2009年 新年のアピール

今こそ対米従属政治にピリオドを!

 「アメリカの時代」は終わり、ドル体制は末期

 激動の2009年が始まりました。

 昨年の年頭挨拶で、「米国が世界を独占していた時代は終わりに来つつある」と述べましたが、そのとおり「アメリカの時代」は終わりました。

 世界はすでに多極世界に入り、アメリカは強大な軍事力をもってしても、世界を意のままにできなくなりました。年内の大枠合意をめざしたWTO交渉の閣僚会議も、中国・インドとアメリカの対立で開催できませんでした。イラクのジャーナリストに靴を投げつけられたブッシュ大統領の映像が世界中の茶の間をにぎわしましたが、「アメリカの時代」の終わりを象徴しているように思いました。   アメリカの世界支配を支えたドル体制も末期に入りました。アメリカ証券界の大物、マドフ元ナスダック会長による巨額投資詐欺事件には、末期に入ったドル体制が重なって見えます。被害総額は4兆4000億円にのぼり、年10%以上というあり得ない高利回りに飛びついた野村ホールディングスは275億円の損失をこうむりました。高利を求める資金を世界中から還流させ、巨額の借金をふくらませて繁栄を謳歌し、最後は破たんして世界中に被害をばらまいたアメリカ経済は、マドフの詐欺事件と大きな違いはないように思われます。

 アメリカが引き起こした金融危機は実体経済を冷え込ませ、世界同時不況に発展しました。アメリカの中央銀行(FRB)は自国の大銀行や大企業を救うため、ゼロ金利、資金供給の量的緩和に踏み切りました。ドル札を増刷して米国債や銀行・企業の不良資産などを大量に買い入れるということは、裏付けのないドル札を大量散布することを意味し、ドルに対する信認はさらに失われ、ドル暴落のリスクもはらんでいます。

 今月20日、オバマがアメリカ大統領に就任しますが、彼も景気対策に巨額の財政支出を表明しています。1929年の大恐慌がニューディール政策では解決できなかった歴史を考えると、その成功は保障されていません。弱体化した米国内の製造業が需要に応えられず、輸入が急増する可能性もあります。財政赤字の急増だけはまちがいありません。財政赤字はすでに10月~11月の2カ月で4000億ドルを超えており、09会計年度(08年10月~09年9月)の赤字が1兆ドルを超えることは確実です。財政赤字が急増しても、オバマはアフガニスタンの戦争をやめず、日本に自衛隊を出せ、カネを出せと迫るでしょう。

 アメリカ発の世界同時不況は、対米従属を基本路線としてドルと対米輸出に依存してきた日本を直撃しました。巨大多国籍企業のトヨタも例外ではありません。昨年3月は2兆2700億円の営業利益でしたが、今年3月には赤字に転落する見通しです。とは言え、トヨタには9月末時点で、12兆6658億円という巨額の内部留保があります。それにもかかわらず、情け容赦なく下請けの単価を切り下げ、労働者の大量首切りを行っています。中小零細業者や労働者を犠牲にして、自分たちだけが生き残ろうとするトヨタに憤りをおさえきれません。

 2009年は世界同時不況がますます深刻になり、企業倒産と首切りの嵐が吹き荒れ、国民各層に耐え難い苦難の年となるでしょう。苦難に満ちた年だからこそ、漁民が全国一斉休漁に立ち上がったように、国民各層はやむにやまれず立ち上がるに違いありません。立ち上がった国民各層の人びとが、生活を直接守る闘いにとどまらず、苦難の根源である対米従属政治にピリオドを打つために腕を組めば、日本の前途に「アジアの共生」という展望がひらけるでしょう。

 金融サミットで、ひとり麻生首相だけが「ドル体制を支えるべきだ」と主張したように、日本の政治を牛耳ってきた政治指導者たちや経済界の主流は、この期に及んでも対米従属の路線をあらためようとはしないでしょう。しかし、その内部からも国民各層の動きに呼応して、路線転換を求める動きがあらわれるのは避けがたいと思います。

 「アメリカの時代」は終わりました。国民に苦難を強いる、時代遅れの対米従属の道を今後も歩み続けるのか? 対米従属の政治にピリオドを打ち、日本の前途に展望をひらく道を歩むのか? 私たちは広範な各界各層のみなさんと共に、世論を二分するような議論を巻き起こすために力を尽くしたいと思います。

 今年も力をあわせて闘いましょう。

自主・平和・民主のための広範な国民連合

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