衆議院議員選挙前
活動報告会と各政党との討論集会
7月12日、衆議院議員会館
「衆議院議員選挙前 ――コロナと貧困に殺される。政治は今すぐ公的責任をはたせ!」とのスローガンを掲げた「新型コロナ災害緊急アクション活動報告会と各政党との討論集会」が7月12日午後1時から衆議院議員会館で開かれた。主催は、「報告会」が新型コロナ災害緊急アクション、「各政党との討論集会」が一般社団法人反貧困ネットワークだった。活動報告が、雨宮処凛さんの開会あいさつ、瀬戸大作事務局長報告後、5団体5人からなされた。その後、「各政党との討論」が行われた。
5時に終わってすぐに主催者たちが手分けして相談に行くなど、「総選挙を待っていられない!」との緊迫感あふれる集会だった。まさに「コロナと貧困に殺される」事態が進んでいる。そうしたなかでの取り組みをされた集会主催の方々の努力に敬意を表したい。(編集部)
報告は、最初に、緊急アクションの事務局と反貧困ネットワークの事務局長を務める瀬戸大作さんから、「新型コロナ災害緊急アクション活動報告」と、政治の責任で「居住貧困問題」の解決を求める報告と提言がなされた(7ページ)。
続いて、稲葉剛さん(一般社団法人繕いファンド代表理事)が、「生活保護は権利 扶養照会など運用改善の取り組みと今後の課題」と題して報告した。相談者へのアンケート結果で、「生活保護を利用していない理由」として、3人に1人が「家族に知られるのが嫌」を選択し、とくに20歳代~50歳代に限定すると、77人中、33人(42・9%)に上った状況から、「扶養照会」など運用改善に取り組んだ報告がなされた。厚労省との交渉のなかで実務運用を大きく改善し得る「厚労省通知」を実現した。
次に「女性支援の現場からの提言」ということで、一般社団法人エープラス代表理事の吉祥眞佐緒さんから、政策提言の前提として、「コロナ禍における女性の生活、労働、貧困状態、家庭内のDV・虐待状況、自殺対策についての大規模な全国調査を早急に行ってほしい」との政治への要求が出された。その上で吉祥さんは、生活費の問題、住まいの問題、雇用の問題、生活保障と税、外国人の問題などについて報告と提言をされた(なお、吉祥さんは、本誌6月号で報告している)。
「緊急ささえあい基金報告――外国人」と題して、稲葉奈々子さん(移住連・貧困対策PT)が報告した。20年5月1日から21年5月31日までに「ささえあい基金」は、外国人からの申請を1337件受け、4118万9920円を支出している。支援のために支出した総額の約7割を外国人が占めている。そのうち、在留資格がない人(そのほとんどが仮放免者)が438件、在留許可が3カ月以下の短期滞在など公的支援が利用できない在留資格70件など、働かせない、支援もしない、この国の非人道的な姿が暴露された。
NPO法人POSSE事務局長の渡辺寛人さんは、「労働相談の現場から――権利行使の必要性」と題して、相談者の概況から、「非正規、女性、若者に矛盾が集中している」と報告した。この1年5カ月に4000人ほどから労働相談を受けたが、そのうち約4分の3が非正規雇用労働者、とくに女性労働者からの相談が約7割で、学生アルバイトからの相談も約1割あった。
第2部は、「各政党との討論集会」で、反貧困ネットワークの白石孝さんが司会し、「緊急アクション」からの政策提言と、各政党からの発言、参加者とのやり取りなどがあった。
衆議院選挙を待てない
―緊急対策が必要
最後に瀬戸大作事務局長が、次のようにまとめた。
今日もこれから支援の対応をしなければならないことがあります。現場での本音の話は、寄付金の問題です。ぜひとも寄付金をお願いしたい。これから外国人の方の相談がありますが、行った時に相手の方は所持金が100円しかありません、どうしていいかわからない、そういう話になります。そうした時に社協の窓口に行っても救済されないわけです。そこから一歩も進めない。
また生活保護申請に行った時には、3月以降の窓口での対応は、追い返しのほうが増えています。「若いんだから」「働けるんだから」「まだ所持金3万円あるんだから」等々と。
そういう問題も含めて、今現場で何が起きているかリアルに知っていただきたい。
路上で困っている日本人でも、外国人でも、医療の支援も、住宅支援も、お金の支援もしなければなりません。毎日毎日こういう問題が起きていて、緊急対策が必要です。そういう意味でいうと、実は衆議院選挙を待てないです。今緊急にやらなければならないこと、中期的にやらなければいけないことをきちんと整理して、対応していただきたい。ぜひ貧困の現場を見に来てください。どんな問題があるのかを見て知っていただき、政策に反映していただきたい。政策論議のための定期的な協議もお願いしたい。