TPPは地方の格差を拡大する!

北海道は独自試算行わず

私は、2016年(平成28年)第1回定例会の予算特別委員会で「TPPの課題と農業政策」について、北海道農政部に対し質問を行った。

この質問の中で、「国の方法に基づく影響試算ではなく、実態に即し、独自の試算を行うべき」と迫ったが、道は「体質強化対策や経営安定対策などを考慮して算出した国の方法を参考に算定した」と強弁し、独自試算については行わない姿勢を貫いている。北海道よりも影響が少ない新潟県や長野県、熊本県などは独自の影響調査を行っており、他県と比べても北海道の姿勢の違いが明らかになったところだ。

さらに、TPPのプラス効果についても、「都道府県別の算出は困難」とし、国に追随する姿勢が際立っている。

米への影響ゼロの矛盾

国も道も、米の影響はゼロと試算した。その理由は、「米国及び豪州にSBS方式の国別輸入枠が設けられたが、現在でもこのSBS輸入枠があまり活用されておらず、輸入義務もなく、マークアップが上乗せされることから、輸入米の流通価格は国産米と同等となる。また、輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れ、国内の流通量を増やさないことで、その影響は遮断される」としている。

しかし、生産者現場では、政府や道の説明を信じていない。「安い輸入米が入ってくると安くなるのは当たり前」と言い切るのは、過去の米価が物語っているからである。

20年間で米価は3分の2へ

1993年12月に合意したガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉では、米について年間77万トンをミニマム・アクセス米(MM米)として輸入することを決めた。MM米を輸入する前の米価は、北海道でも60キロで18,000円程度。しかし現在では12,000円程度までに下落している。この間、食糧管理法での全量買い入れから自主流通米へと、米の流通の仕組みが変わったとはいえ、わずか20年間で米価は3分の2に値下がりしているのだ。

一方、農家の生産費は下落するどころか高騰を続け、販売価格が生産費を下回る結果になっており、米農家の経営を圧迫している。この状況の中で民主党政権時では、戸別所得補償制度を創設し、1アール当たり15,000円を直接支払うことにした。

しかし、自公政権になり、その戸別所得補償制度は「バラマキ」と批判。15,000円を半額の7,500円に減額し、さらには3年後には米政策の大幅改革を行い、その7,500円も全廃する方針は示されたものの、新たな対策は打ち出されておらず、農家の皆さんは不安の日々を送っている。

表 2 北海道米の取引価格推移(北海道農政部調べ)(単位:円/60kg)表2

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