先進国でトップクラスの貧困率、とりわけ1人親世帯では断トツ
図表2は主要7カ国の子どもの貧困率を1995年からグラフ化したものである。日本の子どもの貧困率は、1995年以降、ほぼ一貫して上昇してきており、2012年には16.3%まで達している。
これは主要国のなかで、アメリカおよびイタリアに次いで3番目に高い数字である(以上は、日本財団「子どもの貧困の社会的損失推計レポート」2015年12月)。
なかでも、わが国の「ひとり親家庭」の子どもの貧困率は、10年で50.8%に達し、「先進国」ということになっているOECD39か国の中で最悪である(平均は31.0%)。
*子どもの貧困率 平均的な手取り収入の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合。
生活保護基準以下の世帯の子どもの貧困、20年間で5.4%から約2.6倍の13.8%に悪化
(山形大の戸室健作准教授によると)1992年に生活保護費以下の収入で暮らす子育て中の貧困世帯数は約70万世帯だったが、2012年調査では約146万世帯に倍増。しかし、この間、子育て世帯は約1,293万世帯から約1,055万世帯まで約2割減にもかかわらず、「子どもの貧困率」(17歳以下の子どもがいる世帯に占める貧困世帯の割合)は5.4%から約2.6倍の13.8%に悪化した。
(上図)都道府県別では、貧困率が高い順に①沖縄(37.5%)、②大阪(21.8%)、③鹿児島(20.6%)、④福岡(19.9%)、⑤北海道(19.7%)と続き、ワースト10のうち8府県が西日本に集中した。10%を切ったのは、最も低い福井(5.5%)など8県にすぎず、残りは10% 以上だった。
また、1回前の調査(07年)と比較すると、埼玉、千葉、神奈川などの首都圏や三重、静岡などの中京圏で全国平均を上回る貧困率の上昇がみられたという(以上、毎日新聞16年2月18日東京朝刊)。リーマンショック後の、企業と政府の対応の結果と推測できる。
*平均的な所得の半分未満で暮らす人はすべて相対的に貧困状態にあるとみなす政府の算出方法では、貧困率にそう大きな変化は生じなく、91年でも12.8%だった。これに対し、戸室准教授は都道府県や世帯人数などによって異なる最低生活費に基づいて算出することでより貧困の実態に近づけた。