内外で重大な危機に直面した日本、打開の道は

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広範な国民連合第24回全国総会の課題

『日本の進路』編集部

 国際情勢の激変でわが国は重大な困難に直面した。安倍政権は危険な道に踏み込んだが、野党は対抗できていない。広範な国民連合第24回全国総会では、安倍政権を打倒し平和と国民生活の危機を打開する展望が問われる。読者・友人の皆さんの討論への積極参加を希望する。
 世界経済は深刻な金融危機の爆発から大恐慌へといつ局面が変わっても不思議でない。どの国でもごく一部の富める者はますます豊かになり、他方、貧困層が急増し格差・矛盾は極端なまでに激化し、各国政治は著しく不安定化している。
 急テンポで進む技術革新は、デジタル通貨の登場などをもたらしドル支配を揺さぶり、宇宙空間の争奪は経済面にも軍事面にも及ぶ。世界の危機は加速されている。
 危機の押し付け合いで各国間の対立は激化、とりわけ米中「衝突」の出口は見えない。衰退したアメリカはドルと世界覇権維持のため中国を抑え込む軍事面も含めた攻勢に出ている。経済規模世界2位と3位の中日両国を対立させ争わせ消耗させ支配を維持しようと、わが国にも要求と圧力を強めている。
 大国も小国もどの国も、この危機、激変の世界への対応を迫られている。
 対米従属で、かつ中国を敵視する安倍政権でわが国は深刻な事態に直面した。
 国内では、財界中心の対米従属政治の結果、国民の貧困化は限界点となっている。
 しかも、安倍政権は、財政再建と称して国民にさらに苦難を押し付ける。アメリカに「見捨てられまい」と武器の爆買いでも農畜産物輸入でも要求を次々と受け入れている。
 同時に、急テンポな軍拡、軍事大国化で中国に対抗する道を進めている。憲法改悪の策動を強め、韓国や朝鮮への大国主義的対応と排外主義を煽っている。東アジアの不安定化は避けられず、平和の危機である。
 わが国経済は、中国はじめアジアなしに成り立たない。財界、経済界にも保守層にも動揺が広がっている。激変の世界で、資源も食料も市場も世界に依存して発展してきたわが国は根本的な見直しが避けられない。原発にも化石燃料にも依存しない安全で持続可能なエネルギーや安全・安心の食料の安定確保・自給確立はますます重要な課題となっている。
 今、とりわけ日米安保体制の矛盾を集中的に押し付けられた沖縄県民の怒りは頂点にある。対米従属の売国農政に痛めつけられてきた全国の農山漁村、地方に怒りが静かに広がっている。貧困の「下層」は政治に期待を持てずにいる。自民党分裂も全国で進んでいる。
 しかし野党各党は、国の運命が問われる激変の世界とアジア、わが国の進路について十分な関心を払っていないように見える。いまだに日米同盟深化論にとらわれている。深刻な国民生活問題にも正面から立ち向かえていない。地方、農山漁村の課題には関心が薄い。
 安倍路線への対抗軸を鮮明にしなくてはならない。「自主・平和・民主、アジアの共生」の政治を実現して危機から脱しなくてはならない。軍事大国化で中国や朝鮮・韓国に対抗する亡国の道か、真に自立してアジアで共生する平和の道か、二つの進路が争われている。
 支配層の一部を含む最も広範な国民の連合で、対米従属政治の打破をめざす政治勢力の形成・発展を促し、確かな国の進路を切り開かなくてはならない時である。広範な国民連合第24回全国総会の課題である。

激変の安保環境、日米同盟路線の限界

 わが国支配層の、「強固な日米同盟」に依存する安全保障政策は限界を迎えている。
 トランプ米大統領は9月10日、政権内の最強硬派といわれていたボルトン大統領補佐官(安全保障担当)を解任した。この事態に対米従属のわが国支配層に衝撃が走っている。北朝鮮への圧力を強調するボルトン氏への期待が大きかったからだ。それにとどまらず周知のようにトランプ大統領は、「金正恩委員長は私との約束を破っていない」などと発言して、日本も射程内に入る朝鮮の中短距離弾道ミサイル保有を容認している。さらにトランプ大統領は、先のG20での来日の際もそうだったが、「不公平な日米安保条約は破棄してもいい」などとたびたび発言している。そもそも3年前の大統領選挙中から「日米安保不平等」を唱えていた確信犯である。対米従属勢力に動揺が広がっている。
 「アメリカの強硬路線の修正が進む可能性」といった見方も一部にある。確かに、アメリカ自身が軍事力を動かして介入する「強硬路線」の見直しは避けられない。だが、もはやそんな力はもともとないのである。オバマ前大統領も「もはや世界の警察官ではない」と力の限界を表明していた。
 だが、それだけにより策略的で危険である。
 衰退したアメリカは、対中国戦略のなかでわが国を最前線に立たせ中国と対立させることでアジアをコントロールし、支配を維持しようと策動している。北朝鮮の短距離核ミサイルすら容認し、日本が軍拡に走るよう煽っている。日韓対立も悪いことではないと見ている。
 地域の大国同士を対立させて力を相殺・消耗させコントロールする策略は古来、帝国主義の常套手段だった。アメリカが一方的にイラン核合意を破棄して緊張を作り出した中東情勢も同様である。

