[コロナ危機] コロナ危機の時代をどう生きるか

武器ではなく人、子育てや教育こそ最重要

日中友好協会会長 元駐中国大使
伊藤忠商事名誉理事 丹羽 宇一郎

 新型コロナウイルスの感染拡大について、「パンドラの箱が開いた」とよく言われるが、この中から出てきた新型コロナウイルスの正体はいまだにハッキリ分からない。いわゆる「専門家」といわれる人たちが口にするのは、感染者数や亡くなった人数など、すでに終わった話ばかりで、どうなるのかは誰も言ってくれない。
 また、この新型コロナの感染拡大を防ぐために、「『3密』を避けましょう」と言われています。しかし、毎日電車通勤をしなければいけない人たちや、買い物をする人、そうしたところで働く人たちにとって、この「3密」を避けるのは大変難しいことです。
 これからは「ウィズコロナ」です。「コロナと共に」にということです。ワクチン開発の成否も分からないなかでは、新型コロナウイルスに対する免疫を高めるしかありません。そうして免疫を高めた世界でコロナと共生・共存していかざるを得ない時代が確実にきます。 [コロナ危機] コロナ危機の時代をどう生きるか” の続きを読む

[コロナ危機] コロナ禍で問われる税収の空洞化

不公平な税制をただす会共同代表・税理士 菅 隆徳

 コロナ対策では、政府が閣議決定した(第1次)補正予算だけでも25・7兆円の国債の追加発行が予定されている(その後第2次補正は全額国債で賄われ、31・9兆円 編集部補足)。さらに政府案にはない「賃金・収入の8割補償」や「イベント中止への補償」、医療・検査・介護などへの支援策の拡充などを実現するためには、さらに多くの費用が必要となる。
 コロナ危機対策で各国は巨額の財政支出に踏み切っている。財源負担をどうするか、税の集め方、使い方が問われる。感染防止のための財政出動を契機に、公平・公正な税負担を実現することが、強く求められている。 [コロナ危機] コロナ禍で問われる税収の空洞化” の続きを読む

[コロナ危機] 傷つく人々を全力で支援 費用負担は応能で

財源負担問題の国民的議論を

『日本の進路』編集部

 第1次に続いて第2次補正予算が成立し、通常国会は閉じた。
 一般会計歳出は当初予算と合わせ総額160・3兆円、過去最大だった19年度(104・7兆円)の1・5倍に。補正の財源は全て国債で今年度の国債発行額は90・2兆円となる。
 未曽有の国民的危機にはあまりにも「遅すぎる」「少なすぎる」対策だが、大企業や大銀行、大金融資産家には十分すぎる財政・金融支援であろう。しかも、給付金事務に大企業が食いつき利益を貪り、パソナのような白アリも集っている。
 他方、傷つく人々や、頑張っている医療関係者や社会インフラを支える人々への支援は「雀の涙」、それもまだ多くは届かない。 [コロナ危機] 傷つく人々を全力で支援 費用負担は応能で” の続きを読む

コロナ禍、米中冷戦激化の中 日米安保条約60年

自主・平和、アジア共生の進路こそ急げ!

『日本の進路』編集部

 6月23日、現行日米安保条約発効60年を迎える。安倍晋三首相は、祖父である岸信介元首相が60年前条約に調印した1月19日、「100年先まで、日米同盟を堅牢に」とアメリカに誓った。
 日米安保条約に基づく日米同盟と米軍駐留は、日本の国家主権を著しく損ない、国民のいのちと安全を脅かしアジアの平和の脅威となってきた。日米同盟に組み込まれた自衛隊は、湾岸戦争やイラク侵略戦争、いま中東や南シナ海などへと、派兵が常態化している。 “コロナ禍、米中冷戦激化の中 日米安保条約60年” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 「生命」か「経済」か、それが問題だ

地方と新型コロナウイルス禍

山形県議会議員 原田 和広

 昨今の新型コロナウイルス禍において山形県が直面している喫緊の課題は、医療崩壊と地域経済の崩壊である。生命と経済のどちらを守るのかという二者択一がマスコミ報道等で議論されることが多くなってきたが、どちらかではなく、そのどちらも守れない可能性を山形県のような地方は構造的に抱えているのではないだろうか。 [コロナ危機どう闘うか] 「生命」か「経済」か、それが問題だ” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 見えてきた理不尽な『新型コロナ格差』の実態

