[2020年新春メッセージ] 熊本県菊池地域農業協同組合代表理事組合長 三角 修

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食料自給率向上と地球温暖化防止への挑戦

――ポイント付加による国民運動への提案――

 食料自給率の減少が叫ばれて久しい。45%の自給率目標(2025年目標)が掲げられているが、直近の2018年は37%と過去最低となり、なかなか歯止めがかからない。自給率低下の一番大きな要因として必ず引き合いに出されるのが米である。確かに1回目のオリンピックがあった昭和39(1964)年頃には115・8㎏、およそ1人2俵の米を食べていた。〝おかず〟が少なかったことも大きな要因ではあろう。それが今では約53㎏と半分以下になってしまった。今ではパンもあり、おかずの種類も増えバラエティー豊かとなった。米は人間の胃袋を満たすだけではなく、米となる過程において田んぼに水を張ることによって小さなダムの役割をして、貯まった水が地下深くしみ込み、30年~40年の永い年月を経てわれわれの命の水として地下より汲み上げられることになるのである。よって米を直接食べないから稲を作る必要はないと、需要と供給の関係だけで、経済主義によってのみ生産量を減らすことは、生きている者の命を削ることになるのではないか。
 そのような中、JA菊池では農水省が飼料用米の試作検討を始めた2008年に取り組みを始めた。それは牛・豚・鶏のエサとなる材料がほとんど北アメリカなどから輸入され、工場で加工され、それを配合飼料として与えているのである。つまり、肉の生産は日本で行っているが、もととなるエサは外国産なのである。それ故に自給率は低くなるのである。そこで国産の飼料を給与する、つまり飼料用米を給与して外国産の飼料原料を減らす、そのためには飼料用米を作付けして水田に水を貯め作付けすることが必要である。そのことにより菊池でとれた飼料用米を菊池で飼育する牛に与えることで自給率も高まり、わざわざアメリカから船で1カ月かけて燃料をたきながら運んでくるのと違って、近くから取り寄せができるのでフードマイレージも低くなるのである。
 今、地球温暖化が叫ばれ、放っておけば10年先の2030年には1・5度気温が上昇し、海水の熱膨張や氷が解けた海水が地面に入り込み海水に覆われることになるのである。そのようにならないためにも、化石燃料をなるべく使わないで自然エネルギーの利用を多くすることが必要である。
 1997年12月に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)の時、私はカスミソウと輪菊を作っていた。輪菊は葬儀、仏壇用の白で第1回目を11月に収穫して、3月に2回目を収穫するという2度切りをやっていた。2回目は需要期の春の彼岸の出荷を行うとなると1月の一番寒い時に花芽をつけなければならず、そのためにはハウス内の最低温度を15度以上、できれば17~18度を10日間保たねばならず、一晩に重油200ℓのドラム缶を1本以上燃やしていたのである。彼岸の菊の需要がある時期に出荷すれば高く売れ、重油代を差し引いても所得が大きくなるとの計算をしていた。しかし、京都議定書の中身を読んでいるうち、限りある資源を使っていいのだろうか、炭酸ガスをまき散らして環境を悪化させていいのだろうかと考えるようになり、最小限の暖房を行うこととして輪菊やカスミソウ生産の作付け体系(作付け時期、収穫時期)を変更したものだった。
 そこで私は日本の食料自給率を上げる方策、また地球温暖化を防止する方策を国民運動とする提案をしたい。食料の安定供給については食料安全保障として83%の国民が不安と考えており、国民的な懸案事項となっている。そのためには消費する人が商品を選ぶとき、国産品であるか否かの判断をラベル(価格等印字してあるシール)等に「食料自給率◯◯%」と書くことが必要である。当然、外国産のメロンであるなら0%、JA菊池で生産している「えこめ牛」の牛肉は国産飼料米を食べさせているので、他の牛肉と比べ自給率が10%高いといった表示になる。
 温室効果ガス削減についてはできるだけ近くで生産されたもの、つまり地産地消することが一番である。遠隔地から大型トラックや船、飛行機で運んでくるには多くの燃料が必要となり、二酸化炭素を排出するのである。また、私が経験した春の彼岸の菊作り、8月のお盆の時に黄色に熟れたミカンを仏壇に供えることもいかがかと思う。まだ青く少し黄色みがかったミカンではダメなのだろうか。旬の果実であるブドウやナシではダメなのだろうか。そこで化石燃料をこのミカン100gにはフードマイレージ◯◯t・㎞(トン・キロメートル)を使っていることを表示して消費者にわかりやすくし、地球温暖化防止への国民的なコンセンサスとして運動を進めてはいかがだろうか。当然、国民のインセンティブとしてスマートフォンが普及している現在、ポイント付加の導入を図り、自給率が高い商品、地球温暖化防止に寄与している商品に従来にないポイントを付与することが重要であろう。そのことにより、環境負荷の少ない自給率の高い商品を買ってもらい、生産者も頑張って生産することにより、国内農業生産額の上昇、食料安保への不安の解消となる。ポイント導入による国民的食料自給率向上と地球温暖化防止を提案する。

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