国民大多数のための政権をめざして
国の完全独立と国民生活の危機突破の闘いを
新年おめでとうございます。
リーマン・ショック以降の金融・経済危機から2年、各国の財政出動と新興国も含めた「国際協調」で世界恐慌は小康を得たかに見えました。しかし、バブル経済で世界の需要を支えてきた米国の過剰消費は急速に縮小し、先進国の需要不足は深刻です。
巨額の財政出動にもかかわらず、米国など先進国での失業率は軒並み高止まりで、消費は拡大せず、各国内部での矛盾が激化しています。とりわけ米国経済は深刻で、国民の不満が高まり、オバマ政権は中間選挙で敗北しました。米国の金融緩和は、通貨安による激しい「通貨戦争」を引き起こしています。また大量の資金流入で、新興国の経済を揺さぶっています。財政出動は限界、国際協調も崩れ、世界経済新は新たな破局もはらむ情勢になっています。 米国のいっそうの衰退で世界政治は多極化が進み、新興国が発言力を強め、先進国間でも先進国と新興国間でも対立が激化しています。
とくにアジア市場に死活をかける米国と台頭する中国は、経済面で相互に依存しながら、政治・軍事面では対立を強めています。朝鮮半島、尖閣諸島、あるいは南沙諸島等々と、地域の不安定化が進み、「東アジアは波高し」の情勢です。
国民生活の危機突破を願う国民の期待を担った政権交代から1年余がたちました。「国民の生活が第一」は、まったくの期待はずれ、あるいは「裏切り」と多くの国民が受け取り、参院選で民主党は惨敗を喫しました。法人税引き下げや環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加など、菅政権が財界のための政権であることは明白になりました。
また、菅政権の外交・安全保障政策は、最近の朝鮮情勢を口実にした米日韓の合同演習、昨年12月の新防衛大綱を見れば明らかです。新防衛大綱では、台頭する中国を「地域・国際社会の懸念事項」と位置づけ、日米関係や日韓関係を強化し、米日韓の軍事一体化を進めることを選択しました。これは「波高し」の東アジア情勢に対して、独立自主・平和外交ではなく、自国の運命を他国に任せる、いっそうの米国依存です。米国戦略の一翼を担い、日本の軍事力を強化し力で中国に対処する選択です。今春の日米安保の共同宣言を待たずして、菅政権は自民党政権以上に危険な道に踏み込みました。 広範な国民連合は、昨年秋、大阪で全国総会を開き、次の2点を確認しました。
一つは、菅・民主党政権に対する態度を鮮明にさせたことです。普天間基地問題などで対米従属政治を続け、法人税減税、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加検討など、財界に奉仕する政治を続けています。消費税率の引き上げもたくらまれています。激化するアジア市場の争奪戦において、わが国の大銀行・多国籍企業が勝ちぬけるよう支援する政治です。 一方、国民生活の危機は一層深刻になっています。労働者の賃金は下がり続け、失業率は高止まり、若者の多くが就職すらできない状況です。米価低落と輸入自由化で、農民はやっていけません。中小零細企業の倒産・廃業も相次いでいます。政治への怒りと不満が高まっています。このような政権は打ち破る以外にありません。
二つ目は当面の方針として、全国的には、「国民大多数のための政権をめざして、国の完全独立と国民生活の危機突破の闘いを発展させ、広範な国民各層の連合を実現する」ことを、また各県段階では「県民生活防衛・県民大多数のための県政、県知事の実現をめざす」ことを決定しました。 国の運命を米国に委ねる日米安保条約を破棄し、すべての米軍基地を撤去して国の完全な独立を勝ち取ることは重要です。沖縄県民の普天間県内移設反対に連帯して闘いましょう。衰退する米国に従属して、中国や朝鮮を敵視し、軍備増強の新防衛大綱に反対しましょう。日朝国交正常化こそ東アジアの緊張を緩和させる道です。独立自主の積極的平和外交を展開し、共存・繁栄のアジアで生きる道をめざそうではありませんか。
米国主導のTPPへの参加は、わが国農林水産業を壊滅させ、食料安全保障を揺るがすだけではありません。モノ・ヒト・カネのすべてを自由化するTPPは、中小企業や労働者、地域経済を犠牲にする危険な選択です。また、米国にとっては他国へ犠牲を転嫁する経済再建策であり、対中牽制というねらいもあります。すでに闘いに立ち上がっている農林漁民と連帯し、労働者、中小商工業者などが連携して、TPP参加阻止の一大国民運動を巻き起こしましょう。 また、国民生活危機打開のため、各層が連携・連合して闘いましょう。法人税減税・消費税増税に断固反対しましょう。
国民大多数のための政権をめざし、国の完全独立と国民生活の危機突破の闘いを発展させ、広範な国民各層の連合を実現するために奮闘する決意です。広く連携して、闘おうではありませんか。
2011年1月
自主・平和・民主のための広範な国民連合