コロナ危機どう闘うか一覧

[コロナ危機どう闘うか] アメリカ、世界最大級の感染爆発と、危険な排外意識の暴走

コロナウイルスは世界を変えるか?

青山学院大学 羽場 久美子

先進国の感染爆発

 コロナウイルスは、先進国の近代資本主義社会を破壊して進んでいるように見える。
 コロナウイルスによる一般的な死亡率は2~3%だが、イタリア、スペイン、イギリスなど感染者数が多いEU諸国はドイツを除いて軒並み10%以上だ 。[1]

[1] Johns Hopkins University, Corona virus VI
COVID-19, MAP, COVID-19 Dashboard by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU)(以下同様)
https://coronavirus.jhu.edu/map.html 2020/4/26

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[コロナ危機どう闘うか] 感染症と戦争の人類史から、ポストコロナ政治を構想する(1)

参議院議員、前滋賀県知事、
元日本環境社会学会会長 嘉田 由紀子

なぜ安倍政権のコロナ対策の評価が低いのか?

 世界23カ国・地域の人びとにそれぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、残念ながら日本が最下位となった(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050800721&g=int)。
 日本の感染者数、死者数は世界との比較では決して多いわけではない。それこそ欧米各国と比べると人口あたり感染者数も死亡者数も二桁ほど少ない。それでもなぜ、安倍晋三首相らの指導力に対する日本国民からの評価が厳しいのか? 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 今こそ辺野古移設計画の見直しを

「米軍基地問題に関する万国津梁会議の提言」の意義

沖縄国際大学准教授 野添 文彬

 3月27日、玉城デニー知事の諮問会議「米軍基地問題に関する万国津梁会議」は、「在沖米軍基地の整理・縮小についての提言書」を知事に提出した。この会議は、安全保障や外交の専門家である委員(筆者もそのメンバーの一人である)が「在日米軍基地の整理・縮小」をテーマに提言を行うために設置されたものである。
 提言書は、玉城知事がこの会議で述べたように、沖縄の側から国際情勢や米軍の戦略を踏まえた上で作成されたという点で「画期的」なものであった。しかし、提言発表後、コロナウイルスの全国的な感染拡大によって、沖縄県や本会議も十分に動けなくなり、提言書についても他のニュースに埋もれてしまったことは否めない。
 その一方で、コロナウイルスに伴う世界的危機の状況であればこそ、提言書の内容は、ますます重要になっている。以下、本稿ではこの点について論じたい。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 力の転換は必然的に戦争を呼ぶ(下)

いかに安定と繁栄をつくるか? 夢は必ずかなう、もし諦めなければ!

青山学院大学教授 羽場 久美子

はば・くみこ 1952年生まれ。青山学院大学教授、世界国際関係学会アジア太平洋副会長、ハーバード大学客員研究員、京都大学プロジェクト教授。専門は国際関係論、国際政治学。著書に『グローバル時代のアジア地域統合』(岩波書店)、『アジアの地域共同―未来のために』『アジアの地域協力―危機をどう乗り切るか』(いずれも明石書店)他多数。

 新型コロナウイルスが猛威を振るっています。中でもアメリカは、感染者82・3万人、死者4・5万人(4月22日現在)、世界の「トップ」です。にもかかわらず新聞は、アメリカの感染のひどさがトランプ政権の「人命より経済重視」からきていること、対策のまずさをほとんど報道しません。逆にトランプの「中国ウイルスだ」「WHOは中国寄りだ」などというフェイクニュースのような暴言を好んで取り上げています。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 一部の利益でなく国民の命が守られる社会に

ショック・ドクトリンは許されない

東京大学 鈴木 宣弘

 新型肺炎の世界的蔓延への対処策で、物流の寸断や人の移動の停止が行われ、それが食料生産・供給を減少させ、買い急ぎや輸出規制につながり、それらによる一層の価格高騰が起きて食料危機になることが懸念されている。このような中で、その解決策は一層の貿易自由化であるかのような議論が国際機関から出てきていることは看過できない。まさに、災害資本主義、「火事場泥棒」的発想である。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 苦境の今こそ、『国家を超えた連帯』への好機

社会学者 大澤真幸さんに聞く

 「苦境の今こそ、21世紀最大の課題である『国家を超えた連帯』を実現させるチャンスだ」と喝破される大澤真幸さんに伺った。見出しを含めて文責編集部

グローバル資本主義の負の産物

——大澤真幸さんは、感染症のパンデミック、コロナ・ショックと言われるような状況を、「『グローバル資本主義』という社会システムの負の側面が顕在化した」と捉えておられます。ここが現状認識として最も重要なところだと思います。

