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自主・平和・民主のための広範な国民連合  第25回全国総会決議 (下)

自主・平和・民主のための広範な国民連合 第25回全国総会決議

2回に分けて掲載。(上)は本年1月号に掲載しましたが、(下)は誌面の都合で遅れて今号になりました。

(3)「日米台」の軍事一体化で中国敵視・対抗を許さない
 アメリカは歴史の趨勢を覆そうと悪あがき、ウクライナに続いて東アジアで戦争挑発策動を強めています。
 バイデン大統領は国家安全保障戦略を改定し、「決定的な今後10年間に、いかにして米国の死活的な利益を高め、地政学的競争相手をしのぐか」と中国を抑え込むことを戦略目標として改めて定義しました。「中国との経済的・軍事的競争に勝利しなければならない」と言いますが、単独ではもはやその力はありません。台湾有事、朝鮮半島有事を煽り、日本などの同盟国、従属国を前面に立てようとしています。
 10月末来日した米ジャパン・ハンドラーのジョセフ・ナイ(元国防次官補)は、「米国の『核の傘』は信頼できるかと日本では心配されているが」と前置きした上で、「将来的に権威主義との競争での勝利を疑う余地はない」と、元気を装って日本の対米一辺倒派を励ましました。そして、「日台の関係強化が、中国の行動を抑止する」「日米一体の作戦遂行を円滑に進めるための統合本部を設ける」「日米の共同運用能力を一層高めることが抑止力」と提起。
 こうした方向が年末の国家安全保障戦略などの見直しで進められようとしています。トマホーク導入などが先行的に打ち出されています。
 強大化した中国を恐れ敵視するわが国支配層の一部・対米一辺倒派は、日米同盟強化と敵基地攻撃力確保など「抑止力強化」の軍拡で対中国戦線のフロントに立とうとしています。とりわけ沖縄が対立の最前線に押し出され、南西諸島は前線基地化が急テンポです。

(4)戦争か平和かの岐路に立つ東アジア
 こうして東アジアは、戦争か、平和のうちに存続・繁栄を続けられるか? 重大な局面です。対米従属国・日本の「平和」の進路が問われています。
 沖縄では、「再び戦場とさせない」との怒りが高まっています。「戦場化」は、米軍基地、自衛隊基地強化が急テンポで進む全国共通の問題です。
 日本世論調査会が7月30日発表した平和に関する全国世論調査結果でも、日本が今後、戦争をする可能性があるとした人は計48%に上りました。一昨年が32%、昨年が41%でしたから、2年前から16ポイント上昇したことになります。日本が戦争をする可能性が最も高いと思う形は「他国同士の戦争に巻き込まれる」が50%でした。しかし、平和のために国民が最も重要と思う手段は、「平和に向け日本が外交に力を注ぐ」の32%が最多で、「戦争放棄を掲げた日本国憲法の順守」の24%と続きます。「軍備の大幅増強」はわずか15%にとどまります。軍事力強化ではなく、自主的な外交努力による平和構築を求める国民の意識が顕著に表れています。
 こうした中で政府やマスコミ、対米追随の反動派は、中国や朝鮮、ロシアの脅威を煽り、敵対感情を国民の中に広めようと躍起になって攻撃しています。ヘイト攻撃も強まっています。来年は関東大震災、朝鮮人・中国人虐殺100年です。国民の歴史認識の弱さも解決すべき課題です。
 歴史を鑑として、民族差別、排外主義、ヘイトに反対し、在日外国人の人権と権利を守り、アジアの共生を進めなくてはなりません。

(5)国家安全保障戦略等見直し、「専守防衛」原則の放棄を許さない。憲法9条改悪に反対する
 いま政府自民党は、「国家安全保障戦略」の見直しで公式に、中国について「重大な脅威」と断定し「日本攻撃の意図を持っている」として、「敵」とする安保戦略に踏み込もうとしています。柳澤協二氏がいつも言うように、「脅威」とは、「能力」×「意図」です。中国は、日本を脅威とする「意図」はないと繰り返し表明しています。問題は、日本の姿勢にかかっています。
 「専守防衛」の原則、すなわち憲法9条の、「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する」原則を公然と放棄しようとしています。憲法それ自身の改悪も策動しています。
 わが国が戦争に巻き込まれないためには、強大化した中国を敵視せず、アメリカの中国敵視戦略を拒否し、自主・平和外交を進め、アジア共生の輪の中に入る以外にありません。特に台湾独立を煽り、「台湾有事」を引き出すような策動は絶対に許されません。台湾有事に在日米軍基地を使わせない姿勢を鮮明にすることが重要です。
 岸田政権に中国敵視をやめ、自主・平和外交を進めるよう強く求めます。タイでの日中首脳会談で岸田首相は、日本外務省の発表にはありませんが中国発表によれば、「日中は隣国であり、互いに脅威とならず、平和的に共存」、そして対立点となっている「台湾問題においては、日中共同声明での約束に少しの変化もない」と述べたといいます。言行一致を強く求めます。(『日本の進路』2022年10月号、『編集部主張』参照)

