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[広範な国民連合]種子法廃止反対、福岡独自の県条例制定を

県民の食料と農業を守るため県政課題に

 福岡では今、福岡県独自の「主要農作物種子条例」制定を求める動きが始まっています。直接のきっかけは、8月26日に広範な国民連合大牟田地区懇談会が地域の市民団体「いちのたんぼの会」と共同して開催した「緊急学習会―タネはどうなる」でした。元農林水産大臣の山田正彦さんを講師としてお招きしたこの学習会については、速報を「日本の進路」9月号に、山田さんの講演要旨を10月号に掲載していただきました。
 この学習会以降、大きく二つの動きがありました。その一つは大牟田市議会の動きです。このタネの学習会には、大牟田市議会の議長、副議長を含めて3名の議員が参加されていました。会場を去る時に、議長は「市議会で県条例を求める意見書を、全会一致で採択したい」と副議長に話されたそうです。後日、議長、副議長を中心に話が進められ、「主要農作物種子法にかわる福岡県独自の条例制定を求める意見書」と「主要農作物種子法にかわる新たな法律の制定を求める意見書」の二つが、全会一致で採択されました。国に対する意見書は、すでに福岡市、柳川市など県内4市で採択されていましたが、県条例の制定を求める意見書は大牟田が最初になりました。(境公司大牟田市議会議長インタビュー別掲)
 二つ目の動きは、広範な国民連合・福岡によるものです。県世話人会議やその後の事務局会議を通して、種子法廃止に反対する取り組みの概要を以下のように決定しました。①来年の3月県議会を目標に、県独自の種子条例制定を目指す。そのために、大牟田市議会の経験に学び、県内の市町村議会で条例制定を求める意見書を採択してもらう(主に12月議会で)。②種子法廃止に反対する県民世論をつくり上げる。その第一段階として、11月9日(金)に「福岡県主要農作物種子条例の制定を求めるつどい」を、再び元農林水産大臣の山田正彦さんを福岡にお呼びして開催する。また可能なところでは、地域で学習会を組織する――等です。
 10月22日の「つどい」の第1回実行委員会では、山田氏による基調講演に加えて、農業者、消費者団体、議会、労働組合、市民運動などから報告していただき、活気ある集会にしていくことが確認されました。
 また「つどい」の準備と並行して、12月議会での意見書採択をお願いする文書を、大牟田市を除く県内59市町村議会に発送します。まず第1弾は国民連合・福岡の名前で、第2弾は「つどい」で決議する予定の要請文を実行委員会名で送ることにしています。
 併せて、連携できる市町村議会議員との懇談会なども別途計画していきたいという構想もあります。
 種子法廃止に反対し、県独自の種子条例を制定させて、福岡の農業を守るため広範な県民、団体の力を合わせて、頑張りたいと思います。(福岡事務局・樋口茂敏)

【資料】「主要農作物種子法にかわる新たな法律の制定を求める
大牟田市議会の意見書」

 2016年12月に農業規制改革推進会議ワーキンググループは、「国は、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築するために、地方公共団体のシステムで民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する」と提起していました。そして、「主要農作物種子法」は、2018年4月1日をもって廃止されました。
 しかし、廃止された種子法は、国民の食料である米や大豆、麦といった主要作物について、優良な種子の安定的な生産と普及を「国が果たすべき役割」と定めている法律でした。
 同法のもと、都道府県はそれぞれの気象や土壌条件に合わせた稲・麦・大豆の奨励品種を決めて、原々種・原種の種子を増やし、農家に安定的に安価な種子を供給してきました。国はそのために農業試験場などに財政支援をしてきました。
 国内で生産される稲の種子は100パーセント自給です。南北に長い日本で、地域の特性にあって栽培しやすく、しかもおいしいお米が時間と労力をかけて開発されて、その数は300品種にのぼります。種子はもっとも基礎的な農業生産資材であり、大切な遺伝資源です。種子には多様性があり、地域に合った品種が各地で作られていることで、気候変動にも対応できました。
 しかし、種子法廃止で、日本で伝えられてきた多くの伝統的品種の種子が、世界の多国籍企業の画一化したものになることが懸念されます。
 よって、国会及び政府においては、国民の食料安定確保のため、種子を国民の共有財産として守り次世代に引き継いでいくために、主要農作物種子法に代わる新たな法律の制定を強く求めます。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。