 「資本主義は、貨幣(マネー)と商品と人間をグローバル化し、それらを、国境を越えて運動させます。これら三つの中で、最も速いのが貨幣で、最も遅いのが人間です。人間は、貨幣や商品に引っ張られるようにして、国境を越えていきます。ということは何を意味するかというと、資本主義の下では、人間は、他者に対する自然な関心やコミュニケーションへの欲求によって移動した場合よりもずっと速く、広く拡散していく、ということです。もっとわかりやすく言えば、資本の利益に駆り立てられているとき、人間は、異常に速く、世界の隅々にまで移動していくのです。このことが、新型コロナウイルスの拡散がたいへん速かった原因になっています。14世紀のペストがユーラシア大陸の全体に広がったように、資本主義など未発達でも感染症は流行するのですが、今回のウイルスが瞬く間に世界中に行き渡ったのは、明らかに、私たちがグローバル資本主義の時代を生きているからです。もっと具体的に言えば、中国共産党の『一帯一路』の構想で、中国とヨーロッパのつながりが強くなっていたことが、アダになったと推測されます」 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 打開の財源―大企業内部留保の活用を

駒澤大学 小栗 崇資

おぐり・たかし 1950生まれ。駒澤大学教授(経営学・会計学)。著書に『内部留保の研究』(共著、2015)、『多国籍企業・グローバル企業と日本経済』(共著、19年)など多数。

 新型コロナウイルスがもたらすかつてない危機に日本は直面している。非常事態宣言が出され外出自粛が要請されているが、それに対応した生活保障(雇用保障や休業補償など)については十分な対策がなされていない。感染爆発を防ぎ社会の崩壊を防ぐには、自粛要請と生活保障が一体となって行われねばならない。直接の現金給付等による国民の生活支援が緊急に求められるが、国民生活の危機を打開する抜本的な対策を行うためには多大な財源が必要となる。当面は、今年度予算を緊急対策に集中して組み替えをし、国債を発行するなどして資金を捻出したうえで、それを最終的に負担するための新たな財源を構想することが必要となっている。そうした財源の一つとして考えるべきは内部留保の活用である。日本企業(全法人280万社)の内部留保は463兆円(2018年度)に達しており、その活用について提案したい。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 従順の強制は許されない

命と自由をともに守ろう

専修大学ジャーナリズム学科教授(言論法)山田 健太

やまだ・けんた 1959年生まれ。日本ペンクラブ専務理事。専門は言論法。青山学院大卒、2012年4月から現職。著書に 『沖縄報道』『法とジャーナリズム』『見張塔からずっと』『言論の自由』など多数。

 潮目が変わった、と言うべきだろう。2週間前までは自粛しなくても大丈夫と外出していた人も、つい数日前までは布マスクに文句を言っていた人たちまでもが、一気に、世の中は「一刻も早い緊急事態宣言発令を」、そして「この国難の時に政府批判して何になる」という状況に変わったからだ。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 「医療崩壊」は自民党政治の必然の結果だ

(一社)全国労働安全衛生研究会代表・ 甲府市議会議員 山田 厚

感染症は抑制されずむしろ広がっている

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、「医療崩壊」が始まっている。新型コロナウイルスはきっかけにすぎない。この間の、自民党政権の医療行政の結果引き起こされている。
 まず、感染症の実態はどうなっているのか?
 1999年に感染症予防法もできた。さまざまな医薬品も開発され、感染症の話題もないから、感染症は抑制されていると思うのが普通だ。しかし実態は違う。感染症はむしろ増えているのだ。 続きを読む


コロナ感染症 医療も生活も崩壊の危機

安倍政権打倒! 命を最優先する政治を

『日本の進路』編集部

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者が世界中で261万人、死者も18万人を超え(4月23日午前現在)、しかも増加テンポは速まっている。少なくとも第2次世界大戦後最大の大惨事である。世界経済も、金融危機以来立ち直れず危機を深めてきていたが、コロナ・ショックで局面は変わった。IMF(国際通貨基金)は第2次大戦につながった1929年以来の大恐慌突入を警告する。各国で貧困層を中心に生活苦から暴動が頻発し始めるなど国内対立も、米中対立など国際関係も激化している。世界は激変している。 続きを読む