「見捨てられる」を恐れ軍備増強に走る安倍政権

 こうした中で中国や朝鮮を敵視し恐れる安倍政権は、「見捨てられない」ためにアメリカの法外な要求に従っている。目の玉が飛び出るほど高額の武器を言い値で次々購入している。農畜産物でも、まったく使い道のない大量のトウモロコシ購入なども約束した。
 同時に安倍政権は、強い日本を唱え、「自前の」空母や巡航ミサイルなど「敵基地攻撃能力」確保で軍事大国化に突進している。自前とは言うものの武器はアメリカ製で、わが国防衛産業は不満たらたらである。来年には「駐留米軍経費負担協定」の見直し交渉だが、ボルトン大統領補佐官は7月来日時に5倍増要求を伝えたと報道されている。すべて国民の途方もない負担増となる。
 安倍政権の軍事大国化は、中国や朝鮮と敵対しアジアに再び戦火を招きかねない危険極まりない「自立」の方向である。そのための憲法改悪であり、国内では「表現の不自由展」問題や幼保無償化からの朝鮮幼稚園排除など民主主義破壊、民族差別と人権侵害も進む。

中国や朝鮮を敵視しない「共生」だけが活路

 旧満州(中国東北部)で悪事の限りを尽くしてきたA級戦犯岸信介首相のDNAをもち、復讐心に燃える歴史修正主義者の安倍首相が、侵略と植民地支配の被害者である中国や朝鮮を恐れるのはある意味では当然かもしれない。だが周知のように中国も朝鮮も、一部の軍国主義者と広範な国民とを区別している。侵略戦争、植民地支配を反省・謝罪し平和を望むわが国ならば中国の核兵器も朝鮮の核ミサイルも恐れる必要はまったくない。
 これらの国々を敵視しない共存、友好の自主外交こそ最大の安全保障政策である。軍事的脅威は「相手の能力と敵対意志を掛け合わせたもの」だからである。
 そもそも隣国と永遠に敵対してやっていけるはずはない。わが国経済は中国はじめアジアに深く依存している。大企業だけでなく中小企業も含めて企業はアジアに展開し利益にもあずかっている。
 安倍首相らの軍事大国化路線は、多国籍大企業の「権益」を力で守ろうとする、かつて破綻した「大東亜共栄圏」の道である。しっかりと歴史の反省を踏まえ、永遠に覇権を唱えず、各国の主権を尊重し相互利益で繁栄の道、「アジアの共生」をめざさなくてはならない。
 アメリカの世界支配は終わりを迎えている。対米従属から脱却して自立し、アジア共生の進路を切り開く時である。
 その対抗軸こそ求められている。

貧困化した「下層」の要求を基礎に国民運動重視で

 国内では、長年の財界・大企業中心の対米従属政治の結果、国民各層の経済生活は極めて深刻な状況となっている。国民諸階層の中には不満が静かに蓄積し、噴出のチャンスをうかがっている。
 しかし、議会野党各党は全体にこの不満と怒りを引き付けきれていない。選挙での棄権層の増大がそれを示している。
 「自民一強」「官邸一強」は、自民党や安倍の強さではなくこの野党の弱さにほかならない。総有権者中の自民党支持者(絶対得票率)は2割以下、16%そこそこにすぎない。すでに自民党は1990年代初頭から支持を失って、公明党など中間政党を引き入れる「連立政権」の策略や有権者の意思を正確に反映しない小選挙区制などに助けられて政権を維持している。
 国民の苦難はますます深く、平和の危機も迫った。
 安倍政権とどう闘うか。第24回全国総会の歴史的課題である。

国民の貧困化

 8月29日の「東京新聞」は1面で刺激的なグラフを掲載した。日本の1時間あたりの賃金は1997年に比べ8・2%減少。他国は軒並み増加。実質賃金でも日本は10%下がったが、英国が41%増、米国25%増など。
 これは自然現象では決してなく自民党政府が政策で露骨に後押ししてきた結果である。とくに労働者派遣法改正などの「労働の規制緩和」で企業の人件費削減を容易にした。賃金の安い非正規雇用の比率は97年の23・2%から、2018年には37・8%に急上昇した。

