参議院議員 伊波 洋一
基本的には歓迎しています。秋田にしても山口にしても、まったく地域住民のことを考えないで配備計画を進めていたわけです。やはり民意は反対です。
トランプにどれだけ忖度するかとの兼ね合いでしょうが、今後1兆円もかかるカネの問題でもあり、自民党的に国内政治を優先させたということでしょう。日本にとってメリットもないことを安倍首相がトランプに忖度してやっていたわけです。
今回の決定で、安倍政権の盤石さが消えつつあると感じます。さまざまな不祥事、コロナ対策のその場しのぎの取り組み等、内閣支持率もかなり落ち、政権への国民の信頼の揺らぎも見えてきています。自民党としても次の総選挙への対応の必要性を感じているはずです。
国民の理解を得られないということは当初からあったのです。国民一人ひとりは政治に対して、そんなに力があると思ってはいなかった。ところが、一人ひとりは微力でも集まれば大きな力になる。
一方、沖縄から見ると、配備計画白紙化を喜ぶと同時にちょっと違和感もあるのです。本土だと国民の声が政府に受け止められ、防衛上必要と言っていたものがあっと言う間になくなる。ところが沖縄だと、県内世論がどんなに強くても、各種選挙や県民投票で民意を示しても、政権は聞こうとしない、はね返されてしまうのが今の状況です。
今回、河野大臣は、計画撤回の理由にロケットのブースター落下を処理できないことを理由に挙げました。普天間では、2017年12月に米海兵隊ヘリから窓枠が普天間第二小学校校庭で体育授業中の児童の間に落下しました。ところが政府は、小学校上空を飛ぶのを禁止させていません。
山口・秋田では、変更にコストがかかり、今後10年以上かかると言って撤回する。一方、沖縄・辺野古では、軟弱地盤が見つかっても、何千億かかろうが、設計変更して新基地建設工事を強行する。
安倍政権は、一日も早い普天間の返還と言って返還合意から24年も経過し、今後も十数年かかる工事を強行しています。40年かかる返還を「一日も早く」と平然と言えるのは安倍政権以外どこにもないでしょう。根底に沖縄差別があるのではないかと思います。
もともとイージス・アショアは、地上に固定配備され、相手側からのミサイル攻撃の格好の標的です。アメリカの貿易赤字を埋めるF35戦闘機など武器の爆買いも、トランプ再選のために米国軍需産業の利益を膨らますだけです。
イージス・アショアは、日本の安全保障ではなくて、ハワイとグアムを狙うミサイルを撃ち落とすためのもので、日本はミサイルを撃ち込まれる犠牲を覚悟しなければならないという、まさに対米追従国家の象徴的な装置です。撤回されたことはいいことだと思っています。
この機会に、辺野古の埋め立てを見直させるとか、沖縄への自衛隊配備を見直させるとか、そういうところまで持ち込んでいきたい。沖縄も問題提起をもっとしっかりしなければならない。アメリカ国内の「ブラック・ライブズ・マター」運動を見ながら、米軍基地を巡る沖縄の状況は、アメリカにおける黒人の位置と同じではないかと感じます。全国の皆さんと一緒に解決したいと思います。