沖縄の平和と発展へ友好協力関係強化を確認
伊波洋一参議院議員を団長とする「沖縄平和友好訪中団」が昨年12月25~30日、「華語シンクタンク」の招聘で中国・北京を訪れた。シンポジウム「沖縄の平和と発展」に参加の他、中日友好協会(程永華副会長)、中国国際交流協会(劉洪才副会長)などと交流した。また、駐中国日本大使館を訪問し新任の金杉憲治大使などと意見交換した。団は2月12日、沖縄県青年会館で報告会を開催する。
シンポジウム「沖縄の平和と発展」開催
「華語シンクタンク」主催によるシンポジウム「沖縄の平和と発展」が26日に開催された。
冒頭、シンポジウム開催に尽力された福井県立大学名誉教授凌星光氏が動画中継を通じて日本からあいさつ。「団が北京で中国の専門家たちと平和発展について意見交換することは、大変重要な意義がある」と述べた。「『台湾有事即日本有事』が叫ばれ、沖縄が前線基地になる可能性がある。外部勢力の干渉の下で、日中関係は敵対関係になろうとしている。それにストップをかけ、友好関係の発展をめざすのが今回のシンポジウムの趣旨であると理解している。シンポジウムが全国に影響力を発揮し、日中関係の改善に大きく貢献することが期待される」と締めくくった。
華語シンクタンクの徐長銀執行理事長は歓迎あいさつで、日本・沖縄と中国との平和発展について議論できる機会が得られたことを高く評価するとともに、この間行われてきた「日中時事交流フォーラム」など広範な国民連合との連携と成果の上で今回の取り組みが進められたことを指摘した。そして、今回の団の訪問とシンポジウムで「お互いにもっと深く理解することができる。これは沖縄と中国との平和発展に寄与する」と評した。
続いて団から報告が行われた。
伊波団長はまず、華語シンクタンクをはじめとする中国の関係者の努力に感謝した。その上で「中国と日本との関係は厳しい中にある。対話がいちばん求められている」と述べた。さらに「『台湾有事』が言われている下、沖縄が再び戦場にされることを避けるため、沖縄からの声を届けたい」と訴えた。県民にとって約20万人もの人びとが犠牲になった沖縄戦の記憶を決して忘れることができないと強調。米国が「台湾問題」「尖閣問題」などを利用して、日中間の対立をあおっていると批判した。
折から北京を訪問していた髙良鉄美参議院議員(沖縄社会大衆党委員長)が特別参加、日本国憲法研究者の立場から沖縄の現状と闘いについて報告した。団員の花谷史郎石垣市議は、同市をはじめ南西諸島における自衛隊配備の現状とそれに反対する住民の声を報告した。神谷美由希「ゼロエミッションラボ沖縄」理事と神谷めぐみ沖縄国際大学法政研究所支援助手は、昨年11月の「県民平和大集会」など沖縄の軍事化に反対する県民運動やその背景・前提となっている沖縄戦や戦後の米軍基地反対闘争、新たな辺野古新基地建設反対闘争などについて報告した。
後半は中国側からの問題提起が行われた。徐勇北京大学教授はとくに琉球王国と中国との交易や人的交流などの歴史を想起し沖縄と中国との間における交流発展に期待を示した。中国のホテルチェーン「秋果酒店集団」の魏兵董事長と邵春「中国旅游報」元編集長は、沖縄との人的交流を考える上で観光の重要性など報告した。また、陳洋「人民日報」海外網評論員も、沖縄の平和発展について発言した。
多方面から「沖縄の平和と発展」を議論し、沖縄と中国の友好協力を進める方向を探る有意義なシンポジウムとなった。