 今、国民は消費税増税と社会保障削減でいっそう苦しめられる。とりわけ障がい者や無・低年金高齢者、生活保護世帯などが犠牲になる。子育て世代を中心に女性シングルの生活に問題が集中的にしわ寄せされる。「奨学金」という学生ローンの返済問題が青年労働者を絶望に追いやる。
 辛うじて「勝ち組」となっている一部の正規雇用労働者も、技術革新と貿易戦争による打撃は避けられず、ごく一部は「勝ち抜く」にしても二極化が進み、さらに多くの労働者は零落を余儀なくされる。

没落させられた農村、存亡の危機にある地方

 農林漁業は長年の売国政治で集中的に犠牲にされた。農家は2010年から15年のわずか5年間でも163万戸から133万戸に30万戸、20%近くも減少、離農を余儀なくされているのである。
 中小企業も大変である。なかでも中小企業の大半を占める小規模企業(製造業などで従業者数20人以下、商業やサービス業で5人以下)は経営が成り立たない。2009年から16年の7年間に62万企業、約17%が消滅している。
 農林漁業者も、零細商工業者も経営が成り立たないのである。政府は「承継対策」に熱心で統廃業を促している。
 文字通り「国民総貧困化」である。とりわけ地方では、暮らしが成り立たず、ますますの需要不足で荒廃、至るところに限界集落。森林も、田畑も荒れ放題で国土保全の危機、豪雨災害の頻発、それに地震。まさに国民の生命と財産の危機である。

一部の超富裕化

 そうした中でも「富裕層」は急増している。野村総研の推計では17年末、純金融資産1億円以上の富裕層は127万世帯弱となり、安倍政権発足前の11年末と比較すると1・5倍強となっている。アベノミクスで円安に導き労働者を搾り上げ、企業利益を最大限にして株価も高騰させた結果である。大企業の内部留保は、1990年代後半に130兆円だったが2017年度には446兆円に。しかし世帯の31%は預貯金をいっさい保有しない(日銀調査)。
 国民の総貧困化と一部の極度の富裕化が進行している。この驚くほどの国民の二極分化。
 野党の政策が、「豊かな中間層を取り戻す」などといったふうの曖昧さではこの貧困国民の支持を受けないのは当然である。

支持政党を持たず政治から排除された「下層」

 注目すべきデータがある(「毎日新聞」政治プレミアによる)。4月の北海道知事選時のネット調査、しかも北海道だけという限界はあるが、傾向は読み取れる。野党は知事選で共闘の5野党である。

表1 階層帰属意識と支持政党 (2019年北海道知事選挙ネット調査)
表1 階層帰属意識と支持政党 (2019年北海道知事選挙ネット調査) 「階層」は質問「かりに現在の日本の社会全体を、以下の五つの層にわけるとすれば、あなた自身は、どれに入ると思いますか。以下の中から選んでください」への回答を示す。

 (表1)自身が社会の「上」層に属していると認識している人ほど与党を支持する。しかし、「下」層と認識するほど野党を支持する傾向は見られない。下層にいくほど増えるのは「支持政党なし」、それに選挙を棄権する割合が高い。

表2 従業上の地位と支持政党 (2019年北海道知事選挙ネット調査)
表2 従業上の地位と支持政党 (2019年北海道知事選挙ネット調査) ※「正規等」には会社等の正規職員に加え、会社経営者・役員、自営業等も含めた。「非正規等」にはパート、アルバイト、派遣社員等に加えて休職中、求職中の場合も含めた。未婚等には離死別による単身者が含まれる。30代から60代に限定して集計している。

 (表2)は正規労働者非正規労働者での集計。正規労働者で結婚しているような人々は自公支持率が高いだけでなく、野党の支持率も比較的高い。一方、非正規労働者かつ未婚者を見ると、自民党支持率はかなり低く、野党支持率がある程度高い。ただし、「支持政党なし」の割合も6割を超え、棄権する割合も高い。
 貧困化する国民とりわけ「下層」は、支持政党を見つけられず、投票を棄権するのである。躍進の「れいわ」が掲げた、「消費税廃止」「奨学金チャラ」などの鮮明な要求は示唆に富んでいる。
 農山漁村も象徴的で近年自民党支持が激減している。3年前も今年の参院選でも東北信越の乱で野党統一候補が勝利した。
 野党は、こうした国民各層の生活危機、困難に応えられていない。
 この人々の役に立たなくて野党はいったい何なのか。本当に存在意義が問われる。「野党共闘」「野党連合政権」などと言う前に考えるべきではないか。
 われわれも真剣に考えなくてはならない。打開の方向を探らなくてはならない。

求められる政策対抗軸と国民運動の強化

 国の進路でも、国民生活危機打開でも、政策対抗軸をはっきりさせなくてはならない。
 同時に、日常に、貧困化する国民とりわけ「下層」の切実な経済要求に気を配り、要求を運動として発展させることが重要になっている。「誰」が組織するか問われている。われわれはもっと「生活」に気を配らなくてはならない。選挙だけでなく国民運動を重視すべきである。
 全国総会での真剣な議論に期待する。

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