2021年06月一覧

コロナ禍のもとで今後の食料・農業・農村を考える

「危機の時に都市を受け入れることのできる農村」でありたい

 

農事組合法人八頭船岡農場(鳥取県)組合長 鎌谷 一也(全日農副会長)

 

 人生の最終ステージは、「本気の百姓を!」ということで、朝から晩まで、田んぼで働く。
 コロナ禍のもと、昨年から寄り合いや会議も減少し、いっそう農作業に打ち込むこととなった。
 晴天・曇天・雨天であろうと、汗を流し作業に没頭していれば、農業は新型コロナとは無縁の世界にも思える。実際は、業務用の米や野菜の販売が滞ったり、消費減により価格が下がったり、影響がないことはないが、太陽の下で働くことに閉塞感もストレスもない。米のほか、小麦、大豆、白ネギ、キャベツ、繁殖牛、原木シイタケ、ワサビなど、あれもこれも、やろうと思えばきりがないほど、仕事が増える。
 だが、旧町単位の範囲で、260ヘクタールの水田を集積、構成員は545名(旧町エリアの約8割の農家)、職員15名を抱えている農事組合法人の組合長としては、作業だけに明け暮れているわけにもいかず、昨年は10年先を考えて、第3次5カ年計画(がんばる農家プラン)を策定した。
 高齢化や人口減少により、10年先は旧町全農地340ヘクタールの半分170ヘクタールは、法人(職員)の直接管理が必要となるであろう。その時に、職員は何人必要か、その職員が食べていくだけの生産体制・経営基盤は。集落で頑張る中核的な法人構成員の育成確保、集落単位での協業や相互扶助体制の確立をどうするか。水田活用、野菜生産、耕畜連携に放牧を利用した和牛繁殖など、事業展開をどうするか。そもそもどういった農村風景・農村社会を想定し、ことを進めるべきか、これまた考えることは尽きない。 続きを読む


安全な食料自給。農林漁業を核とする持続可能な地域循環経済へ

日本農業と中小製造業を守れ

 

JAM会長 安河内 賢弘

 

 4月27日に2020年農林業センサスが発表されたが、日本農業の衰退がさらに進んでいることが改めて示された。5年前と比較すると農林業経営体は22・2%減少し、なかでも林業経営体は61・1%と壊滅的な減少である。また、年齢階層別に基幹的農業従事者の推移を見ると、5年前と比べ、85歳未満の全ての階層で減少した。
 一方で、農産物販売金額規模別に農業経営体数の増加率を見ると、5年前に比べ3千万円以上の層で農業経営体数が増加したとするものの、3千万円を超える農業経営体は全体の3・82%にすぎず、全体の約7割強が300万円未満の農家である。

図 基幹的農業従事者数(個人経営体)の推移(全国)

 2015年11月25日、TPP大筋合意を受け政府はTPP総合対策本部を設置し、「総合的なTPP関連政策大綱」を取りまとめた。その主な柱は、①中堅・中小企業等の海外展開の支援、②経済再生・地方創生の実現、③農林水産業支援、④その他必要な支援(食の安全・安心、知的財産等)であった。このうち農林水産業については、「攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)」と「経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)」が重点施策として掲げられたが、それから5年を経た2020年の日本農業の衰退は残念ながら加速している。

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