第5回日中時事交流フォーラム

日米同盟の戦略拠点・沖縄をアジア平和の拠点に変える

屋良朝博前衆議院議員が基調講演

 広範な国民連合は中国の華語シンクタンクと共同主催で2022年12月28日夜、日中国交正常化50周年記念事業の一環として第5回日中時事交流フォーラムをオンラインで開催した。「日中不再戦で世界平和を目指す」をテーマとする今回のフォーラムでは、屋良朝博前衆議院議員が「アジア安保におけるソフトパワーの可能性」と題して基調講演を行った。
 冒頭、中国側司会を務めた徐長銀華語シンクタンク常務理事より、「世界情勢が緊迫した中、米中・日中関係はともに十字路に立たされている。中国は東アジアの重要な隣国日本とは外交で問題解決を望み、日本は軍事路線に頼るべきではない」との問題提起があった。

 屋良氏は、まず戦後の沖縄米軍基地の歴史を振り返りながら、今日、「前線」に近過ぎる沖縄駐留海兵隊の縮小状況を説明し、現在対応可能な事態としては人道支援、災害救援、海上警戒(瀬取りなど)など限定的なものになっていることを紹介した。一方、日米両政府が「一つの中国」政策を守ると約束したことに着目し、今後、中国も国際社会に人道支援、災害救援(HA/DR)で中国軍が果たしている役割をアピールするともに、国際共同訓練などを実施し、人道支援や災害救援等アジアにおける広域的な連携をとり、アジア太平洋地域の安全保障ネットワークを構築するように提案した。日米同盟の戦略拠点である沖縄を、「軍事外交」というある種のソフトパワーによってアジア平和の拠点に変えていけるはずだと述べた。
 その上で次のように提起した。尖閣のような小さな領土紛争で二国間関係を停滞させるべきではないと信じる。中国はもっと平和政策をアピールしてはどうだろうか。その上で、波風を起こす側がすべての責任を負っていることを主張してはどうか。米国のペロシ議長の台湾訪問は「一つの中国」の原則に反し許されないのはもちろんだが、ミサイルをぶっ放す行為も同じように品がない。香港問題、新疆ウイグル問題は確かに中国の内政問題かもしれないが、やり方が乱暴に見える。
 「外からの見られ方」も大事にしてもらいたい。一度定着した印象を変えることは難しい。中国の好感度を上げる努力を求めたい。それは日中、米中、アジア共通の利益につながるだろう。
 これに対して彭光謙華語シンクタンク理事長は、屋良提起はやや現実とかけ離れ、賛同できないと率直な意見を述べ、その上で、米国の「一つの中国」に関する言行不一致の事実を批判した。さらに、彭理事長は日本に関して、「攻撃能力」を備え「専守防衛」の原則を変えようとしている、「台湾有事は日本有事」という考えは野心の表れであり、守るべき日中関係の原則を外れていると指摘した。
 また、米国は日米同盟など少数の国とグループをつくって中国を包囲しようとし、日本の右翼勢力も米国と結託している。だが、日本の軍国主義の試みはかつて失敗に終わり、米国との同盟も最終的に破綻する。大損するのは必ずや国民であり、軍拡や戦争で国民にさらなる生存危機をもたらすべきではないと述べた。「老朋友として腹を割って話をさせていただいた」とした上で、「世界も日本も十字路に立つ今、日本の選択は民族の試練となる」と発言を結んだ。
 徐氏も、沖縄の米軍基地が人道支援と災害救援のようなメリットしか持っていないとの見方には賛同できないと率直な意見を述べた。その上で、米国は絶えず中国を挑発しており、その結果、軍事衝突が起こった場合、沖縄の住民にとっては災難であることを強調した。
 羽場久美子青山学院大学名誉教授は次のようにコメントした。
 ①沖縄の駐留米軍削減は平和に向けたものではなく、中国に対する戦争を日本や台湾に肩代わりさせようとするものだ、②米中の軍事協力はあるとしても時間稼ぎに過ぎず、将来起こり得る日中軍事衝突を避けるものとはならないだろう、③米軍が削減されたとしても、石垣島へのミサイル配置など、代わりに自衛隊の兵力増強が進んでいる、④中国側は台湾が独立を追求しない限り、武力による統一はないとの明言している。米国のペロシ訪台は独立扇動の行為になると指摘。沖縄を含む日本国民は、中国との戦争を望んでいない。ウクライナ危機のように、米国が武器だけ提供し、東アジアにおける民族間の対峙をさせるような悲劇は絶対に起こすべきではないと強調した。
戦争を絶対に避ける
 屋良氏は、日本政府が従来の平和憲法や専守防衛の原則を放棄し、台湾問題が中国の内政であることを忘れており、軍拡や攻撃力強化が現実になったと述べた。しかし、理想主義と言われようと、戦争を選びたくないがために、あえて沖縄で米中の「軍事外交」と「協力」を促進することで打開を図りたいと述べた。また戦争になったら「災難」ではなく、「米軍基地の存在そのものが沖縄の災難だ」、戦争という選択肢は絶対に避けなければならないと強調した。
 石垣島等での長距離ミサイル配置について、「火遊びで非常に危険な行為で」、「ミサイルは決して本当の抑止力になれない」とし、「軍拡の本当の目的を沖縄と日本の人々は全く理解できていない」「沖縄の民族存亡にかかわり、やめてもらいたい」などと強く訴えた。また日本政府の防衛費増額は、「政治の不道徳さと幼稚さ」と憤りを表明した。さらに、中国の「反国家分裂法」は国際社会で尊重されるべきとした上で、「米国が日本と台湾への武器売却が目的でミサイルを配置するのであれば、犯罪行為に等しい」と批判した。
 広範な国民連合の山本正治事務局長は、中国が世界平和を追求していることは確信していると述べた。その上で、綾瀬市で「日中不再戦陳情書」を市議会に提出したが否決された件にも触れて、中国のミサイル発射が日本国内で政府やマスコミの「中国脅威論」宣伝を加速したと指摘し、屋良氏が言ったように「中国側は外部からの見られ方をより考えてほしい」と述べた。
 これに対し、徐氏は、「米国は台湾を利用して中国を挑発しているのに、何の反応もしないほうが不思議なことで、批判すべきは米国である。中国は台湾の独立を絶対に許さない、これはレッドラインである。台湾海峡周辺でのミサイル発射は台湾独立派への警告であり、日本側に対するものではない。日本政府が台湾独立に関与しない限り、心配無用である」と述べた。
 日本側司会者の長岡親生氏は、「日中国交正常化50周年という重要な節目に日中関係は残念な状況にある。しかし、このような局面は日本国民の願いではない。国民と経済界は、中国との平和友好、さらにアジアの平和と繁栄を心から願っているし、今後もより一層の努力が必要だ」と話した。
 中国社会科学院教授・福井県立大学名誉教授の凌星光氏は、「今回の交流会で、中国側は沖縄県民を含む日本国民の皆さんは中国と戦争をしたくない、回避すべきだという気持ちを理解できたし、日本側も日本政府の軍拡傾向や安全保障3文書に対する中国側の深い懸念を理解できたはずだ。双方が地域の平和と安全への願いを共有し、今後も日中関係を重視し、率直な意見交換を進めたい」と述べた。
 こうして友好的な雰囲気の中で閉会した。通訳は王景賢女史が担当した。