(6)経済危機と厳しさを増す国民生活
 長期にわたる財界のための対米従属政治を進める自民・自公政権によって、とりわけアベノミクスで国民の貧困化と格差拡大が進みました。コロナ禍、ウクライナ戦争、それに極度の円安で輸入物価は高騰、国民生活の危機は一段と深刻になっています。
 特にコロナ禍で雇用が失われ収入も激減した女性・若者、それに高齢者を中心とする非正規雇用者は物価高騰に直撃されています。肥料・飼料・農業資材価格の高騰で農業と農家経営の危機も深刻です。建設・運輸・サービス業、零細な飲食業などを中心に、個人・零細、中小事業者は倒産の危機です。
 気候危機も深刻です。食料自給と自然エネルギーを中心としたエネルギー自給も差し迫った課題になっています。
 こうした中でも大企業は、非正規雇用化と賃金を抑え込み、しかもいま原材料単価の高騰を下請け零細や中小企業に押しつけて未曽有の利益を上げています。2000年代に入って以後、株主配当だけが急増、資産保有層は株価などバブルで大もうけです。適正な社会的負担を求めなくてはなりません。
 大胆な財政出動で貧困化する国民を緊急支援するとともに、アメリカに縛られない独立自主で国民の生活第一の政策への転換が急務です。
 西欧など世界では普通の無償の高等教育ですが、日本は学費が高く奨学金が少なく多くの大学生や専門学校生と卒業者が奨学金という名のローンに苦しめられています。世界ジェンダー・ギャップ報告書で日本は世界146カ国中116位、G7の中で圧倒的に最下位、最悪です。世界の中で女性の地位が際立って低い、男女平等に程遠い。「母子」家庭など最も困難な状況にあります。
 全ての国民が誇れる自国をつくることこそ、最大の安全保障です。

(7)窮地の岸田政権。だが、野党戦線は?
 内閣支持率を見ても岸田政権は窮地です。戦争の危機と物価高、それに「統一教会」問題、「国葬」問題、生活危機を背景に、国民各層の不満の高まりが背景です。
 岸田政権はどこまでもつのか。財界は、対中国政策の転換も求めています。自民党の中も岸田政権への不満が渦巻いています。岸田首相は、大型補正予算と日中首脳会談実現で切り抜けようとしているようですが、ごまかしは利かないでしょう。
 本来、野党や労働運動、国民の側は攻めるチャンスといえます。ところが、対抗できない野党の問題があります。「戦争か平和か」の最大の国民的課題で、野党は「日米同盟堅持」に縛られて対抗軸を立てられません。ましてや「日中首脳会談」実現となれば野党は手も足も出ないでしょう。(『日本の進路』11月号、高野孟論文、山本正治論文参照)
 円安・インフレ・物価高など国民生活問題では、「野党がいない」と批判される状況です。酪農民などが危機突破の行動に立ち上がっています。オーガニック給食を求める集会にはオンラインも含めて4000人以上が集まっています。
 岸田政権は大型補正での「バラマキ」で欺瞞し凌ごうとしています。問題は、経済危機、生活危機の打開を求める国民的エネルギーを自公政権打倒へ組織できるかどうかです。
 対抗勢力をまとめ上げる政治力量も気力も野党国会議員指導部には不十分さがあるのではないでしょうか。国民に依拠する戦略が必要です。

(8)問われる日本の進路。平和と国民の命を守る政治
 日本はこの世界で、興隆するアジア・新興国と共に、自主・平和、繁栄を実現できるか、それとも、アメリカに引きずられ戦争・滅亡の道を歩むのか、岐路に立たされています。
 対米従属の政治――中国敵視で、「日米同盟と抑止力強化」一辺倒では戦争が避けられません。大軍拡、憲法改悪などを絶対に許してはなりません。
 他方、とりわけアベノミクス以来、貧困と格差拡大が進み、そこへコロナ禍、さらにウクライナ戦争と円安の物価高で国民生活の苦難は深刻です。さらに膨大な軍事費負担は文字通り国民生活を押しつぶします。
 安全安心な食料自給で食料安全保障の確立も喫緊の課題です。原発は廃止です。原発再稼働、ましてや「新型炉」などという欺瞞の原発新設を許してはなりません。化石燃料使用もやめて、自然エネルギーを中心としたエネルギー自給も差し迫った課題です。
 アメリカに縛られず、自主・自立で、戦争を避け、国民の命と生活を守る政治実現が急がれます。

(9)「自主・平和」の方向を鮮明にし、広範な国民各界各層の連合で政治を変える
 国民の怒りと力を結集し、いかにして政治を変えるのか? 真剣な検討が必要です。
 30年前、広範な国民連合を呼びかけ代表世話人を務めた故槇枝元文さん(元総評議長)は次のように提起しました。「労働者・農民・中小商工業者の運動が、平和・環境などさまざまな市民運動が、女性や青年など各界各層の国民が、日米基軸に代わる新しい日本の進路を求め、政治的な立場や団体の違いを超えて、広く連合する。政治的な立場を超えた広範な国民の自由意思による参加こそ、これからの新しい運動のあり方だ。私たちの手で政党間をつなげていくことで政治を動かしていこう」と。
 そのための「広範な国民の連合」を呼びかけました。「広範な各界各層の人びとが、自主・平和・民主を基本において、各地域でそれぞれ問題を持ち寄って懇談し、相互に理解し合い、共通の理解に立って共同して、その地域で解決できる問題はその地域で、中央で解決すべきこと、提言すべき問題は全国連帯して解決にあたるという魅力ある組織とする」
 今こそ、この方向が必要と考えます。広範な国民の連合は、各地域(都道府県、さらに各地域)での運動です。「広範な国民連合」は、その全国的な連帯、連合の組織です。
 当面して、広範な人びと・各界各層・団体と共に、「懇談、相互理解、共同」の運動(懇談会)を全国各地で、各線戦・分野・課題で始めることを提起します。

4.広範な国民連合の当面の課題・取り組みの基本

 ①東アジアの平和のため、自主外交の実現を重視します(略)
 ②国民各層の切実な要求の課題を重視します(略)
 ③地方自治体での平和と地域経済・住民の命と暮らしを守る闘いを発展させます(略)
 ④以上を闘いながら、「広範な各界各層の国民の連合」を促す活動を重視します。(略)

5.広範な国民連合を強化します

(略)