5月20日、北九州市で辺野古埋め立て土砂搬出阻止

土砂の採取・搬出という地域の課題を通して、沖縄の人びとと連帯

 5月20日、福岡県北九州市で、「福岡(門司地区)から辺野古埋め立て土砂搬出STOP! ふるさとの土は一粒たりとも戦争に使わせない! 福岡県民の集い」が開催され、県内各地から約140名の人びとが参加した。

この集会は、事務局担当の広範な国民連合・福岡をはじめ、労働組合や市民団体、個人が参加する実行委員会が主催し、200を超える団体・個人が賛同して運営を支えた。

 日米両政府が建設を進めている辺野古新基地、高江のオスプレイ・ヘリパッドは、台頭する中国やアジア諸国をにらむ米国のアジア軍事戦略の中核的役割を担っている。
 沖縄防衛局の計画によれば、辺野古埋め立てに使う土砂(岩ズリ)は西日本各地から運ばれる予定で、総計2100万㎥のうち35%に相当する740万㎥は北九州市門司地区周辺から搬出される予定になっている。したがって辺野古新基地建設と土砂搬出に反対することは、沖縄県民だけでなく平和を求めるすべての国民の課題だと言える。こうした問題意識を共有しながら、実行委員会は準備を進めてきた。

 集会では初めに呼びかけ人を代表して元九州国際大学学長の竹内良夫さんが、「日本政府は国民を顧みることなく、米国を大事にしている。日本が自立した国になるためには米軍基地を一掃し、門司の土砂を辺野古に運ばせないことが重要だ」と、開会挨拶を行った。
 続いて沖縄国際大学の前泊博盛さんが「沖縄が問う日本の安保、憲法、地位協定の課題と処方箋」と題して基調講演を行った。沖縄から見ると安倍政権は、①統制国家、②弾圧国家、③放置国家、④専制国家、⑤欺瞞国家、⑥軍事国家、⑦恫喝型政治の展開をめざしているということを、ユーモアを交えて指摘された。

 最後に、「沖縄で起きている民意を無視する政治が、本土でも広がろうとしている。本土と沖縄がしっかりと連携する必要がある」と結ばれた。

 休憩をはさんで、沖縄平和運動センター議長・山城博治さんからの音声によるメッセージが、STOP!沖縄新基地建設・福岡代表の深水登志子さんから紹介された。山城氏の「辺野古に土砂を送らないという本土の運動が、辺野古現地の闘いを元気づけると期待している」との連帯の挨拶に、参加者は大いに勇気づけられた。
 前々日まで辺野古現地の闘いに参加していた高江現地行動連絡会共同代表の仲村渠政彦さんは、土砂搬出反対の運動が重要な意味をもっていることなどを話された。
 辺野古埋め立て土砂搬出反対北九州連絡協議会の八記久美子さんは、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会と、北九州連絡協議会の活動を報告し、5月27日に全国連絡協の総会と学習会が北九州市で開催されることを紹介され、連携して運動を進めていくことを訴えられた。
 北九州市教職員組合青年部長の岡本純さんからは、今年の沖縄平和行進に参加して辺野古を訪れた経験を通して、教え子を再び戦場に送ってはならないという思いを強くしたという決意が述べられた(代読)。
 全日本港湾労働組合関門支部執行委員長の松永英樹さんは、「かつて全港湾の先輩たちは米軍の弾薬輸送を拒否するためにストライキで闘った。辺野古埋め立て土砂の運搬に加担する仕事はできない。荷役拒否の闘いを支援していただきたい」と決意を述べ、会場からは大きな拍手が湧き起こった。
 水郷柳川にオスプレイは要らない市民の会の田中房子さんは、佐賀空港に自衛隊のオスプレイが配備されようとしていることに関して、佐賀空港を発着する航空機の8割が対岸の柳川市上空を通過している状況をふまえて、佐賀の住民運動と連携して反対運動を継続していることを報告された。
 最後に部落解放同盟門司地区協議会の南川健一さんが、北九州連絡協議会の一員として活動してきた経過をふまえ、埋め立て土砂採取計画の撤回を求める署名活動と、5月27日の全国協議会総会への参加を訴えられた。
 またこの集会には、辺野古土砂搬出反対熊本県連絡協議会共同代表の海秀道氏から、翌21日に天草で「御所浦と辺野古の海を守る」集会を計画しているという連帯のメッセージが寄せられた。
 閉会行事では北九州市議の村上さと子さんが「県民世論と運動を共同して前進させましょう」との集会アピールを提案し、拍手で採択された。続いて門司地区選出の福島司・北九州市議が「今日参加された一人ひとりが職場や地域で、沖縄の現実を丁寧に説明して、辺野古埋め立て土砂搬出が沖縄だけの問題ではなく、私たち自身の課題であることを広めていこう。頑張りましょう」と力強く閉会の挨拶を行った。最後に参加者全員で、広範な国民連合・ちくし懇談会の西川真人さんの力強い音頭に合わせ「団結ガンバロー」を三唱し、運動の前進を誓い合った。

今回の取り組みを通していくつかの成果を確認することができる。
 一つは土砂の採取・搬出という地域の課題を通して、沖縄の人びとと連帯することが確認できたこと。
二つ目に、立場の異なる人たちが連携できたこと。特に沖縄の課題に取り組んできた市民運動の人たちと労働組合の人たちの共同は重要であったと思われる。三つ目として、土砂の採取・搬出の事実が県民に広く知られていない中で、反対の県民世論を形成する出発点となったこと。北九州から地理的に離れた県南地域でも、賛同人を広める活動や、5・20集会のプレ学習会として沖縄の記録映画の上映会が企画されるなど、一定の広がりをつくり出すことができた。
 これらの成果を基礎にして、さらに埋め立て土砂搬出反対の広範な県民世論をつくり上げることが求められている。

(広範な国民連合・福岡事務局H)

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