⾃⺠党会派でも「佐世保に基地があるから当然」との声が
⻑崎県議会議員 ⽩川 鮎美
⻑崎県議会は9⽉定例議会において、沖縄の「⽶兵の性的暴⾏に厳重抗議し、⽇⽶政府に対策を強く求める意⾒書」を政府国会に対して提出しました。
昨年12⽉、沖縄県嘉⼿納基地所属の⽶空軍兵が、16歳未満の少⼥を⾞で誘拐し、性的暴⾏を加えたとして、那覇地検がわいせつ⽬的および不同意性交等犯罪で3⽉に起訴していたことが、6⽉25⽇の報道で明らかになりました。
また、5⽉にも不同意性交致傷の疑いで⽶兵が県警に逮捕され、その後起訴されていたことが6⽉28⽇、捜査関係者への取材で判明しています。さらに今年1⽉から5⽉にも3件の⽶兵による不同意性交容疑での逮捕があったことも判明しました。
沖縄で繰り返される⽶兵・軍属らによる犯罪は、沖縄の⽇本復帰から2022年までの50年間で6163件あり、うち、強制性交や殺⼈などの凶悪犯罪は584件に上ります。特に繰り返される⼥性への性暴⼒は⼤変許し難いものです。
1997年に⽇⽶合同委員会で、⽶軍に関わる事件については⽇⽶間で共有し、正確かつ直ちに地域社会に対し提供することが重要と、沖縄県および市町村に通報することが合意されました。それにもかかわらず、平和外交で⼒を尽くすべき外務省による情報隠しは、基地による被害に苦しみ続ける沖縄の⼈びとの⼼を踏みにじるものです。
今回の件を受けて、全国の⾃治体議会に対し抗議⽂や意⾒書の提出を求める呼びかけが⾏われました。
実は⻑崎県においても、2016年と17年に起きたアメリカ軍関係者による性暴⼒事件が隠蔽されていた事実があり、基地がある佐世保市出⾝の私は、とても⼈ごととは思えず意⾒書提出に動き出すことにしました。基地を有する県としては、「全会⼀致」での提出が不可⽋であると考えました。
本来、根底にある⽇⽶地位協定の抜本的改定を盛り込みたいところではありました。しかし、与党会派の反発が懸念されましたので、党派を超えて賛成しやすいよう、今回は百歩譲って3項⽬(①情報提供のあり⽅の検証、②被害者に謝罪と十分な補償、③⽶軍⼈・軍属の綱紀粛正と⼈権教育の徹底と再発防⽌)について意⾒するものとしました。
まずは意⾒書案を作成し、会派⻑の⼭⽥朋⼦県議会議員と共に46⼈中7人の各党⼥性議員の皆さんに賛同を求めました。これについては同じ⼥性として共感いただき、異論なく各会派での検討に進むことができました。そして、懸念していた⾃⺠党会派でも「佐世保に基地があるから当然の意⾒だ」と前向きな意⾒が出されたと聞いています。
実際には、われわれ⽴憲⺠主党、国⺠⺠主党、社会⺠主党、無所属で構成する改⾰21会派の提案で総務委員会に提出し、異議なく可決されました。そして、本会議でも異議なく可決される運びとなりました。
この結果を受けて、広範な国⺠連合のメンバーからは、「⾃⺠党が厳重抗議という⽂⾔を許したことがすごい!」と驚きと喜びの声をいただきました。私にとっては、議員となり初めての意⾒書提出でしたが、このような結果が得られ⼤変うれしく思います。もちろん、提出しただけではなく、全国の地⽅議会が連携して二度とこのようなことを繰り返させないよう、政府の動きにも注視しなければなりません。
これからも広範な国⺠連合の皆さまと共に、沖縄県の皆さまの⼼に寄り添い、国⺠の⼈権、⽣命、平和を守る活動に邁進してまいります。