新型コロナで傷む現場~連合の労働相談よりレポート~

連合総合運動推進局長 山根木 晴久

 連合本部は、新型コロナウイルスの影響が顕著に出始めた3月4日から6日にかけて、フリーダイヤルとラインを活用して緊急集中労働相談を実施し、多くの相談に対応した。当時は、政府の要請で全国の小中学校が休校になった直後ということもあり、「子どもの面倒をみるため仕事を休まざるを得ないが、その間の賃金はどうなるのか」といった休業補償関係の相談や「職場でマスクを着用させてもらえない。感染が心配だ」といった安全保障関係の相談が相対的に多く寄せられた。 [コロナ危機どう闘うか] 見えてきた理不尽な『新型コロナ格差』の実態” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] アメリカ、世界最大級の感染爆発と、危険な排外意識の暴走

コロナウイルスは世界を変えるか?

青山学院大学 羽場 久美子

先進国の感染爆発

 コロナウイルスは、先進国の近代資本主義社会を破壊して進んでいるように見える。
 コロナウイルスによる一般的な死亡率は2~3%だが、イタリア、スペイン、イギリスなど感染者数が多いEU諸国はドイツを除いて軒並み10%以上だ 。[1]

[1] Johns Hopkins University, Corona virus VI
COVID-19, MAP, COVID-19 Dashboard by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU)(以下同様)
https://coronavirus.jhu.edu/map.html 2020/4/26

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[コロナ危機どう闘うか] 感染症と戦争の人類史から、ポストコロナ政治を構想する(1)

参議院議員、前滋賀県知事、
元日本環境社会学会会長 嘉田 由紀子

なぜ安倍政権のコロナ対策の評価が低いのか?

 世界23カ国・地域の人びとにそれぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、残念ながら日本が最下位となった(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050800721&g=int)。
 日本の感染者数、死者数は世界との比較では決して多いわけではない。それこそ欧米各国と比べると人口あたり感染者数も死亡者数も二桁ほど少ない。それでもなぜ、安倍晋三首相らの指導力に対する日本国民からの評価が厳しいのか? [コロナ危機どう闘うか] 感染症と戦争の人類史から、ポストコロナ政治を構想する(1)” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 今こそ辺野古移設計画の見直しを

「米軍基地問題に関する万国津梁会議の提言」の意義

沖縄国際大学准教授 野添 文彬

 3月27日、玉城デニー知事の諮問会議「米軍基地問題に関する万国津梁会議」は、「在沖米軍基地の整理・縮小についての提言書」を知事に提出した。この会議は、安全保障や外交の専門家である委員(筆者もそのメンバーの一人である)が「在日米軍基地の整理・縮小」をテーマに提言を行うために設置されたものである。
 提言書は、玉城知事がこの会議で述べたように、沖縄の側から国際情勢や米軍の戦略を踏まえた上で作成されたという点で「画期的」なものであった。しかし、提言発表後、コロナウイルスの全国的な感染拡大によって、沖縄県や本会議も十分に動けなくなり、提言書についても他のニュースに埋もれてしまったことは否めない。
 その一方で、コロナウイルスに伴う世界的危機の状況であればこそ、提言書の内容は、ますます重要になっている。以下、本稿ではこの点について論じたい。 [コロナ危機どう闘うか] 今こそ辺野古移設計画の見直しを” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 力の転換は必然的に戦争を呼ぶ(下)

いかに安定と繁栄をつくるか? 夢は必ずかなう、もし諦めなければ!

青山学院大学教授 羽場 久美子

はば・くみこ 1952年生まれ。青山学院大学教授、世界国際関係学会アジア太平洋副会長、ハーバード大学客員研究員、京都大学プロジェクト教授。専門は国際関係論、国際政治学。著書に『グローバル時代のアジア地域統合』(岩波書店)、『アジアの地域共同―未来のために』『アジアの地域協力―危機をどう乗り切るか』(いずれも明石書店)他多数。

 新型コロナウイルスが猛威を振るっています。中でもアメリカは、感染者82・3万人、死者4・5万人(4月22日現在)、世界の「トップ」です。にもかかわらず新聞は、アメリカの感染のひどさがトランプ政権の「人命より経済重視」からきていること、対策のまずさをほとんど報道しません。逆にトランプの「中国ウイルスだ」「WHOは中国寄りだ」などというフェイクニュースのような暴言を好んで取り上げています。 [コロナ危機どう闘うか] 力の転換は必然的に戦争を呼ぶ(下)” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 一部の利益でなく国民の命が守られる社会に

