2・26緊急集会 島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に! 具志堅 隆松

沖縄戦で殺された人たちの遺骨と向き合ってきて
声を上げられる今だからこそ戦争を避けるために

実行委員長あいさつ 具志堅 隆松 さん
(遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)

 皆さんこんにちは
 ガマフヤーの具志堅隆松です。今までやってきていることは、沖縄戦で亡くなった人、正確に言えば殺された人ですが、殺された人たちの遺骨を探し出して遺族の元に帰そうと、その思いで活動してきました。その人たちの遺骨と向き合っていつも考えていたのは、どうしてこの人たちは殺されなければいけなかったのだろうか、私たちはどうしてこの沖縄が戦場になることを避けることができなかったのだろうかということでした。


 それで、私は沖縄戦の生き残りのお年寄りの人たちに何度も聞きました。沖縄戦になることに反対することってできなかったのですか、避けることはできなかったのですかって。そうしたら、皆さんみなこう言います。当時は戦争に反対であるとか、疑問であるとか口にしたら、すぐに捕まって大変なことになったんだよと言うんです。要するに、ものが自由に言えなかったと言うんです。
 今はどうにか辛うじて言うことができます。私たちはこういう集会を持つことができます。私はこの、自由にものが言えなかった、そのことが原因だと思っています。それでこの沖縄が再び戦場になる可能性がある今、それを止める、第二の沖縄戦が起きないように、この流れを止めないといけないと思いました。
 そして、ようやく今日に至ってこれだけの人が、本当にたくさんの人が集まってくれました。まず、皆さんに感謝申し上げます。(拍手)
 この思いは、ここに集まっている皆さん以外も、みな同じ思いだと思います。なぜならば、戦争になったら保守も革新もないんです。みな同じように被害を受けます。
 国は、例えばシェルターであるとか、避難ということを口にします。しかし、シェルターも避難もこれは現実的ではないです。われわれには屋内避難というふうに言われていますけれども、これは犠牲になりなさいと言っているのと同じです。私たちが今選択するべきはシェルターとか避難とかではなく、ここ沖縄を戦場にさせないということです。(拍手)ありがとうございます。私はそのためだけに今こうやっています。
 私たちは二度と沖縄を戦場にさせない思いを共有しています。
 しかし、今の沖縄で進んでいる状況は私たちウチナーンチュにものを考えさせないぐらい、要するに沖縄の人に考える暇を与えないほど速い。判断する余裕もないぐらいのものすごいスピードで軍事化が進んでいます。これを拒否するには私たちが声を上げなければいけないと思います。
 私たちは決して中国を攻撃してほしいとは思っていません。中国とはこれまで長い歴史の付き合いがあります。私たちは周りの国々と仲良く生き延びて生存していきたいんです。
 今、「台湾有事」を原因として戦争になる、沖縄が戦場になるのじゃないかと言われています。しかし、日米両軍が攻撃しなければ、戦争は始まらないのです。要するに戦争の引き金は米軍や自衛隊が持っているんです。この自衛隊とアメリカに、戦争を始める引き金を引かせないために私たちが声を上げないといけないのです。

戦争ができる国ではない

 私が遺骨収集をしていて気が付いた大事なことが三つあります。
 それは、一番目に人を殺してはいけない。二番目に、自分が殺されることを認めてはいけない。三番目に、自分で自分を殺してはいけない。この間違った三つのことが沖縄戦の時には日本軍からわれわれに命令されました。
 死を恐れないが、戦争では「殺される」。人間もあらゆる生物には死は避けられません。だから死を恐れない。しかし、殺されることは受け入れてはならない。日本帝国軍隊の中では、「生きて虜囚の辱めを受けない」と、軍人も民間人も「強制死」を余儀なくされた。そして、われわれの先輩たちはそれを受け入れてしまうという過ちを犯したんです。この教訓を忘れてはなりませんから。今はもう絶対にそれは避けないといけません。
 軍隊は住民を守りません。むしろ軍隊によって殺される。
 第二の「沖縄戦」が迫っている時です。自衛隊は、「敵基地攻撃」と他国への攻撃の軍隊に変わろうとしています。果たして南西諸島だけですむのか。そんな都合の良い戦争はないと思います。
 全国の自衛隊基地では、司令部の地下化をはじめ化学、生物、核、爆発物等による攻撃を想定した強靱化が進められている。米軍基地も至る所にある。全国至る所にある米軍、自衛隊の軍事基地が攻撃を受ける事態が想定されているのです。
 さらに、日本本土の原発は廃炉決定済みを含めて60基もあります。ここを通常兵器ででも狙われれば、核攻撃と同じことになります。その時の避難計画、作っていますか? 作っていません。自然災害や事故の場合は想定されているが、戦争は想定されていません。
 さらに、わが国の食料自給率の低さ、あるいは貿易によって経済が成り立っていることなども考えたらどうでしょうか。とても戦争ができる国ではないわけです。食料もなくなって餓死者も避けられないでしょう。こうしたことをリアルに考えていただきたい。
 戦争を起こさせない、平和をめざす外交こそ重要です。
 皆さん、力を合わせて頑張りましょう。
 ありがとうございました。