・福岡 第22回総会

「沖縄に学び・連帯」「日中不再戦」「広範な連携促進」を確認

 広範な国民連合・福岡は第22回総会を10月5日に福岡県教育会館で開催した。
 司会を共同代表の高久明雄氏が担当し、共同代表の中村元氣氏が開会あいさつ。来賓として、衆議院議員・堤かなめ氏(立憲民主党・福岡5区)、福岡県教職員組合連絡協議会議長・藤井隆晴氏があいさつされた。また在日本朝鮮人総聯合会福岡県本部の李周学氏、平和・人権・環境福岡県フォーラム事務局長・松尾純一氏、出席された自治体議員が紹介された。また野田国義参議院議員、広範な国民連合山本正治事務局長などからメッセージが寄せられた。

 「平和をつくる希望の政治を―沖縄を再び戦場にさせないために」と題して、沖縄県議会議員の瑞慶覧長風氏が記念講演。

 まず昨年の11・23全国連帯県民平和大集会と6月の沖縄県議選挙への全国からの支援に感謝するとともに、とくに自身が「県議選に初挑戦する不安の中での福岡の皆さんからの激励の『寄せ書き』は本当に励みになりました」と、その寄せ書きの布を持参して披露した。その上で、県議選について「人々の生活の課題を重視し、世代や保革の立場を超えて『あなたと政治の架け橋に』なるよう取り組んだ。結果1万4950票と全選挙区での最多得票で当選できた。だが全体では与野党逆転を許し、玉城県政は厳しい局面を迎えている。現在3人の議員で県議会会派『沖縄社会大衆党』として議会活動をしている」と報告。
 その後、今沖縄で起きていることを話された(項目だけ紹介)。
 ①米兵による少女暴行事件が昨年12月に起き、米軍と日本政府が隠蔽していた事実が県議選の直後に発覚。その後も昨年からの6件の事件が明るみに。玉城知事は9月に訪米し、米政府に抗議し市民や学生に訴えたが、本来は日本政府がやるべきこと。
 ②石破茂首相は2013年自民党幹事長当時、沖縄選出の5人の自民党議員に辺野古移設を容認させた張本人で、県民は「平成の琉球処分」として忘れていない。
 ③辺野古新基地建設は合理性を探す方が難しい。軟弱地盤の大浦湾の杭打ち工事が始まったが、設計の再見直しは必至。県内の市町村議員有志は新たに抗議声明を発し、闘いは続いている。全国からの連帯を。
 ④島々での軍拡が急速に進んでいる。与那国では町長が独裁的に軍拡に協力。国会議員・県議団で視察調査に入ったが、貴重な樽舞湿原を浚渫して新たな軍港を造る計画が進められようとしている。
 ⑤沖縄県は平和・地域外交課を中心に、沖縄戦の教訓と「万国津梁」の歴史を基礎に政治・経済・平和の課題で積極的に地域外交を進めている。

県内外の闘いの報告、連携を確認

 講演の後、上村和男事務局長(筑紫野市議)が総会議案を提案。沖縄県民の闘いに学び連帯する課題、「日中不再戦・平和友好を進める自治体議員の会」設立の課題、各地の個別の取り組みを連携させる課題の3点を紹介した上で文書提案とした。
 その後6人の方から報告を受けた。
 鹿児島県西之表市議の長野広美氏は、馬毛島の軍事基地建設反対の闘いを報告。「馬毛島は種子島の西12㎞にある今は無人の島で、米軍空母艦載機の離発着訓練用滑走路などが建設されている。基地問題が地方に容易に入り込んでしまう環境こそが問題。職安には月収100万円という求人が出るなど一時の建設バブルだが、利益はごく一部の人で、介護や医療、農業などの現場は人手不足で疲弊が進む。地方の将来という視点で基地問題を捉える必要がある」と指摘された。
 続いて佐賀空港への自衛隊オスプレイ等配備反対地域住民の会の古賀初次会長が発言。「2014年7月にオスプレイ17機と目達原基地のヘリ50機を移駐する計画が発表された。地元の漁協と県などの間には佐賀空港開港時の公害防止協定があり、『空港は自衛隊と共用しない』と明記されていた。県知事と有明海漁協の西久保組合長はこの公害防止協定を変え、共有地である建設予定地を地権者の3分の2の同意で売却可能にした。地権者49人が反対したが、売却が決まり建設工事が進んでいる。4人の地権者が代表して建設差し止めの裁判を始め、245人の市民が原告の裁判も始まった」。古賀氏は「最後まで闘い続けます」と報告を結ばれた。
 原竹岩海福岡県議が、「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」について報告。「議員連盟には現在290人の議員が参加。3月に『食料・農業・農村基本法』の改定に関して政府への要請行動を行った。この時指摘した『食料供給困難事態対策法』が6月に成立し、緊急時にはサツマイモなどへの生産転換が命じられ、従わない場合20万円以下の罰則が科せられる。有事を回避する平和外交を優先すべきであるのに」と、怒りを込めて報告された。
 森あやこ福岡市議は、博多港が「特定利用空港・港湾」に指定された件を報告。「昨年10月に国から指定の連絡があり、市長は市民や議会への説明もなく受け入れを表明。『港の運用は今までと変わらず、国から港湾整備予算がつく』との理由だが、『有事に備える』という趣旨から、今まで通りということはありえない。いくつかの市民団体が反対の申し入れを行い、私も議員の立場で申し入れを行った。こうした高島市長の姿勢を追及し続けたい」と語られた。
 福岡県教職員組合の西川亜季人労働部長は、教職員が過重労働に追われ、子どもたちにとって学校が安心して過ごせる場になっていない現状を報告。「現場では慢性的に教員が不足し、特に福岡県は深刻。国連から日本の教育は『過度に競争的だ』という指摘を受け、詰め込み教育で子どもたちは競わされている。不登校も増加。教職員組合として『持続可能な学校教育の実現を目指す』決議をし、その趣旨の意見書を市町村議会で採択を求める取り組みをしている。連携して学校教育を守っていきたい」と語られた。
 最後に筑紫野市議の春口あかね氏が、「日中不再戦・平和友好を進める九州自治体議員の会」設立の取り組みを報告。「4月に設立準備会を開催し、その後、熊本、鹿児島と3県9人の議員と広範な国民連合事務局で中国を訪問した。中国で見聞きしたことの第一は、日本と中国は歴史的にも文化的にも非常に関係が深いということ。日本の中国に対するイメージが、現実とは大きく異なっていると実感した。街並みもきれいで緑に溢れていたし、自動運転などの技術も先進的に取り組まれている。『中国人は』などと決めつけるのではなく、人間同士として付き合っていくことが重要だと思う」と報告された。
 その後、総会議案を一括採択。閉会あいさつを共同代表の樋口が行い、最後に西川真人氏の発声で「団結ガンバロー」を三唱して、総会を終了した。
 翌10月6日には筑紫野市で、長野広美氏が馬毛島の、瑞慶覧長風氏が沖縄の現状を報告する講演会が、国民連合ちくし懇談会主催で開催された。

(広範な国民連合・福岡事務局 樋口茂敏)

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