コロナ禍で急速に進む貧窮化と格差

共有(シェア)Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter
Share on LinkedIn
Linkedin

命と暮らしを守る政治への転換が不可避

『日本の進路』編集部

 感染発覚から間もなく1年半、コロナ禍は国内外の矛盾を一気に激化させ、露呈させた。
 「医療崩壊」が進み、病院にも行けずに亡くなる人が激増、医療関係者には法外な負担が押しつけられている。国の責任を放棄し自治体に丸投げしたワクチン接種も大混乱だ。
 国民の暮らしも深刻さを増している。経済は、20年度GDP実質成長率がマイナス4・8%。本年1︱3月期はマイナス5・1%、4︱6月期はもっと厳しいだろう。

中村進一(三重県議会議員)

 まさに安倍・菅自公政権の大失態だ。国民の命も守れぬ政権はいらぬ。オリンピックは直ちに中止し、国民の命を守れ。菅政権は責任をとって即刻総辞職せよ。

    補償なき「自粛」で、社会的に「弱い」立場の人びとが集中的に犠牲になっている。とくにもともと「人権」もまともに守られていない外国人労働者、非正規・単身子育て中の女性たち、非正規雇用の青年や高齢者などがきわめて劣悪な状況下に置かれ、自ら命を絶つような事態にまで追い込まれている。
 こうしたなか民間の努力で「共助」の献身的な支援の取り組みがなされている。こうした努力を支持し積極的に協力するとともに、政府と地方自治体に「公助」を強く求めて闘わなくてはならない。

 

打撃は「外国人労働者」や「女性・非正規・ひとり親」に集中

 コロナ禍の厳しい状況下で「生活困窮者への緊急小口資金等の特例貸付」実績は、昨年3月からのおおよそ1年間で170万件近い。厚生労働省は今年度の4月から、児童一人当たりわずか5万円だが「子育て世帯生活支援特別給付金」もつくった。国民には冷たいばかりの政府でも、動かざるを得なかったのだ。
 雇用の状況一つを見てもそれは明瞭だ。3月までの20年度1年間に、役員を除く雇用者は64万人減少した。犠牲はとりわけ非正規雇用労働者に集中している。
 なかでも女性が打撃を受けた。女性の非正規雇用は実に65万人も仕事を失った。とくに子育て世代に犠牲は集中し、「配偶者ありの女性非正規雇用」の年齢別では25歳から54歳世代だけで45万人も減少している。35歳から44歳までは正規雇用者も減少している。
 とりわけ厳しいのが「死別離別の単身女性」たちだ。非正規雇用は10万人、率にして5・4%減で、しかも正規雇用もこの人たちだけは増えていない。65歳以上の非正規雇用すらも、この人たちのところだけ減少だ。
 また、大学や専門学校などの学生たちも深刻だ。24歳までの在学中のアルバイトが激減している。これに仕送りする親の厳しい状況を入れると学生層の大変さが分かる。そもそも調査統計には外国人労働者、とくに「技能実習生」などの困窮は出てこない。
 「女性・非正規・ひとり親」や外国人への支援は喫緊の課題だ。

多くの大企業はコロナなどどこ吹く風で大もうけ

 ソフトバンクグループは、3月期決算の純利益4兆9879億円で国内企業の純利益過去最高を記録した。製造業も全体に好調だ。トヨタ自動車の純利益は、2・2兆円でコロナ前と比べて10%増。日経新聞社説は、「企業は変革の手を緩めず収益力を高めよ」との社説を掲げた。
 昨年10︱12月期の法人企業統計(財務省)を見ると製造業(資本金規模1千万円以上企業)全体で、売り上げは減ったが経常利益の黒字を確保した。製造業企業は全体として、人件費を減らし下請けコストも削減して営業利益を確保し、それに「受取利息等」が増加、大幅な経常黒字となったのだ。全法人企業で従業員を前年同期比53万人減らしたが、そのうち製造業が実に約45万人、5・2%減で大半である。
 しかも、「職業別」で見ると昨年度、工場などの「生産工程従事者」が38万人減少し、技術者など「専門的・技術的職業従事者」が同じく38万人増えている。大企業はすでに、デジタル化・自動化など「コロナ後」をにらんだ「変革」を急いでいる。労働者が、コロナ禍で「仕方ないか」とか、「闘いにくい」という中で、まさに「惨事便乗型」で企業は労働者に犠牲を強いて「改革」推進だ。断じて許せることでない。

「貧困と格差」が短期間に劇的に進展

 「2020年度家計調査」(総務省)を日経新聞は次のように報道した。「特別定額給付金の支給により可処分所得は前年度に比べ実質4・0%増、一方、消費支出は4・7%減。お金が貯蓄に向かっている」と。麻生副総理が泣いて喜びそうな数字だが、まるでウソではない。だが、国民全体が一律ではない。立ち入って見てみると恐ろしい実態が浮かび上がる。
 勤労者の家計に所得格差が急激に進んでいる。所得階級別で勤労世帯(2人以上世帯)全体を、一番所得が少ない20%、その次、……一番多い20%と、5つの区分に分けた「5分位」を見てみる。昨年2月と今年の2月を比べると(以下、比較はすべて同じ)、世帯主の勤め先収入は全体で1・6%減である。ところが、「最下位の20%」の同収入は14・0%も減少している。その次が3・3%減、……。ところが「最上位の20%」の同収入はプラス1・3%である。配偶者の同収入も全体が3・5%減で、「最下位」は23・6%減だが、「最上位」だけは43・3%増である。勤め先収入でもどんどん格差が開いている。これに株高での資産収入を考慮したらどういうことになるか。
 消費支出も全体では7・4%減、「最下位」の家計は13・4%減だが、「最上位」はプラスの1・5%である。
 食費が消費支出に占める割合、エンゲル係数も所得階級別に計算されている。かつては貧困の度合いを示すといわれたこの指数だが、近年は傾向的に下がって、ほとんど取り上げられなくなっていた。ところがこの1年間で平均1・1ポイント上昇した。なかでも「最下位」では2・8ポイント上がり、29・3%に上昇した。「最上位」は逆に0・3ポイント下がって23・9%。その差はわずか1年間で実に5・4ポイントに拡大した。
 食費が家計を圧迫する家庭が急増している。平均でこれである。仕事がなくなった外国人労働者、住む家を失った人びと、……どういうことになるか。憲法で保障されているという生活権などないに等しい。
 格差は、大都市と地方小都市や町村との間でも顕著となっている。家計調査の、「大都市」(政令指定都市と東京23区)、人口15万人以上の「中都市」、人口5万以上15万未満の「小都市A」、それに人口5万未満の「小都市Bと町村」の4区分で見てみる。
 それによると世帯主の収入は「大都市」では0・2%減にとどまるが、「小都市B+町村」では実に15・4%減となっている。消費支出もそれに応じていて、「大都市」では3・9%減だが、「小都市B+町村」では12・3%減、地方では収入減が急で、消費も激減だ。
 2020年農林業センサスによると家族経営農家が5年間で22・6%減、林業経営体に至っては61・1%減。農林漁業は以前から崩壊の危機にあり廃業が相次いでいる。地域を支えるもう一方の中小商工業も、雇用者減と賃金低下の中のコロナ禍で需要不足が著しい。地域経済は文字通り崩壊である。
 国民経済を維持し国民の命と暮らしを守る政治への転換が急がれる。

共有(シェア)Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter
Share on LinkedIn
Linkedin