北海道農民連盟 委員長 西原 正行
平成30年の新春を皆さまと共に迎えられたことをお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、北海道は春先の強風で多くの地域が被害に見舞われ、その後も長雨の被害も見られましたが、総じて穏やかな気候で推移したため、米や畑作物、牧草等多くの作物が豊作基調の一年となりました。
しかしながら、本連盟が運動の重点課題に掲げる国際貿易交渉においては、一昨年末に突如浮上してきたEUとのEPA交渉が昨年7月に大枠合意し、また、米国抜きの11カ国によるTPP11(CPTPP)に至っては強引な取りまとめにより11月に大筋合意しました。日EU/EPAでは、ISDS(投資家対国家の紛争解決)など残された課題を切り離して、2019年の発効を目指すと言われ、TPP11では、農業分野の修正提案がなされないまま、大筋合意をしました。今後米国との2国間交渉をはじめ、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)など各国との貿易交渉が控え、さらなる農畜産物の関税引き下げや輸入枠拡大の懸念が消えることはありません。今後も反TPPや重要農畜産物の関税撤廃の例外措置など適正な国境措置などを求めて運動を展開していく所存です。
一方、安倍政権が進める規制改革推進会議などを中心とした官邸主導の農業・農協改革においては、昨年の通常国会にて関連8法案が提出されましたが、十分な審議時間を確保されることもなく可決・成立しました。なかでも、農業者の生産資材の調達や農産物の出荷、販売で、農家に努力義務を課すような条文がある「農業競争力強化支援法」や、米麦・大豆の種子を地域で生産・供給することを義務付ける「主要農産物種子法」の廃止など、私たちの経営に大きな関わりがある法律を次々と成立させていきました。このように、将来の農業を左右する大事な法律が、生産現場の声を置き去りにして改革が断行されることに憤りを禁じえません。このままでは、農業・農村は一層疲弊し、地域経済を崩壊に導きかねません。
このため、本連盟は官邸主導農政の危険性を各界各層に訴えながら、関係団体との連携した運動を進めていくとともに、この改革で一番影響を受ける北海道農業・農村を守るため、農政改悪をストップさせ、持続可能な農業・農村政策を確立する「真の農政改革」の実現に向けて運動を展開してまいります。
最後になりますが、皆さまのご健勝と本年も豊穣の年となりますよう心からご祈念申し上げ、年頭のあいさつといたします。