故 翁長雄志沖縄県知事を追悼する・鳩山友紀夫

最後まで信念を貫かれた人生でした

鳩山友紀夫(一般財団法人東アジア共同体研究所理事長)

 最後まで信念を貫かれた人生でした。
 日本の中でも最も困難な沖縄県知事を務めたがために、病に倒れた、私にはそう思えてなりません。圧倒的な県民の支持を背景に平和を貫こうとし、政府からの弾圧に決して屈しようとしなかったあなたの姿勢はこれからも県民に受け継がれてゆくでしょう。
 史上最悪の地獄と言われた沖縄戦が行われた土地で、この上、新しい基地を造ろうとする動きは許されるものではありません。まして美しい辺野古の海を埋め立てれば二度と自然は戻りません。
 あなたが繰り返し唱えた「全ての手法を使って新基地を造らせない」という言葉は生きています。私も度々辺野古の現場を訪れました。そこは日本が戦争に向かうのか平和を保つのかのせめぎ合いの場所でした。基地反対の人びとは機動隊の暴力を受けようが、排除されようがあきらめず明るく抵抗を続けています。あなたの平和への信念に対する信頼はみんなに支えられています。
 日本本土の人々はともすると沖縄に基地を押し付け、それを意識の外においています。そうした現状を打破しようと私は度々沖縄を訪れています。私にも責任があることを十分承知しているからです。
 県知事に就任してまもなく知事室をお訪ねした時に、仕事の9割が基地問題ですよ、と言われたことをよく覚えています。南北朝鮮の状況が画期的に好転しようとしている時に、日本政府のアメリカ隷従の姿勢は理解できません。あなたは退院後の記者会見の冒頭でそれを指摘されました。
 沖縄が苦しい状況であればこそ、逆に沖縄から日本を変えることができる、そんな予感を私は持っています。希望を託す人が翁長知事でした。これからという時に天に召され大変残念でたまりません。しかしあなたの信念を受け継ぎ、沖縄を「太平洋の平和の要石」にしてゆく人々が続くでしょう。私も及ばずながらその人たちに連なり東アジアの平和構築のために微力を尽くしたい、と思います。
 長い間お疲れさまでした。ゆっくりお休みください。

(本弔意は、翁長知事逝去直後に鳩山友紀夫氏が、フェイスブックなどで発信されたもの。なお、鳩山氏が主宰する「UIチャンネル」で、元外務省情報局長の孫崎享氏、評論家の高野孟氏と翁長知事追悼鼎談を放映中)

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