令和4年新年挨拶
北海道農民連盟委員長 大久保 明義
令和4年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、全道的に大雪や高温、少雨などの異常気象に見舞われた年でした。3月上旬には道内の一部地域で大雪となり、ハウスの倒壊などの被害が生じましたが、4月に入ると天候に恵まれ、播種や植付作業と順調に農作業が進みました。しかし、7月から8月上旬にかけて記録的な高温・少雨の気候が続き、飼料作物、玉ねぎ、馬鈴薯、野菜の収量減少等の被害が発生し、地域間・品目間の格差が多い年でもありました。特に、水稲においては作況が108と豊作になりましたが、ホクレン概算金(ゆめぴりか除く)は前年比1俵2200円~2500円減と、一言で言うと豊作貧乏という大変残念な結果となりました。本来であれば豊作は喜ぶべきところですが、素直に喜べないことは生産意欲を削ぎ営農にも影響を及ぼしかねず、今後も農業者が安定して生産を行うことができる制度が構築されるよう国に対し求めていく必要があります。
また、昨年も新型コロナウイルスの感染拡大によって、我々の生活も大きく影響を受けた年でもあり、生産現場では外国人研修生が来日できないため、人材確保が困難になりました。さらに、外食産業を中心に米、砂糖、乳製品などの農畜産物の需要が大幅に減少し、多くの在庫を抱えており価格などにも悪影響を及ぼしています。現段階の感染状況は落ち着きを見せていますが、需要や価格の回復には長い時間が必要な環境下にあり、組織としてはこれまで価格回復や消費拡大・需要喚起を図る対策の強化を求めてきましたが、今後も生産現場の意見を訴えていかなければなりません。
一方、本連盟が運動の重点課題としている国際貿易交渉ですが、コロナ禍によるインバウンドの減少や外出自粛等の影響で農畜産物の需要が減少しているため、TPP11や日EU・EPA、日米貿易協定などの国際貿易協定の発効後の国内農業への影響検証が難しくなっています。また、日米貿易協定の追加交渉においてはコロナ禍もあり進展していないのが現状です。しかし、如何なる貿易交渉においても、国内農業に影響が出ないよう、農業を犠牲にする交渉には断固反対の姿勢を示すとともに、既に発効している協定に対しては輸入動向を把握しながら、国内農業への影響検証と国内対策の充実を国に求めていくとともに、状況によっては離脱を辞さない対応を求める取り組みを強化しなければなりません。
このため、今こそ生産現場主義を貫く農民組織の本領を発揮し、持続可能な農業の発展と豊かな農村社会の実現に向けて、食料・農業・農村を担う家族農業を基本に、農村社会の存続・環境の保全、農民の社会的・経済的地位の向上が図られるよう、組織が目指す「真の農政改革」を求め運動展開していきます。
最後になりますが、本年が皆様とともに健やかに過ごせますことを心よりご祈念申し上げ、年頭のご挨拶と致します。