ショック・ドクトリンは許されない

東京大学 鈴木 宣弘

 新型肺炎の世界的蔓延への対処策で、物流の寸断や人の移動の停止が行われ、それが食料生産・供給を減少させ、買い急ぎや輸出規制につながり、それらによる一層の価格高騰が起きて食料危機になることが懸念されている。このような中で、その解決策は一層の貿易自由化であるかのような議論が国際機関から出てきていることは看過できない。まさに、災害資本主義、「火事場泥棒」的発想である。 [コロナ危機どう闘うか] 一部の利益でなく国民の命が守られる社会に” の続きを読む

沖縄と安全保障

復帰48年に考える

衆議院議員 屋良 朝博

 全世界が新型コロナ感染症と闘う中、日本の検査数の少なさに諸外国から疑問を持たれています。その適否の論議は別に譲るとしても、布マスク全戸配布を含めどうも打つ手が国際標準から外れているようにみえます。独自性は大事ですが、独りよがりでは視野狭窄に陥ります。日本人は〝戦前〟の思考から決別できたのかという疑問が頭をよぎります。 “沖縄と安全保障” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 苦境の今こそ、『国家を超えた連帯』への好機

社会学者 大澤真幸さんに聞く

 「苦境の今こそ、21世紀最大の課題である『国家を超えた連帯』を実現させるチャンスだ」と喝破される大澤真幸さんに伺った。見出しを含めて文責編集部

グローバル資本主義の負の産物

——大澤真幸さんは、感染症のパンデミック、コロナ・ショックと言われるような状況を、「『グローバル資本主義』という社会システムの負の側面が顕在化した」と捉えておられます。ここが現状認識として最も重要なところだと思います。

 「資本主義は、貨幣(マネー)と商品と人間をグローバル化し、それらを、国境を越えて運動させます。これら三つの中で、最も速いのが貨幣で、最も遅いのが人間です。人間は、貨幣や商品に引っ張られるようにして、国境を越えていきます。ということは何を意味するかというと、資本主義の下では、人間は、他者に対する自然な関心やコミュニケーションへの欲求によって移動した場合よりもずっと速く、広く拡散していく、ということです。もっとわかりやすく言えば、資本の利益に駆り立てられているとき、人間は、異常に速く、世界の隅々にまで移動していくのです。このことが、新型コロナウイルスの拡散がたいへん速かった原因になっています。14世紀のペストがユーラシア大陸の全体に広がったように、資本主義など未発達でも感染症は流行するのですが、今回のウイルスが瞬く間に世界中に行き渡ったのは、明らかに、私たちがグローバル資本主義の時代を生きているからです。もっと具体的に言えば、中国共産党の『一帯一路』の構想で、中国とヨーロッパのつながりが強くなっていたことが、アダになったと推測されます」 [コロナ危機どう闘うか] 苦境の今こそ、『国家を超えた連帯』への好機” の続きを読む

[コロナ危機どう闘うか] 打開の財源―大企業内部留保の活用を

駒澤大学 小栗 崇資

おぐり・たかし 1950生まれ。駒澤大学教授(経営学・会計学)。著書に『内部留保の研究』(共著、2015)、『多国籍企業・グローバル企業と日本経済』(共著、19年)など多数。

 新型コロナウイルスがもたらすかつてない危機に日本は直面している。非常事態宣言が出され外出自粛が要請されているが、それに対応した生活保障(雇用保障や休業補償など)については十分な対策がなされていない。感染爆発を防ぎ社会の崩壊を防ぐには、自粛要請と生活保障が一体となって行われねばならない。直接の現金給付等による国民の生活支援が緊急に求められるが、国民生活の危機を打開する抜本的な対策を行うためには多大な財源が必要となる。当面は、今年度予算を緊急対策に集中して組み替えをし、国債を発行するなどして資金を捻出したうえで、それを最終的に負担するための新たな財源を構想することが必要となっている。そうした財源の一つとして考えるべきは内部留保の活用である。日本企業(全法人280万社)の内部留保は463兆円(2018年度)に達しており、その活用について提案したい。 [コロナ危機どう闘うか] 打開の財源―大企業内部留保の活用を” の続きを読む