米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-11 [最終]

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

日本が協力しなければ、戦争は起こらない

羽場 久美子

 ありがとうございます。
 皆さんのご報告、とくに伊波さん、それから柳澤さんのお話に全面的に共感します。また地方自治体の方々のお話も非常に共感いたしました。
 本日言いたかったことは、「新冷戦」はすでに始まりつつあること、その際、日本は最前線で近隣国に対し守りを固める立場に置かれているということ、アメリカが、日本や台湾やオーストラリアと結びつつ、中国の封じ込めを考えていること、その中で、中国の専制主義批判や、人権批判、台湾有事の防衛があるということです。逆ではない。つまり中国が軍事化するから、日本も周辺国も軍事的に備えなければならない、というのではない、ということです。
 伊波さんも言われたように、「日本が戦争しなければ戦争は起こらない」。いや、台湾と中国の間で小競り合いは起こるかもしれないけれど、アメリカは自国兵を戦争させたくないので、南北に3000㎞の日本列島が関与しなければ、大きなものにはならないと思います。東アジアが、相互に信頼し合って、平和と経済の連携をつくり、日中韓とASEANで東アジアが世界経済を引っ張れば、世界の繁栄と平和をつくっていけるのです。そのことをもっと自覚し、責任をもって、近隣国を信頼し、共同で東アジアを安定と繁栄の地域にしていく覚悟が必要だと思います。
 そしてそれが、アメリカにとっては、アメリカのトップの位置を譲る脅威になるから、中国を封じ込めるのです。中国が軍事化するからそれに備えるのではありません。
 民主化ということについては、日本が戦後つくってきた民主主義は素晴らしいものですが、冷戦終焉後の民主化は、極めて政治戦略的なものです。「民主化は外から持ち込むのではない、内からつくり上げるものだ」と言った、ASEAN事務総長、ピッツワンの言葉を思い起こし、内からの民主化を支援したいと思います。
 日本が地政学的に中国、ロシア、北朝鮮を封じ込め、台湾を守る軍事の最前線にいるんだということを認識し、また東アジアで、一発でも大きな核爆発が起こったら、チェルノブイリ級でも、30年間、東アジアの経済発展は止まる、ということをリアルに認識し、日本が戦争ではなく、経済と外交と文化交流によって、世界平和と繁栄をリードしていくことが極めて重要だと思います。
 沖縄の重要性、地域の重要性も含め、皆さまからたくさん学ばせていただきました。
(山本)
 柳澤さん、伊波さん、羽場さん、そして発言された方、参加されたすべての皆さん、ありがとうございました。まだ日米安保条約の問題等々、意見の幅は相当ありますが、柳澤さんがおっしゃったように、特に地方議員ですから、地域の住民の命を守るという角度から、しかも米中激突、台湾有事が迫っているそういう状況の下で、どうやって地域の住民の命を守るか、地域を発展させるか。この地方議員が果たすべき余地は非常に大きいと思います。國仲さんが提案されたように、「日本は台湾有事に介入すべきではない」「米軍基地も使わせない」と。地方自治体として国に言うことは当然のこと。
 柳澤さんの提案にあった地方防衛局との協定書づくり、地位協定改定の問題、地域経済の観点からも戦争させない。いつまでもアメリカに依存しない自主・平和、アジア共生の国へ。地方議員の役割がいっそう問われているということを確認してこのPART2を締めます。ありがとうございました。